簿記とFPどっちがオススメ?ダブルライセンスの意味や取得の順番も考察!

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

勉強熱心な学生
簿記とFPって、お金に関わる資格だからなんとなく似ている気がするんだけど、どっちがオススメの資格なんだろう?両方興味があるけど決め手に欠ける…
金融機関勤務のOL
職場にFPを取得した人がいて、私もちょっと興味が出てきたのよね。簿記は学生の頃にとったんだけど、少しは受験に有利かな?簿記とFPのダブルライセンスに意味はあるのかしら?

こんな疑問・悩みにお答えする記事です。

 

簿記とFPの違い

簿記とは

簿記は、会社の活動を記録・計算・整理して、次の2つを明らかにする技能です。

  1. 経営成績
  2. 財政状態

①経営成績とは、会社の年間の売上高が〇〇〇万円!利益が〇〇万円!とか、そういうやつですね。要するに、利益計算です。

②財政状態とは、ある時点で会社がいくらの資産・負債を持っているかということです。財政状態をチェックすれば、お金持ちで余裕のある会社なのか、貧乏でカツカツの会社なのかすぐに分かります。

 

簿記を理解することで、企業の経理事務に必要な会計知識だけではなく、次のような力が身につきます。

  1. 財務諸表を読む力
  2. 基礎的な経営管理能力・分析力
  3. ビジネスの基本であるコスト感覚

ビジネスマン全般に役立つこともあって、簿記は非常にメジャーで人気のある技能です。

日本商工会議所が開催する「日商簿記」試験は、なんと年間で約60万人もの人々が受験しています。これだけ受験者の多い試験はそうそうありません。

 

試験の概要や勉強方法などを知りたい方は、こちらの記事にカンペキにまとまっていますのでぜひご覧下さい。

【日商簿記3級のすべて】難易度、勉強方法・勉強時間、合格率、おすすめテキスト・過去問集など

2019.11.26

日商簿記2級のまとめ(勉強方法・勉強時間、合格率・難易度、おすすめテキスト・過去問集など)

2019.11.26

 

FPとは

人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。

ファイナンシャル・プランニングには、次のことに関して幅広い知識が必要になります。

  1. 家計管理
  2. 税制
  3. 不動産
  4. 住宅ローン
  5. 保険
  6. 教育資金
  7. 年金・社会保険制度
  8. 相続・贈与etc…

これらの知識を備え、相談者の夢や目標が叶うようにサポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。まさに個人のお金の専門家ですね。

FPは簿記と同じく人気がある資格で、毎回数万人を超える受験者がいます。

FP取得のメリットと取得方法についてはこちらの記事をご覧ください。

FP3級/FP2級を学習する3つのメリット&独学勉強法

2023.07.14

 

簿記とFPの大きな違い

簿記は、個人事業/中小企業/大企業の経営成績・財政状態を明らかにする技能です。つまり、ビジネスの側面に特化した技能と言えます。一方で、FPは個人のお金に関わる専門家です。

  • 会社を相手にするのが、簿記
  • 個人を相手にするのが、FP

ということです。

2つとも「お金に関わる資格」ではありますが、対象者が全く違うということはしっかり理解しておきましょう!

 

簿記とFPどちらを取得するか

  • 企業のお金の専門家になりたいのか
  • 個人のお金の専門家になりたいのか

この観点から、どちらを受験すべきかは自然と見えてきます。しかし「う~ん、それでもやっぱり両方に興味がある!」という方のために、ポイントをいくつか比較してみましょう。

 

簿記 vs FP 受験のハードルが低いのはどっち?

まずは、どちらが受験しやすいか?という話です。

WIN:簿記(日商簿記検定)

LOSE:FP

簿記には受験制限がありません。2級~3級から受験する人が大半ですが、いきなり1級から受験することも可能です。もちろん、2~3級も受験資格はありません。

 

一方で、FPには受験資格が必要です。3級は誰でも受けることができるのですが、2級からはちょっと複雑です。次のいずれかに該当していなくてはいけません。

  1. 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
  2. 3級FP技能検定の合格者
  3. FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
  4. 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者

FP1級の場合はさらに大変で、FP2級への合格や、FP業務の5年以上の実務経験が必要だったりします。

 

どちらの試験も、2~3級は年3回の試験が行われています(1級は年2回)。年に1回しか行われない一発勝負の試験と比較すると受験しやすい試験です。

ただ、FPの方は受験資格が必要な分、簿記よりは受験ハードルが高いと言えますね。学生さんだと、「いきなり2級から受験!」というのはキビシそうです。

 

簿記 vs FP 難易度が低く合格しやすいのはどっち?

次は、どちらの方が簡単に合格できるか?という話です。

WIN:FP2~3級

LOSE:簿記2~3級(日商簿記検定)

FPの合格率は大体こんな感じです。国家試験のなかでは相当高い合格率ですね。

  • FP3級:60~70%
  • FP2級:30~40%

 

一方で、簿記の合格率はこんな感じです。2級はあまり大きく差がないですが、3級はだいぶ差がありますね。簿記の方が合格率が低いです。

  • 簿記3級:40%弱
  • 簿記2級:30%弱

※1級はどちらも合格率10%前後の難関です

 

なお、合格までに必要な勉強時間ではあまり差がありません。どちらの試験も、3級であれば50~100時間、2級であれば100時間+αといった感じです。

つまり、単純に、FP試験の方が合格率が高い分カンタンと言えそうですね。

 

簿記 vs FP 就職活動で役に立つのはどっち?

