こんな人のための記事です。
結論から言うと
- 経理は、繁忙期/閑散期がハッキリとある仕事です
- 経理部員は、閑散期の使い方でレベルが分かります
目次
経理の繁忙期/閑散期スケジュール
もちろん、そのタイミングは、担当業務によってバラつきます。
ここでは、メイン業務のひとつである決算・開示・税務申告あたりを担当する経理部員の繁忙期・閑散期についてご説明していきたいと思います。
※給与計算や資金管理・決算処理等を担当する経理部員は、これとは少し違ったスケジュールで動いています。
例えば給与計算担当なら、毎月給与支払日の1週間程度前・毎年12月の年末調整前後などが一番の繁忙期です。
繁忙期:4月・7月・10月・1月
決算処理が忙しくなるのは、締めの翌月です。
3月決算の会社なら、四半期の締めは3月・6月・9月・12月ですよね。
経理の繁忙期はその翌月、4月・7月・10月・1月になります。
※上場会社等の場合は、四半期毎に決算・開示を行うべしというルールがあるので、3ヶ月毎に締めがやってきます。
それ以外の会社では、どんなペースで決算をするかは、会社ごとに違います。(つまり、繁忙期のタイミングも会社ごとに変わってきます。)
四半期決算では、月初→月末に向かって
- 単体決算:会社ごとの財務諸表をつくる
- 連結決算:企業グループ全体の財務諸表をつくる
- 開示資料作成:世間に公表する資料を準備する
といった順番で業務が流れていきます。
「経理は月末が忙しいんでしょ」と言われることが時々ありますが、少なくとも決算処理に関して言えば、どちらかというと月初の方が忙しいです。
月が終わらないと、月の売上も経費も確定しようがなく、決算処理をスタートさせることができないからです。
※社内の力関係によっては、他部署の社員が「月末にまとめて処理しよう・処理を依頼しよう」と考え、それに経理部員が巻き込まれる、というケースはあります。
閑散期:8月・11月・2月
繁忙月の翌月は、比較的落ち着いた閑散期になります。決算が落ち着いて一安心、というタイミングです。
「初めから閑散期が分かっている」というのは、かなり重要なポイント。
- ワークライフバランスを整えやすい
- 未経験からの転職時、面倒を見てもらえるタイミングをつかみやすい
- スキルアップのための投資(インプットやプロジェクト対応)がしやうい
- 業務平準化のための工夫がしやすい
などのメリットがあります。
その他の時期
繁忙期でも閑散期でもない月の業務は
- 繁忙月の前月:繁忙月のための準備
- 本決算の翌々月:本決算の後始末
といったイメージです。
①繁忙月の前月(6月・9月・12月・3月)に手を抜くと、繁忙月に地獄を見ます。
逆に、良い準備ができると苦労なく「仕事がデキる」という評判をとれるので、がんばりどころです。
②本決算の翌々月(5月)は、決算関連の業務が終わりきっていないことが多いと思います。
- 各種税金の納付
- 税務申告の準備
- 株主総会の準備
- 有価証券報告書の作成
などを、期限通りにこなしていかなくてはなりません。
四半期ver.と本決算ver.では、求められる業務の量も質も違ってきますから、本決算は一ヶ月では終わり切らないというわけです。
経理部員が閑散期にやるべき5つのこと
経理部員にとって、閑散期の過ごし方はかなり重要です。
閑散期を
- なんとなくダラダラ過ごすのか
- メリハリをつけて有効活用できるのか
で、経理の仕事の質には差がつきます。
私自身、休日出勤ナシ&残業ナシで、連結決算の実務リーダーとして役割を果たせたのは、閑散期をバッチリ活用していたから。
経理の閑散期タスク①業務改善
時間に追われる繁忙期にはできない
- 混乱した業務フローを整理する
- 処理の理論的な裏付けをハッキリさせる
- 早めに情報を取得できる環境を整えておく
- ワークシートを整備して作業効率を高めておく
といった業務改善は、閑散期にこそ取り組むべきタスクです。
そんなときは、決算中の自分の仕事を振り返ってみて下さい。
「とりあえず、コレでいいか…」とやり過ごした仕事が、1つや2つはあるはずです。
業務改善の対象は、この「とりあえず」仕事。
- できるなら、インパクトの大きいモノから
