こんな悩みにお答えします。
こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
私は、新卒で一部上場企業に入社後、経理・財務で10年以上の実務経験を積んでいます。
簿記1級や証券アナリスト・TOEIC800点オーバーなどの資格を取った、いわゆる意識高い系です(*ノωノ)
実務経験もかなり豊富です。
転職サイトに登録すると、有名企業からもたくさんがスカウトメールが届きます。
実際、書類選考で落ちたことはないですし、面接でも評価してもらえているので、履歴書のポイントはおさえられているかと。
目次
【中途】経理の履歴書で「自己PR/強み」を書く時、おさえるべきポイント2つ
経理経験者が転職する場合、自己PR・強みといった項目を記載するうえでおさえるべきポイントは、2つしかありません。
- 利益に着目する
- ガバナンス(統制)に着目する
この2つです。
この2つが大切な理由は、経理部のミッションを考えると見えてきます。
- 法令の要求する会計・税務資料を作成すること
- 経営に役立つ情報を提供すること
- 予算管理や原価管理等を通じてコストを最適化すること
- 会社財産を守ること(不正やミスを発生させない)
②と③が利益に関わること、④がガバナンスに関わることですね。これらが重要なのは、企業価値にダイレクトに影響してくるからです。
昔は財務会計ができるだけで十分喜ばれていたのですが、最近は事情が変わりつつあります。
「財務会計はもちろん大事だけど、それ以外にももっと付加価値を出してね~」というプレッシャーを受けるようになっているわけです。
財務会計まわりの業務ができるかどうかは、職務経歴や資格を見れば分かること。自己PR・強みといった欄で説明する必要はありません。
良い会社に入るためには、高倍率の選考を勝ち抜かなくてはいけないですから、やはり
- 利益
- ガバナンス
この2つに着目して、「付加価値を出せる人材」としての自己PRをしておきたいところです。
“利益”に着目した自己PR
収益-費用=利益
利益をアップさせようと思ったら、
- 収益をアップさせるか
- 費用をダウンさせるか(コストカット)
の2つしか道はありません。
優秀な経理担当者は、自分の仕事が「収益アップ」に繋がるものなのか、「コストカット」に繋がるものなのかを常に意識しています。
つまり、利益に気を配りながら働いているということ。
✕ 決算業務を担当したことがあります
〇 決算業務を担当しつつ、報告資料を経営層が要求するフォーマットに組み替えてきました
✕ 資金運用の業務をやったことがあります
〇 運用先を変えて受取利息・配当を前期比で3.0%増やし、金融機関と交渉して支払金利は0.5%削減しました
✕ 法人税の申告業務をやったことがあります
〇 法人税の申告業務を通じて、年間200万円の節税を達成しました
“ガバナンス(統制)”に着目した自己PR
ガバナンスの強化に貢献できる人も求められています。会社財産(モノ・カネ)を守ることが、経理部の重要ミッションだからです。
- マニュアル化/規程化
- 業務フローの整備/可視化
- 他部署への定期的な牽制(けんせい)
不正やミスによる、会社財産の損失を避けるということですね。
具体的には、こんなイメージです。
〇 属人化リスクの多い業務があったため、マニュアルや規程を8種類整備しました
〇 資金決済フローをチェックしたところ、不正が起こるリスクを発見したので業務フローを修正しました
〇 備品の紛失が多かったため、半期毎にランダムで部署を選定し、抜き打ちで棚卸させる運用を作りました
経理部員でも見落としている人が多いので声を大にして何度も言いますが、
(出典:税務会計情報経営サイトTabisLand)
近年は日産のカルロス・ゴーン氏の不正疑惑や、高級牛肉店の従業員による不適切動画など、いろいろなニュースが報道されています。
こういうことが起きれば
- 業績が下落
- 株価も下落
- 財務体質も悪化
- 銀行からの心象が悪化し、借入条件も悪くなる(借入可能額が減る、金利が上がる)
といった事態につながりかねません。
経理部員が自己PRをするときには、ガバナンスの質は企業価値に大きな影響を与えるということをよく意識しておきましょう。
こんな「強み」が通じるのは大学生まで
大切なのは
- 利益
- ガバナンス
の2つの視点。
強み①:真面目です!
コツコツと着実に業務をこなすことができます!
こういうのは、まったくアピールにならないと思います。
もともと、経理には真面目な人が多いですしね。
強み②:勉強熱心です!
