こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
「51歳貯金1億3000万円。早期リタイアをしたいが、不安です…」という記事を目にしました。
相談者さんは、以下の状況です。
- 51歳夫…早期リタイア後も、負担の軽い仕事を続ける予定
- 49歳妻…現在会社員で、今後も続ける予定
- 持ち家(一戸建て)&他人に貸しに出してるマンションがある(家賃収入月15万円)
- 金融資産は約1億3千万円
そういえば、16万フォロワーを抱える有名なサラリーマン投資家、弐億貯男さん(@2okutameo)も、2億貯まったのにサラリーマンを辞める勇気がないと以前言ってましたね。
株式投資で2億円を達成しましたが、2億円の資産を持っている実感は無いです。
サラリーマンを辞める勇気もまだありません…。2億円を貯めたらセミリタイアするつもりだったのですが…。
— 弐億貯男 (@2okutameo) December 1, 2019
というわけで、「なぜ1億円あっても不安なのか」について考えてみます。
私は1億円もの大金は持っていませんが、数千万円を貯めてきた経験を踏まえて、想像力を働かせていこうかなと。
先に結論を言っておくと、下記かなと思います。
- 右肩下がりで減り続けるのが怖い
- いつ死ぬか分からない
- 稼げない自分に価値を感じられない(または機会損失を感じる)
※後半に、上記に対する私なりの対処法も書いてます(1億円も持ってないですけどw)
では、順番に見ていきましょう。
目次
1億円あっても不安な理由【セミリタイアできない】
理由①:右肩下がりで減り続けるのが怖い
減り続ける資産を眺めるのは、気持ちが良いものではないでしょう。
冒頭で紹介した記事の相談者さんも、こう言っていました。
資産を食いつぶす生活はやはり怖い面があり、ご相談させていただいた次第です。
もともと、サラリーマンを30年近く続けてコツコツと資産を築いてきた方です。積み上げてきたものを失う(それも確実に!)のに、心中穏やかでいられるはずがありません。
この記事のFPさんは、こう結論づけています。
でも、もし私だったら、この回答では満足できません。
やはり1億3千万円というカネが2,000万円まで減るのを指をくわえて見ていられないからです。
- 庶民の発想:お金をすべて使い切って死にたい
- お金持ちの発想:築いた資産は1円たりとも減らしたくない
こういう話を読んだことがあります。コップからこぼれた水、利息で食べていくのが資産家の発想というわけです。
- 貯金1,000万円から2,000万円に向けて資産が増え続けている人
- 貯金1億円から2,000万円に向けて資産が減り続けている人
心理的には、どちらの方がハッピーか分かりませんね。
理由②:いつ死ぬか分からない
要するに、未来が分からないから不安だということです。
1億円というと大金に思えますが(実際大金ですけど)、年間の生活費が500万円なら20年でゼロになります。
もちろん生活水準によりますが、一生涯を保障するには十分とはいえない金額です。
仕事を完全にやめて収入を失ってしまうと、復帰するのがなかなか難しい世の中です(精神的、肉体的、社会事情的に)。
想定より早く資金が無くなってしまった場合には、「詰む」ことになります。
- 自分の寿命
- 家族の寿命
- 自分に降りかかる災害・事故などの突発的なトラブル
これらがすべて見えていれば、盤石の資金計画が立てられます。しかし、実際には、これらのことは誰にも分かりません。
理由③:稼げない自分に価値を感じられない(または機会損失を感じる)
最後は、稼げなくなる自分に対する不安です。
今の世の中で、1億円以上の資産を築ける人はそう多くありません。
※野村総研の調査によれば、金融資産が1億円を越える富裕層は約130万世帯。全体の上位2%ちょっとしかいません。
お金は、お金が嫌いな人のところには集まりませんから、富裕層の方々は基本的にはお金が好きな人達でしょう。
資産を築いていく過程にも、大きな充実感があったに違いありません。
こういう「ある種の快感」を脳が覚えてしまっていると、仕事を辞めることに抵抗感が生まれます。
- 仕事をやらず、お金を稼げない自分に価値があるのか?
- 他の人達が資産を増やしている時に、自分はお金が増えるどころか減っている。働かないのはもったいないことではないのか?(機会損失を感じる)
かなり偏った発想ですし、見る人から見れば「守銭奴」「お金に囚われすぎ」と思えることでしょう。
でも、ちょっと想像してみてください。
- あなたの年収が300万円だとして、年収100万円に下がったら仕事に満足できるのか?
- あなたの年収が500万円だとして、年収300万円に下がったら仕事に満足できるのか?
- あなたの年収が3000万円だとして、年収500万円に下がったら仕事に満足できるのか?