次は、新卒社員の就職活動で役に立つのはどちらか?という話です。

WIN:簿記2~3級(日商簿記検定)

LOSE:FP2~3級

私が新卒入社した10年(と少し)前から現在に至るまで、「会社が新入社員に取得して欲しいと思っている資格」で常に上位にいるのが簿記です。

  1. 会計(簿記)
  2. 語学力(TOEIC)
  3. IT(ITパスポートや基本情報技術者、MOSなど)

この3つは、ビジネスマンの基礎中の基礎と言われています。

 

※就職活動に役立つ厳選ランキング【業界・職種別】についてはこちらの記事を参考にして下さい。

【就活で高評価】文系大学生のおすすめ資格と資格が必要な5つの理由

2019.05.01

 

FPが効力を発揮する場面は限定的です。

「金融業界(銀行や生保など)」に就職するときには役に立ちます。法人担当ではなく、個人担当(投信の販売や住宅ローン融資など)の場合は重宝されるでしょう。

 

総合力では簿記が上ということですね。

 

簿記 vs FP 昇格や転職など、収入アップに繋がるのはどっち?

次は、年収アップに繋がるのはどちらか?という話です。

引き分け!

簿記はビジネスマンとしての基礎スキルとしては必須とも言えますが、実際にその知識を生かして仕事をするのは経理/財務の人達ぐらいです。

そのほかの職種の人たちは、もっと直接仕事の役に立つスキルがあるでしょう。

また、中途採用においては即戦力であることが求められますから、「(簿記3級を持っていて)基礎スキルを備えています!」というぐらいではアピールになりません。

経理/財務で転職したいのなら、簿記1級レベルを目指したいものです。

※「未経験から経理へ転職!」という場面では、簿記2級も使える可能性があります。転職市場の景気が良好な、ここ数年の特徴ですね。

 

FPは「お金の教養資格」「新卒社員(金融)の教養資格」としては魅力がありますが、「これを武器にして仕事をする」「転職する」というには少々頼りないです。

それこそFP1級・CFPクラスであれば考慮されるかもしれませんが、2~3級レベルではちょっとインパクトに欠けますね。

 

結局、簿記2~3級もFP2~3級も、

  • 仕事で専門性を生かして昇格!
  • 転職で年収アップ!

ここまでは期待しにくいということですね。

 

そもそも、日本企業の報酬体系はメンバーシップ型です。つまり、

  • どの企業に属しているか?
  • あなたは何歳か?

この2つで給料のレベルが決まります。資格を取得するなどして頑張ったとしても給料は上がらないのです(逆に言えば、給料の高い会社に入れば、頑張らなくても年齢が上がるにつれて給料が上がる)。

収入アップのために簿記やFPの資格取得を目指す!というのは方向的にはちょっとズレていると言わざるを得ないですね。

 

簿記 vs FP 結論!どっちがおすすめ?

最後に、結局どちらがおすすめなの?という話です。

簿記とFPは似て非なる試験です。両方とも「お金」を扱う資格ですが、その対象は「法人」と「個人」と大きく異なっています。ここがポイントです。

法人(会社)のお金に詳しくなりたい!:簿記2~3級(日商簿記検定)がおすすめ

個人のお金に詳しくなりたい!:FP2~3級がおすすめ

 

職種や勤務先を基準に考えてみると、こんな感じです。

ビジネススキルを高めたい営業職・経理職!:簿記2~3級(日商簿記検定)がおすすめ

金融機関勤務で金融知識の幅を広げたい人!:FP2~3級がおすすめ

また、家計管理を頑張りたい主婦の方はFPがおすすめですね。教養資格としては、学んで絶対にソンはありません。

 

簿記とFPのダブルライセンスは意味があるか

今度はダブルライセンスのお話です。2つとも取得したらどうなるの?ということです。

 

簿記とFPに相乗効果はあるか

金融機関(銀行・生保)勤務の人には、相乗効果があります

金融業界は、資格が大好きな業界です。昇格するには非常に多くの資格を取得していく必要があります。例えば、銀行によっては次のように資格毎にスコアが設定されています。

  • FP2級  8点
  • 簿記2級 10点
  • 証券アナリスト 12点
  • 中小企業診断士 15点etc…

管理職になるためには、20点以上が必要。そんなイメージです。このように、資格を取れば取るほど評価が累積されるところに勤めている場合、ダブルライセンスは大きな意味を持ちます。

 

また、「資産運用に強い興味がある!」という人にとっても、ダブルライセンスは意味を持ちます

こびと株.comメンバーの中には簿記1級・FP2級保有者がいますが、これらの資格は資産運用に大きく役立っています。

  • 簿記・・・株式投資をするにあたり、投資先の企業の財務諸表を分析できる
  • FP・・・住宅ローン選定や節税、家計管理に生かすことができる

私たちのように、「お金(について考えること)が好き!」という人には、この2つの資格はおすすめできますね。

 

