経理マンが語るリアルな連結決算業務|1年中決算期の地獄

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経理のリアルな現場を伝える」シリーズです。経理歴10年超のフルーツが、経理の現場のリアルなレポートをお届けしたいと思います。

こんな人に向けて書いてます
  • 経理の仕事に興味がある大学生
  • 未経験から経理に転職しようと思っているビジネスマン/OL
  • 連結決算業務を未経験の経理経験者

この記事を読むと、連結決算業務(企業グループ全体を1つと考えて財務諸表を作成する業務)のリアルが分かります。就活転職などの参考にしてください。

 

連結決算業務の流れ

連結決算は、企業グループ全体の財務諸表を作成する業務です。「企業グループ全体が1つの会社だったらどんな経営成績だったか」などが分かる財務諸表を作るのです。

フルーツ
まずは、具体的な連結決算業務の流れをざっと見てみましょう。

 

連結決算業務の流れ①情報収集

まずは情報収集から!

  • うちの企業グループに入ってる会社って、どことどこだ?
  • どんな形式で情報集めれば、各社にとってわかりやすい&後の処理が楽かな?
  • 海外の会社で、日本で使ってる会計のルールと違う処理しちゃってるとこはどうやって報告してもらおうか?

なんてことに注意しながら、グループ各社の情報を集めます。「連結パッケージ」と呼ばれる情報収集シートをグループ各社に送付し、必要な情報を記入して送り返してもらうのです。

フルーツ
情報収集の方法は、クラウド上でのやりとり、メールベースのやりとりなど、グループの規模によって様々です。

 

連結決算業務の流れ②財務諸表の合算

各社の情報を集めたら、とりあえず各社の財務諸表を全部足します!各社の売上を全部足してグループ全体の売上を、各社の人件費を全部足してグループ全体の人件費を…という感じの計算ですね。

注意するのは、通貨が違う財務諸表の取り扱いです。

  • どの項目にどの為替レートを使えばいいか?
  • 項目ごとに違う為替レートを使うと発生する、変な差額をどうしようか?

なんてことに気を付けながら、ひたすら足し算します。

フルーツ
基本的には専用のシステムを使って処理します。グループ会社数が少ない会社では、エクセルなどでやりくりする場合もあるようですね。

 

連結決算業務の流れ③連結修正

ただ足し算をしただけでは、グループの状況を上手に表現した財務諸表にはなりません。

  • グループ全体を1つとみるんだから…グループ内で物を売り買いしても、それは無かったことにしよう!
  • グループの中でのお金の貸し借りとかも、無かったことにしよう!

みたいなことに気を付けて、財務諸表を修正していきます。

連結修正仕訳の種類
  • 投資と資本の相殺消去
  • 当期純損益の按分・配当金の振替
  • のれんの償却
  • 内部取引の相殺消去
  • 貸倒引当金の調整
  • 未実現損益の消去
  • 連結手続き上の税効果会計
  • その他

 

連結決算業務の流れ④連結財務諸表の作成

ゴールはもちろん、連結財務諸表の作成

  1. 連結貸借対照表(BS)
  2. 連結損益計算書(PL)
  3. 連結株主資本等計算書(SS)
  4. 連結キャッシュフロー計算書(CF)

の4つを作成します。

フルーツ
ちなみに実務の現場では、この後開示資料(※)や経営層への報告資料などの作成へと業務が続いていきます。

※決算などの情報を、会社の外部に知らせるための発表資料。

 

連結決算業務のやりがい

 

やりがい①自分の作った財務諸表が注目を浴びる

決算発表の主役は、連結財務諸表です。自分たちが作った財務諸表が、投資家の注目を浴びます。

連結財務諸表をもとに、

  • 経営成績や財政状態を評価され
  • 株価が上下し
  • 経営層は質問を受け
  • 投資家は喜んだりがっかりしたり

します。

フルーツ
なんだかちょっと、ワクワクしますよね!w

 

やりがい②企業グループ全体の動きが見える

連結決算をとりまとめる立場にいると、グループ内の重要情報がどんどん集まってきます

  • 子会社Aの商品の売れ行き、好調だね。商流変えたのがうまくいってるんだって!
  • やっぱりうちのグループの利益は子会社Bに支えられてるんだなー
  • ナイショだけどね、来月からZ社の買収に関する検討が始まるらしいよ。

といった具合です。適切に連結財務諸表をつくるには、どうしてもこれらの情報が必要です。だから、一担当者のうちから、(機密情報を含む)重要情報に触れることができるのです。

フルーツ
どこで売り上げてどこで利益出して…どういう事柄がおきるとどういう影響があって…ビジネスの仕組みが見えるっておもしろいです!