資産も収入も、自分の最大値で脳にアンカリングされます。それが基準になるということです。
基準値より下がってしまう自分。
これに不安を感じずにいるのは、なかなか難しい気がしますね。
【現在実践中】不安に対処する方法
お金を貯めても貯めても不安になる。こうなってしまうと、ツライですよね。
だから、私は下記のような対策を取っています。
- 資産は原則取り崩さない
- 長生きリスク対策として終身年金を積み上げる
- ”好きな仕事”でゆるく働き続けられるスキルを身につける
対策①:資産は原則取り崩さない
私は、積み上げた資産はいっさい取り崩さない方針です。
高収益・財務優良の高配当株に投資して、死ぬまで配当金を貰い続ける気でいます。
元本は減らさず、企業が稼ぎ出す利益の分け前を毎年もらい続けるという算段です。配当金というのは、実に優れた自動利益確定装置です。
利益確定の意思決定を自動化してしまうというのは、ミニマリズムに通じるところがありますね。
「売る!」っていう意思決定をするのは、すごく大変ですし難しいわけです。
- 資産は取り崩さない
- 利益確定は配当金で自動に
このやり方だと、株式投資をはじめて以降まったくストレスがありません。自分が何歳になっても通用する、一貫性のある投資スタイルです。
私は、老後になっても不安なく同じことをやっている予定です。
※死後は、「先祖代々の株」として、延々とバトンタッチし続けていけばOK。今後の日本は、人口減少により社会保障面でハードになると思いますが、高配当株があれば子ども達の生活をラクにしてあげられるかなと思ってます。
対策②長生きリスク対策として終身年金を積み上げる
寿命を見据えて資産額をコントロールしようとすると、話がややこしくなります。死期がいつ訪れるかは、誰にも分からないからです。
逆に言えば、いつ死んでも大丈夫な状況を作れれば、余計なことを考えなくても良くなります。
結論としては、終身年金(じぶん年金である配当金を含む)を積み上げておきましょうということです。
終身年金こそが、最強の長生きリスク対策になります。終身年金を積み上げておけば
- 70歳まで生きようが
- 80歳まで生きようが
- 90歳まで生きようが
- 100歳まで生きようが
自分が生きている間、何の心配もありません。いつまで生きるかを不安に感じながら暮らすこともなくなります。
日本はすでにトップクラスの長寿国であり、平均寿命は延び続ける一方です。
- 65歳まで生きた女性の2人に1人が90歳まで生きる
- 65歳まで生きた男性の4人に1人が90歳まで生きる
- 女性のうち、16人に1人が100歳まで生きる(男性は100人に1人)
100歳以上の高齢者は、なんと30年前の50倍になっています。
(出典:厚生労働省資料)。
こういう時代だからこそ「長生きに賭ける」スタンスでいた方が良いのかなと思います。
対策③:好きな仕事で、ゆるく働き続けられるスキルを身につける
幸福に生きるためには3つの資本が必要です。
- 人的資本(働いてお金を稼ぐ力)
- 金融資本(預金や株式、債券など)
- 社会資本(家族、友人、同僚など人との繋がり・絆)
1億円貯めてリタイアしたいけど、不安。
そう感じる人がいるのは当然です。リタイアすると人的資本のすべてを失ってしまうからです。
3つの柱の1つを失ってしまう。さらに金融資本も「あとは減るだけ」という状況になる。
すると、幸福の源泉がひたすら減少し続けることになります。
だから、私は基本的には生涯働き続けたいと思っています。会社員としてではなく、自営業(スペシャリスト)としてです。
キラキラしたフリーランスのようなことを言ってしまい恐縮ですが
- 働く時間を選べる
- 働く場所を選べる
- 働く内容を選べる
大きな裁量をもって、自分の能力を発揮して楽しめる仕事があれば、報酬が減ったとしてもそこまで満足度が下がることはないでしょう。
サラリーマンの副業チャレンジの良いところは、こういう働き方を「お試し」で体験できるところです。
稼げるものから稼げないものまで、興味をもって楽しくやれそうなものは手当たり次第にやってみればOKということです。
会社を通さずに個人で稼ぐ方法を身につけておくと、圧倒的に人生の安定感が増しますよね。
- 生活費が年間300万円なら、3,000万円あっても10年で底を尽きます
- もし年間200万円稼げれば、赤字は100万円に減少。3,000万円あれば30年もつようになります
言うまでもなく、人的資本のインパクトは大きいです。
まとめ:お金を貯めまくれば安心という考えはNGかも
まとめます。
1億円あっても不安を感じてしまう理由は、下記かなと思います。
- 右肩下がりで減り続けるのが怖い
- いつ死ぬか分からない
- 稼げない自分に価値を感じられない(または機会損失を感じる)
- 貯金100万円の人は、貯金が1,000万円ある人は不安なんてないだろうな~と思ってますし
- 貯金1,000万円の人は、貯金が5,000万円ある人は不安なんてないだろうな~と思ってますし
- 貯金5,000万円の人は、貯金が1億円ある人は不安なんてないだろうな~と思ってます
でも、先人に聞けば分かりますが、結局上限なんてないのです。
「お金が貯まれば安心できる!」と思っている人ほど、いくら増やしても安心できることがありません。むしろ減らすことの不安が大きくなってきます。
これでは、何のために頑張って蓄財したのか分からなくなってしまいますね。
幸福の源泉は次の3つです。
- 人的資本
- 金融資本
- 社会資本
大切なのは、いくら貯金できるかではなく、いかにこの3つの資本を維持・成長させるかだと思います。
そういう観点では
- 貯めた資産は取り崩さない(コップからこぼれ落ちる水=利息・配当だけ使う)
- 好きな仕事で稼ぐ方法を模索し続ける
というのは、合理的な対策かなと思います。
それではまたっ!
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