【現役経理のぶっちゃけ話】上場企業の経理で税理士資格は役に立つのか?

 

こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マン(@kobito_kabu)です。

私は学生時代から経理/財務職に関心を持っていたため、どのような資格・スキルが経理に役立つのかを考え続けてきました。

職場の後輩や就活中の学生から色々と相談を受けることもあるのですが、そのなかで割と多い質問がコレ。

後輩
上場企業の経理で税理士資格は役に立つのか?

です。

 

税理士資格は、上場企業内で働くのに役立つか?

  • 独立開業している税理士を開業税理士
  • 会計事務所や事業会社に勤めている税理士を勤務税理士

と呼ぶことがあります。

今回の話題は、独立開業の話題ではなく、勤務税理士に関するお話です。

 

昇格・昇給に役立つか?

多くの時間や教材費などのコストをかけて「税理士」のような専門知識を身につける目的は、究極的には経済的メリットの享受だと思います。

その観点から、税理士資格が社内での昇格や昇給に役に立つかという質問に答えると…

残念ながら、役に立たないと思います。

 

役に立たないと思う理由は

  1. 日本の大企業には、特殊スキルを評価する仕組みがない
  2. 上場企業には、税務顧問・コンサルがいる
  3. 出世に必要なのは、税務知識よりも社内政治力

と考えているからです。これが実感。

 

まず、「①日本の大企業には、特殊スキルを評価する仕組みがないについてです。

ご存じの通り、日本企業は一般的に年功序列という仕組みを採用しています。そして、年功序列の企業の中では、個人の特殊スキルが評価されることは少ないのです。

例えば、

  • 20代の税理士有資格者
  • 30代の社員

で、先に昇格するのは30代の社員。「年次」が重視されるためですね。

 

外資系など、完全に実力主義の会社であれば若い人材の登用もあるかもしれません。しかし、古き良き日本企業では、そんなに思い切った人事は出来ません。

たとえ税理士資格が有っても、それをひっくり返すだけのパワーはありません。年次が同じで社内の評判・経験に差がない場合、はじめて税理士資格が考慮される…そのくらいのレベルだと思います。

税理士資格の難易度を考えるとあまりにコスパが悪いですね。

※経理の世界における年収の現実、スキルアップと年収アップの関連についてはこちらの記事をご覧ください。

経理の年収にまつわる3つの「残酷な真実」と年収アップ戦略

2019.02.26

【何度でも言う】経理のスキルアップ=年収アップではない

2019.04.28

 

次に、②上場企業には、税務顧問・コンサルがいるについて。

大企業には、組織再編や移転価格税制など、会社経営に対するインパクト・リスクの大きい税務論点が存在します。しかし、これらの複雑な税務論点に対して、大企業の経理部はこう考えます。

社内人材ではなく社外専門家の力を借りて対応しよう!

なぜなら、その方が社内調整がしやすいから。「社員の1人の提案です」より、「外部コンサルがこう言っている」の方が尊重されやすいわけです。

 

一般事業会社では

  • 税理士向けの複雑な税務論点:社外専門家が対応
  • 日常的な税務論点:一般社員で対応

という役割分担になりやすく、結果として勤務税理士は活躍しにくい状況になります。

 

最後に、「③出世に必要なのは、税務知識よりも社内政治力」について。

会計や税務といった知識は、ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)と呼ばれることがあります。

A社にいようがB社にいようが、どの会社でも決算や税務申告は行っていますから、ポータブルスキルを持っている人はどこにいっても働くことができます。

 

税理士が持っているような高度な税務知識は、ポータブルスキルです。だからこそ、悲しいことに「替えがきく」ことになります。

税務に詳しい人は、社外にいくらでもいます。しかし、社内のことに詳しい人材は、外部には絶対に存在しません。

持ち運び不可な、その会社の中でしか通用しないスキル(社内人脈など)を有している人の方が、出世や昇格には圧倒的に有利です。替えがきかないからです。

 

うちの職場においても、税理士有資格者をさしおいてバンバン昇格している人がいます。というか、むしろ無資格者の方が出世が早いとすらいえますね。

「税理士を取得すれば、尊敬されて輝ける!」なんて幻想でしかない、というのが現実です。

出世に必要なのは、税務知識(ポータブルスキル)ではなく、社内政治力(インポータブルスキル)だからです。

 

以上3つの理由により、税理士資格は出世・昇格には役に立たないと考えています(もしくは、極端にコスパが悪い)。

「税理士資格取って、出世にも役に立ったよ!」という人は、

  • 謙虚で
  • コミュニケーション能力の高い
  • 努力家

という「そもそも税理士資格がなくても出世していただろう」みたいな人が多いように思いますね(サンプルが2人しかいませんが)

 

税務に関わるために役立つか?