 

やりがい③できるようになると転職価値があがる

経理(決算関係)の仕事で転職価値があがる仕事の代表格

  • 連結決算
  • 税務申告
  • 外部開示資料作成

の3つです。

「これができるようになると転職市場で注目されるぞー」「高い専門性をもった人材ってかっこいいよなー。連結を身に着ければそれになれる!」なんて思うと、日々の仕事もなんだか魅力的な経験に感じられます。

フルーツ
連結ができるようになったら、経理専門の転職アドバイザーに「どこの会社でも入れますよw」と言われるようになりました♪もちろん他の経歴と併せてですが…連結で付加価値があがったのは間違いないです!

 

連結決算業務の1コマ:決算長すぎ地獄

やりがいたっぷりの連結決算。とってもおいしい仕事なのですが、1つだけ問題点があります!それは、担当すると「1年中決算期の地獄」に落ちること、ですw

 

連結決算未経験者
1年中決算って…どういうこと?

まず、個社の決算を担当する場合、「決算」のイメージはこんな感じです。

  1. 月に1度の月次決算(月初1週間ほど)
  2. 四半期に1度の四半期決算(月初2週間ほど)
  3. 年に1度の期末決算(月初2週間ほど)

①の月次決算は、そこまで大変でもないのが普通ですから、②or③で年に4回、各2週間ほどが「決算だ!超忙しい!」と感じる期間になります。

 

連結決算未経験者
ふむふむ。で、連結の場合は?

では、私フルーツの勤め先(12月決算の会社)の例で考えてみましょう。

 

連結決算未経験者
うん。1月は何をする?

もちろん期末決算です!一年で一番忙しい時期ですね。連結決算は、個社の決算が出そろってからが本番なので、1月の前半は準備後半がピークという感じになります。

 

連結決算未経験者
なるほど。2月は?

前半は、開示資料作成チームとのやりとりに明け暮れます。参考資料の作成依頼が山ほど届きますし、前年や予算数値とのズレに関する説明も求められます。

後半は、4月に行う第1四半期決算の準備がはじまります。会計のルールはなんだかんだと毎年改正されるので、それに対応した連結パッケージを作り直さないといけません。

 

連結決算未経験者
えぇ!?期末決算が終わってすぐ、第1四半期の準備なのか!それは3月じゃダメなの?

ダメなんですよ…。3月は、決算期のズレている子会社から第1四半期の情報が届き始める時期なんです。中身をチェックして、連結修正が必要なところを把握しておかなければいけません。

さらに、連結には「開始仕訳」と呼ばれる「前期までの仕訳を当期に引き継ぐための仕訳」が存在します。これを作るのも3月中の業務です。

連結専用のシステムのマスタ設定や、会社ごとのトピックス(新しい企業を買収したとか、新しい取引を始めたとか、新しい工場を作ったとか…)への対応検討も、当然3月中のお仕事です。

 

連結決算未経験者
ひゃぁ…それで4月は…もしかして第1四半期決算?

その通りです。1月とだいたい同じスケジュールです。5月は2月と同じ感じだし…。

3ヶ月ごとにこれが繰り返されて、連結の担当者は結局1年中決算やってる羽目になるのです!!超ハード!

 

連結決算は、おいしい仕事!

連結決算は

  • 決算発表の主役!自分の作った財務諸表が世に出るなんて格別♪
  • グループ全体が見える!各社の重要情報が集まってきて楽しい♪
  • 重要なポータブルスキル!できるようになって損はナシ♪

といった具合に、なかなかおいしいお仕事です。経理マンは、ぜひ一度チャレンジしてみてほしいな、と思います。

フルーツ
実際、連結ができるようになって転職の幅が広がりました!ほんと、おいしい仕事ですw

 

ここまで読んで、もしも連結決算に興味が出てきたら、それは大チャンスです!ぜひ、連結決算業務にチャレンジすべく、最初の一歩を踏み出してください。

幸い、今は就職・転職市場が活況で売り手市場です。(詳しくは、「チャンス到来!!会計職(経理/財務)の転職市場が熱い!」をどうぞ)

大学生のあなたは、ぜひ経理専門職採用にチャレンジしてください!まずは以下の記事をお読み頂ければと思います♪

【新卒で経理を目指すあなたへ】大学生のための経理部配属戦略!

2018.03.23

 

社会人のあなたは、連結をやらせてくれる会社へ、どんどん転職しちゃいましょう!まずは活況な転職市場の状況を知るため、リクナビネクストに登録しておくのが◎。以下の記事もぜひご覧ください。

【リクナビネクスト 評判】実際に使ってわかった、最適活用法!

2018.12.10

 

それではまたっ!

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ABOUTこの記事をかいた人

こびと株.comの共同管理人。慶應義塾大学卒業後、一部上場企業に就職。経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリストを有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。