会計も詳しいし、税法も詳しいです。日々、努力して知識をアップデートしています!
これも厳しいです。
大学生や未経験者なら問題ないですが、経験者の中途採用はポテンシャル採用ではありません。
- 「どんなことを知っているか」よりも
- 「何をやって貢献してきたか」を
利益とガバナンスに絡めて語るべきです。
強み③:数字に強いです!
資料の分析が得意です!
「数字に強いから何がどうなったのか」をしっかりアピールできる必要があります。
分析してそれで終わりなら、会社としては付加価値ゼロです。
- 分析
- 他部署へのフィードバック
- 売上アップまたはコストカット成功
こんな流れを作った実績があれば◎。
一方で、計算が早いとか間違いが少ないとか、そういう意味の「数字に強い」は魅力に乏しいです。
強み④:人から信頼されてます
お金を扱う経理職は信頼が命。私は人から信頼されやすい性格です。
中途採用では厳しいですね。
強み⑤:時間管理に厳しいです!
経理の仕事は締め切り厳守。今まで、タスクの期日を過ぎてしまったことはありません。
これも普通のことです。
※できていない人、いっぱいいるんですけど…でも本来は普通のことなんです。
結局、『利益』か『ガバナンス』に結びついていないアピールは、すべて「だから何?」という印象に落ち着いてしまうということです。
【例文アリ】中途採用ならここまで自己PRしたい
経理部員の履歴書において、自己PR/強みの書き方は、この3つしかありません。
- 収益アップに貢献できること
- コストカットに貢献できること
- ガバナンス強化に貢献できること
順番に見てみましょう。
強み①:収益アップに貢献できること
新規事業の立ち上げの際、経理の立場としてプロジェクトに参加しました。新規事業は3年目から黒字になっています。
設備投資に伴う減価償却費や、新商品販売に伴う販促費や広告費をシミューレションし、適切な投資額/投下タイミングを算定していました。
数字をマネジメントできる人材として、チームのなかで役割を果たせたと思います。
他部署と協力して事業推進に貢献できる経理は、付加価値が高いです。
- 経営管理資料の改善
- KPIマネジメントの推進
- 新規事業推進
- 買収戦略の立案
こういう仕事ができると、引く手あまただと思います。
とはいえ、こういう仕事を経験できる経理担当者はごくごく少人数。
鉄板なのはやはり、「コストカット」と「ガバナンス強化」です。
強み②:コストカットに貢献できること
法人税担当者として、3つの観点から節税策を提案しました。
- 減資を行う
- 配当への源泉税がない&法人税低率である国の子会社から配当を受けるスキームを構築
- 税額控除制度を最大限に活用する
結果として、年間3,000万円の節税に成功しました。
原価管理担当として、原価低減を推進しました。外注化や生産拠点の統廃合により、〇〇セグメントの製品原価率を1.5ポイント改善できました。
こういうアピールができる人は強いですね。
コストカットできる金額が、その人の人件費を上回るなら、企業からすればタダで雇えたも同然なわけですから。
- 予算管理担当者として全社部署への牽制を強化。結果、前期比2%のコストカットに成功
- 業務の効率化により、10人でやっていた業務を8人でできるようにした
- 取引先の見直しにより、会計システム利用料を〇〇百万円削減した
数字ベースでいくらのコストカットが成功できたのか、語れるとバッチリです。
ちなみに、
- マジメだな
- 問題意識が高いな
- コミュニケーション能力があるな
とか、そういう長所は、エピソードの内容から自然と伝わります。
あえて言う必要はありません。
強み③:ガバナンス強化に貢献できること
会社財産(モノ・カネ)の保全を強化すべく、業務フローの見直し/可視化、規程作成を推進してきました。
- モノ=棚卸資産/固定資産 → 実地棚卸や現物管理の強化
- カネ=現預金、投資有価証券 → 決済フローの見直し、運用ルールの明確化
また、過去に起きた不正事例を各部署長と共有し、啓蒙活動も行っています。
経理と言えば、攻めより守りのイメージですよね。
リスクマネジメントや内部統制は、まさにそのイメージ通りの職務です。
急成長中のベンチャー企業や中小企業などは、社内整備が追い付いていないのが通常なので、守りの人材は喜ばれる傾向にあります。
1円も生まない仕事に見えますが、リスクが発現した時のダメージの大きさを考えれば、その価値は非常に高いと言えます。
1つの不正で会社が傾くこともありますからね。
CIA(公認内部監査人)などの人気が高まっているのもピンときます。
補足:自己PRに追加して『盛った感』をおさえる