経済的メリットのことはさておき、次は「やりたい仕事ができるか?」という観点で考えます。

  • 税法が大好き
  • 3度のメシより税務が好き

こういう人のために、「税理士資格をとれば税務の仕事ができるようになるか?」という話題ですね。

 

結論から言うと、バッチリ税務をやることができるでしょう。

もし、「社内で税務がやりたい!」ということであれば、税理士より役に立つ資格はないんじゃないでしょうか。

グループ移動や部署移動など、人事評価と関係ないところでなら、簡単に考慮してもらえると思います。

 

税理士資格が無くても…

ちなみに、「税務がやりたい!」と思ったとき、一番おすすめの方法は「税理士資格取得」ではありません。

なぜなら、税理士試験は大変すぎるから。

税理士試験に挫折した経理マンが悟る「税理士試験がヤバい2つの理由」

2019.05.15

 

こんなにがんばらなくても、税務の仕事は手に入る可能性が高いです。方法は2通り。

  1. 社内で仕事をとる
  2. 社外に仕事をとりにいく

①今いる会社で仕事を取りたければ、実績を見せる・勉強を済ませる・ヤル気をアピールするの3点セットがおすすめです。意外にカンタンにやりたい仕事ができたりします。

②今いる会社にこだわらないなら、転職を検討しても良いと思います。資格ナシでも、年齢・経歴と転職市場の状況次第では、「税務グループ配属!」みたいな求人が見つかる可能性があります

詳しくは、以下の記事の「ステップアップできる仕事の取り方」をご覧くださいね。

経理部員のステップアップ術~現役経理部員からの忠告~

2018.08.28

 

税理士資格は、上場企業への転職に役立つか?

そもそも、「昇格や昇進に役立つか?」というところで触れた通り、上場企業では「税理士」のニーズがそんなに高くありません

それよりも、

  • 海外の駐在経験
  • 内部統制対応

など、その場その場で社内に足りていない人材をピンポイントで要求する傾向にあります。

 

また、例えば、移転価格税制に関して人材を募集しているとして…

  1. 移転価格税制対応経験のある、無資格者
  2. 移転価格税制対応経験のない、有資格者

であれば、①移転価格税制対応経験のある、無資格者の方が有利です。

 

私の知り合いで、

  • 上場企業での勤務経験ナシ
  • 税理士有資格者
  • 30代前半

で転職活動を進めていた友人がいましたが、相当苦戦していました。

税理士は、上場企業への転職のプラチナカードではないようです。もちろん、無資格者よりは評価されると思いますが、決定打になるかというと難しいところですね。

 

まとめ:勤務税理士という働き方

結論として、昇格・昇給や転職のために税理士資格をとるのは、かなりコスパが悪いと言えます。

税理士試験の難易度は、相当なものですからね。5科目合格の平均年数が7~8年とか、とんでもないです。

資格スクールなどが受講者を増やすために甘い言葉を並べていたりしますが、現実はそんなに甘くはありません。

 

「税金の仕事がしたい!」という一心で税理士試験を勉強している人なんて少数派でしょう。

結局、現実には「税理士を取得したことで、満足のいく仕事環境がGETできた!」という人は少数派なのではないかと思います。

 

税理士資格は、やはり開業税理士をやってナンボの資格だと思います。独立して独占業務(税務申告・税務相談)をするための資格というわけです。

「独立したい!」という気持ちが強くない人には、税理士試験はおすすめしません。本当に、お金も時間もかかる大変な試験ですからね。

 

というわけで、「上場企業の経理で税理士資格は役に立つのか?」でした。いち意見として参考にしていただければ幸いです。

それではまたっ!

 

※税金の知識そのものは、上場企業の経理でも多いに役立ちます。経理部員のための最適勉強法については、以下の記事をご覧ください。

【現役経理が教える】経理が税金の勉強をする一番おすすめな方法

2019.05.08

 

※「上場企業で働くのに適した資格を手にしたい!」という場合は、簿記1級がおすすめです。

簿記1級の難易度・勉強時間の目安を現役経理マンが教えます【会計のコスパ最強資格】

2019.07.10

簿記1級で就職活動に勝利した話【コミュ障の私でも勝てた】

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ABOUTこの記事をかいた人

シーウィード

こびと株.comの管理人(役割:投資対象の選定)。お金の話と健康をこよなく愛するアラサーリーマン。一部上場企業の経理/財務部で財務諸表を作成している会計の専門家(日商1級・証券アナリスト)。40歳時点で給与以外の収入(配当/不動産/サイト運営)を月額20万円にすることを目標に活動中。187cmの大男。