こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マンです。
- 新卒で経理をやってみたい
- 未経験から経理に転職してみたい
- 経理としてキャリアアップしたい
という相談を受けることがあるので、どんなパターンにせよ必ず知っておくべき情報をまとめておきたいと思います。経理職に階層があるという話、転職エージェントですら理解してなかったりするので、結構貴重な情報だと思います。
目次
経理のキャリアを考えるうえで、「階層」に関する意識は必須
詳細は、こちらの記事をご参照下さい。
経理には全部で4階層あります。
- 第1階層 CFO候補
- 第2階層 システムオペレーター
- 第3階層 専門家
- 第4階層 何でも屋
です。以下、詳しく見ていきます。
第1階層 CFO候補
この階層の会社では、システム化と外注化の双方が進んでいます。
経理の仕事はファイナンスよりの仕事が多く、投資意思決定、タックスプランニング、予算管理やインセンティブ制度等を含めた管理会計システム自体の維持運営改善など、会社を動かしていくための制度自体に関わる仕事が多いです。
(引用:経理業界ナビ)
これがトップ階層である第1階層のお仕事です。ちなみに、CFOというのは財務最高責任者の略です。
見ての通り、財務会計チックなお仕事はほとんどありません。仕訳がどうだとか、申告書の作り方がどうだといった話題はほとんど出てきません。
財務会計の分野というのは、法令や会計基準に準拠した財務諸表の作成がメインの仕事になりますが、結局それってただのルーティンなんですよね。やはり、経理の単純作業というのはAIに取って代わられる運命にあるのです。
キーワードはシステム化と外注化です。一定のルールに従って財務諸表を作るだけなら、ある程度システム化した後に、最低限残ってしまう人間の泥くさい作業は外注してしまえばいいんです。
第1階層(CFO候補)がやるお仕事というのは、そういうシステム化や外注化が終わった後にやるべき、「本当に会社の利益に貢献できる経理」のお仕事です。
文句なしの出世候補ポジションですね。こういう立場で投資の意思決定やら予算管理に携わっている人は、AIに取って代わられる心配は不要でしょう。
第2階層 システムオペレーター
この階層の会社では、ルーティン作業については、比較的システム化が進んでいて、ある程度効率的に仕事ができるような仕組みになっています。
(引用:経理業界ナビ)
システム化がほぼ完了している会社での経理のポジションです。新興の大企業では、このようになっていることが多いです。
昔ながらの大企業は、システム化はそこそこに、人員の多さ・資金力にモノを言わせて人海戦術でゴリ押ししているところも多いので…
やはり、新しい世代の経営者たちは、発達したシステムをうまく利用して経理のコストを下げていますね。
請求書の勘定科目を、経理の人が個々に判断しなければならない状況は少なく、「一番情報を持っているのは上流(=発注部署や請求書を受け取った部署)なんだから、その人たちが持っている情報をうまくシステムが取り込んであげれば良いよね」という考え方がある程度社内に浸透しています。
(引用:経理業界ナビ)
結局、経理の人の役割は「システムの管理人」ちっくなものになっています。やってる仕事は会計コンサルのようなイメージでしょうか。社内経理業務のプロセス改善・自動化が済んだ後は、勘定科目マスタなど、システムを動かす各種マスタのメンテなどをしています。
経理の仕事がAIに取って代わられるという話でイメージしやすいと思いますが、自動化されたとしても最低限人間が関わらなければならない部分は残ります。その、最低限人間が関わらければならない部分を担当しているのがこの第2階層の人達です。
10人経理マンがいたとして、8人クビになって残った1人がやるお仕事というイメージです(もう1人は第1階層の仕事)。
第3階層 専門家
会計/税務の専門家ポジションです。
経理の仕事と他部署の仕事は区分されていて、例えば、経理の担当者が給与に係る社会保険料や個人所得税の金額を計算する、というようなことは少ないです。
ただ、経理内で使用しているシステムは、決算を締めるために必な最低限のもので、効率的とは言いにくい状態です。
システムによる自動化が完全にできていないため、各分野で専門家が生まれる環境です。例えば
- 退職給付会計に詳しいのはあの人
- 法人税法に詳しいのはあの人
- 固定資産に詳しいのはあの人
といった感じです。どうしても業務が属人化しがちで、ブラックボックス化してしまっていることも多いです。
会計や税務に詳しい専門家ではありますが、残念ながらここはAIに取って代わられるポジションです。
今や誰でも簡単に会計ルールや税務の判例などを調べられるようになりましたから、優位性は明らかに下がってきています。
会計業界の報酬も下がっていますから、社内でやるより会計事務所に外注してしまった方が安あがりかもしれません。