「利益」や「ガバナンス」に着目して語ると、魅力的なPRができます。
しかし、そうは言っても経理はコストセンター。地味なルーティンワークが存在することも事実です。
ルーティンをこなさなくてはいけないということも事実なので、そちらにも責任感をもって取り組みます。
実際、経費精算や請求業務、開示書類の作成といった実務も経験してきています。
ただ、これらのルーティンをこなすだけで終わるのではなく、利益やガバナンス強化に貢献できる業務の時間を増やしていきたいと考えています。
こんな感じでフォローしておくと良いかと思います。
業務の選り好みをして、ルーティンをやらない奴だと思われても面倒ですからね。
【経理の転職】ポイントをおさえた「自己PR/強み」作成ステップ
利益とガバナンスという2つのポイントをおさえるためには、次の手順を踏めばOK
- 担当した業務の棚卸をする
- 各業務において、利益・ガバナンスの観点からどのように貢献できたかメモる
- ②のなかで、インパクトの強いものをピックアップする
この流れでOKです。
イメージとしては、こんな感じでまとめればいいでしょう。
そもそも会計・税務職は専門職ですから、ルーティンをこなせるだけでも求人はあります。
普通の人は簿記とか税法とか知らないですからね。ルーティンをこなせるだけで十分喜ばれる会社もあります。
とはいえ、「長所」「強み」アピールがルーティン部分についてのものだと、競争力が弱まりがちなのも事実。
できれば利益やガバナンスに「〇」がついた項目について、それを裏付けるエピソードを用意しましょう。
そのクオリティが高ければ、選考は怖くない、というわけです。
※ちなみに、ぶっちゃけた話をすると、雇われサラリーマンのほとんどは、”利益”とか”ガバナンス”とか”企業価値”とか考えていません。
意識の高い話は、経営層や部長クラスには刺さりますが、現場マネージャークラスだと刺さらない可能性があります。
彼ら(の一部)にとっては、その人を採用することで自分が楽になるかどうかがすべてだからです。
面接では、そのへんも見極めて自己PRをする必要がありますねw
まとめ:利益&ガバナンスを絡めて強みを自己PRできる経理は強い
結局、強みの自己PRには、3パターンしかありません。
- 収益アップに貢献できること
- コストカットに貢献できること
- ガバナンス強化に貢献できること
真面目さや責任感、コミュニケーション能力といった長所は、これらのエピソードを語るうえで自然と伝わります。
自分の実務経験が、どのように『利益』や『ガナバンス』に結び付いているのか、うまく説明できる人は意外に少ないので、ぜひ意識してみてください。
という人は、転職エージェントに相談してみると良いですよ。
ひとりで悩んで時間をムダにするより、エージェントの助けを借りる方が近道です。
最近の転職市場では、転職エージェントを使わないで転職活動をしている人は少ないです。
転職エージェントは転職のプロですし、企業側ともパイプがありますから
- エージェントからアドバイスを受けて選考に臨む人
- そうじゃない人
を比べると、どうしても前者が有利になります。
経理の人におすすめのエージェントはJACリクルートメントですね。
職種の専門性を評価してくれて、「経理向け」のアドバイスをしてくれます。
- 「経理のコト」がわかっている
- 履歴書の具体的なアドバイス・添削アリ
- 企業毎の書類選考ポイントをチェックしてくれる
- 面接シミュレーションにも付き合ってくれる
- こちらの職歴や性格などを考慮して、キャリアのアドバイスをくれる
- ハイクラス&非公開の求人案件もたくさんもっている
ということで、かなり優秀なエージェントです。
この記事を読み終えても「うーん、うまく履歴書書けるかな…」という悩みが消えないとしたら、それは優秀なエージェントを味方につけるべきタイミングということです。
相談するだけならノーリスク。無料のアドバイスなんて、もらわないと損!なので、ぜひ活用してみて下さい。
それではまたっ!
※関連記事です
JACリクルートメントの他にも、経理の転職に役立つエージェントはいます。3社に厳選してまとめてあるので、興味のある方はご覧ください。エージェント選びは、間違うと時間もやる気もムダにしてしまうので、超重要です。
ちなみに、経理の転職で最も評価される資格の1つが「日商簿記検定1級」です。
経理にとっての外資系企業についてまとめました。誰もが一度は気にしたことのある話題かもしれません。気になる方は、ぜひお読みください。
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