- 自信が無いなら、自己完結できるモノから
どんどん改善していきましょう。
- 仕事が早く終わるようになって
- 監査などで突っ込まれてヒヤリとすることも減って
自分・上司・会社、皆にとって価値ある閑散期を過ごすことができるでしょう。
経理の閑散期タスク②プロジェクト対応
- 組織再編
- M&A(買収検討・PMI…)
- 税制改正
- 新会計基準
などなど、経理部が絡まなくてはいけないプロジェクトは色々あります。
もちろん、全社的なプロジェクトについては、経理部の都合だけでスケジュールを決めることなどできません。
- プロジェクトメンバーは決算処理の担当から外す
- 決算ピークにプロジェクトの作業がかぶらないように交渉する
といった、部署全体での調整が必要になります。
とはいえ、
- 税制改正対応
- 新会計基準対応
- 会計システム導入
といった、経理部が主導する(&それなりの準備期間が確保できる)プロジェクトについては、閑散期に集中して進捗させることが重要です。
経理の閑散期タスク③次の繁忙期の準備
もしもあなたが
- ワークライフバランスをとりつつ
- 職場で評価されたい
と考えるなら、次の繁忙期に向けて、閑散期のうちからドンドン準備をすすめるべきです。
例えば8月の夏休み明け。周囲が夏休みの余韻を引きずってのんびりしている間に、コツコツと
- スケジュール作成
- 論点になりそうなトピックスの整理
- 必要になる資料集め
- システム設定
- ワークシート作成
等を進めておくことです。
次の決算(10月)までには十分時間がありますから、落ち着いて慎重な準備をすることができます。
また、9月に入ってみんなが重い腰をあげる頃、あなたは大分先を歩いてるわけですから
「あ、その処理は、こんな仕訳イメージになると思います。根拠は○○の会計基準での〇項ですね。大枠は監査法人にも確認済みで、今細かい数値を固めているところです」
「いいよー。大丈夫だよー。今日1日かけて一緒に準備しようか。」
みたいな感じで、余裕をもって対応することができます。
経理の閑散期タスク④インプット
「タスク③次の繁忙期の準備」はすぐに成果のあがる仕事術ですが、「タスク④インプット」は長い目でみたスキルアップです。
閑散期には積極的に
- 専門誌(経営財務・税務通信等)を読む
- セミナーに出席する
- 他社との情報交換会に参加する
などして、知識をたくわえ、見聞を広めて起きましょう。
経理の閑散期タスク⑤しっかり休む
最後に、閑散期のタイミングでこそプライベートを充実させておくこと。
定時で帰って、有給も使って
- 趣味に没頭したり
- 家族との時間を楽しんだり
- 映画を見たり
- 旅行に出かけたり
頭と心と身体をしっかり休ませましょう。
閑散期がきたということは、もうすぐ繁忙期だということでもあります。
繁忙期にピシっと働くためには、体調やモチベーションのコントロールが重要です。
まれにですが、こういう対応が不可能な経理部も存在します。閑散期なのに
- 雰囲気的に帰れない
- 雑務をふられて準備やインプットの時間がとれない
- 人員不足で「閑散期なにそれおいしいの?」状態
そういう場合は、真剣に転職を考えてみた方がいいかもしれません。
日々の仕事に振り回されてスキルアップの時間がないと、AI化・外注化の荒波を乗り切れません(管理部門はリストラのターゲットにもなりやすいです)。
転職しやすいのは、経理の良いところ。早めに活用して、よりよい働き方を目指したいものですね。
まとめ:経理は「閑散期の使い方が超重要」な仕事です
経理は
- 繁忙期/閑散期がハッキリしていて
- 閑散期の使い方が重要
な仕事です。
3月決算会社で決算・開示を担当する経理部員の場合、ざっくり
- 繁忙期:4月・7月・10月・1月
- 閑散期:8月・11月・2月
です。
閑散期の経理部員の仕事は
- 業務改善
- プロジェクト対応
- 次の繁忙期の準備
- インプット
- 休養
です。
しっかり取り組んで、ワークライフバランスを整えつつ、成果を出せる経理部員を目指しちゃいましょう。
それではまたっ!
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