社内経理マンと会計事務所でのコスト競争ですね。こういった価格競争に巻き込まれた場合、まず生き残るのは難しいですね。
第4階層 何でも屋
人事(給与計算)や総務の業務を兼任している経理です。社員数が少ない中小企業における経理の典型的なパターンです。
いわゆる中小企業の総務/経理担当、人事/経理担当のような近いイメージです。給与の送金から出張旅費の精算や、請求書の支払処理や、銀行口座や小口のキャッシュの管理など、なんでもやります。
もしかしたら、経理に詳しくない一般の人たちがイメージする経理はこういう仕事をしている人達かもしれません。伝票を作成していたり、請求書を作っていたり、現金を管理していたりする人達です。
このポジションの人達も、システム化と外注化の波からは逃れられません。
誰でもできると言うと語弊があるかもしれませんが、とにかく会社に対する利益貢献度が低い仕事なので、自分よりコストが低い代替手段(システム化、外注)があれば簡単にそのポジションを奪われます。
ずっとこの階層に留まるというのは結構リスキーな選択肢です。
経理のキャリアアップの考え方
「経理の階層が4つに分かれていることは分かった!じゃあどこを目指せば良いのか?」という話です。基本的な選択肢は
- 給料を上げる
- やりがいのある仕事をする
- その両方を手に入れる
のいずれかということになります。
①給料を上げる:階層と年収は必ずしも紐づいているわけではないので、給与水準が高い会社を目指す
実は、階層と年収はあまり明確な関係がありません。なぜなら、給与の多い・少ないは業務内容ではなく会社の給与水準によって決まるからです。
第3階層にいる人達すべてが、第4階層の人達より給与が高いということはないのです。だから、経理のキャリアを描くうえで「給与を高くしたい」のであれば、することは1つです。
給与水準が高い会社に入る
それだけです。階層をアップさせなくても、同階層の移動で全然OKです。なんなら下の階層に移動しても良いです。
難しい仕事・大変な仕事は給料が高いなんて思ってはいけません。
A社とB社、まったく同じような経理業務をしているにもかかわらず給与水準が違うということは全然ありえるのです。ようは、会社が儲かってるかどうか、それだけなのです。
経理の仕事はどの会社でも行われていてつぶしが効きやすいと言われていますが、それは真実です。
私も転職活動で企業からスカウトを貰いましたが、なんと!9割が同階層の会社です(弊社は第3階層)。そらそうですよね。私の履歴書は第3階層の業務に特化されていますから。
中途採用では即戦力であるかどうかが求められますから、第2階層や第4階層の会社からお呼びがかかることは少ないのです。
こんな感じで、同階層での移動は容易です。だから、経理のキャリアとして「給与をあげたい」というのがあるならば、同階層で給与水準が高い会社に移ればいいのです。本当にそれだけです。
カネが欲しいなら、給与水準が高い会社に潜り込んで、社内でマネージャーや部長ポジションを目指す。それが一番合理的です。
②やりがいのある仕事をする:CFO候補を目指す
ズバリ言いますが、経理でやりがいのある仕事というのは
- システム化や外注化によって奪われない仕事
- 会社の利益に貢献できる仕事
です。そう、結局経営に近い仕事、CFOに近い仕事なんです。
上の階層に移動するのはとても難しいです。年齢が上がれば上がるほど難しくなります。
だから、もし上の階層で仕事をしていきたいなら、若いうちからキャリアパスのイメージをしっかりもっておく必要があります。
例えば、大企業(第3階層)に勤めるマネージャークラスの人材が、ベンチャー企業(第1階層)のCFOの仕事をするのは無理なんです。
だって、階層(やってきた業務)が違いますからね。
年齢を重ねてから、突然上位階層の仕事がしたいと思っても、詰んでるケースが多いです。30歳後半とか40歳とかになってから階層を変えるのはかなり厳しいと考えて下さい。
CFO候補を目指すキャリアパスについては、また別途記事にしたいと思います。
まとめ:キャリアアップを考えるうえで、階層に関する理解は必須!
社内でこの「階層の話」をすると、
そんな見方があったのか!
という反応が多いです。それぐらい、盲点になっているモノの見方です。
経理の仕事を考えるうえでは必須なので、ちゃんと理解しておきましょう!
- 第1階層 CFO候補
- 第2階層 システムオペレーター
- 第3階層 専門家
- 第4階層 何でも屋
- キーワードは「システム化」と「外注化」
- 第3・第4階層はAIに取って代わられる斜陽業界
- 同階層間の移動(転職)は難しくない
- 下の階層への移動も難しくない
- 上の階層への移動は難しい
- 給与を上げたいなら、同階層で給与水準の高い会社に移るのが一番ラク
- やりがいのある仕事がしたいならとにかく上の階層を目指すべき
稼げる経理マン、生き残れる経理マンを目指して頑張っていきましょう!
それではまたっ!
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