両方取得するつもりなら、取得の順番はどうするべきか

順番を気にする必要はありません。この2つの資格試験にはほとんど相関性がないからです。

ただ、上の比較で見たように「合格しやすいのはFP」です。やる気を維持しながら連続合格を狙うなら、難易度の低いFPから始めた方が良いかもしれません。

簿記は少し特殊な技術で、慣れるまでにはそれなりの訓練が必要です。一方でFP試験で問われる知識は一般常識レベルのものも多く、暗記のみで対策可能な試験になっています。

これらの点を考慮しても、勉強しやすく合格しやすいFPから!という考えはアリだと思います。

 

同時受験は可能か

FPと簿記は、試験月がズレています。

  • FPの試験月:1月・5月・9月
  • 簿記の試験月:2月・6月・11月

 

同時期の受験を考えると、次の6パターンがあります。

  1. FP(1月)→簿記(2月)
  2. FP(5月)→簿記(6月)
  3. FP(9月)→簿記(11月)
  4. 簿記(2月)→FP(5月)
  5. 簿記(6月)→FP(9月
  6. 簿記(11月)→FP(1月)

FPを先に受験しようとすると、簿記の試験までは残り1ヶ月ぐらいしかありません。同時並行で試験勉強を薦めつつ、直前期になったらどちらかに集中するという感じになるでしょう。

要領の良い人であれば、日商簿記2級でも一ヶ月あれば間に合いますが、ちょっと楽観的ですね。もう少し勉強期間を確保したいところです。

簿記を先に受験した場合、FPまでは残り3ヶ月あります。同時並行で準備するまでもなく、順番に勉強するだけで十分間に合いますね。

 

結論を言うと、同時期にこれらの勉強を進めて連続合格することは十分可能です。両方3級ならイージー、両方2級ならちょっと大変というぐらいのレベルです。

就活を控えた学生さんは、時間があるうちに一気に取得してしまうのも手かもしれないですね。

 

簿記とFP どうやって勉強するか

結局、合格するためには、それぞれどうやって勉強するのが良いのか?という話です。

簿記とFPでは、取り組みやすさに違いがあります。

  • 簿記:少し特殊な技術で、とっつきにくい
  • FP:一般常識・教養レベルのものも多く、取り組みやすい

ですから、おすすめの勉強法も違っています。

 

簿記はスクール利用がおすすめ

簿記の勉強は、断然、資格スクールを利用すべきです。簿記には

  • 聞き慣れない言葉
  • なじみのない考え方

が多く、初めの理解でつまずくと「私は簿記が苦手…」と思い込んでしまいやすいからです。

 

正直なところ、簿記3級程度なら合格自体は独学でも可能でしょう。けれども、

  1. 合格できるかどうか
  2. 「正しい理解」を得られるかどうか

は、話が別だったりします。

①合格だけなら独学でもいけるかもしれないけど、②「正しい理解」はスクール利用でないとなかなか厳しい。そんな感じです。

 

  • 2級や1級へのステップアップを考えたとき
  • 実際の財務諸表を分析するとき
  • 経理実務で使おうとするとき

基礎が正しく理解できているかどうかは、大きな差になります。

簿記は少し特殊な技術。はじめの一歩こそ、スクールを利用して、正しい理解で踏み出してほしいと思います。

 

具体的には、クレアールという資格スクールをおすすめします。なぜなら、飛び抜けてコスパが良いから

  • 学習範囲が必要最低限に絞られている
  • 絞った範囲は、丁寧に説明されている
  • 時短学習のための仕掛けが多い
  • 質問が無制限
  • 価格がお手頃

しっかり活用すれば、最短の時間・費用で①合格と②正しい理解の両方を手に入れられるでしょう。

特に、忙しい人・効率的に学習したい人にはピッタリだと思います。

※資料を請求すると、無料でサンプル教材がもらえます。見てから決めればOKなので、とりあえず請求だけはしておきましょう。

 

FPは独学でOK

一方、FPについては、独学をおすすめします。専門性や難易度が、特別高い試験ではないからです。スクールにおカネを払うのは、ちょっぴりもったいないと思います。

適切な教材を使えば、独学でも十分に合格することができるでしょう。(理解もちゃんとついてくるはずです。)

具体的には、みんなが欲しかった! シリーズを活用してください。

 

教科書と問題集をそろえましょう。両方をキッチリやりこめば、着実に合格に近づきます

 

試験傾向が安定していて、難問・奇問が少ない試験なので、

  1. テキストを読む
  2. 問題集を解く
  3. 過去問を解く

というステップできちんと勉強していけば、間違いなく合格できるでしょう。

※過去問は、日本FP協会 試験問題・模範解答ページで入手できます。最低でも3回はこなしてくださいね。

 

まとめ

まとめです!

簿記とFPの違い
  • 簿記は、会社の経営成績と財政状態を記録する技術!会社のお金に詳しくなれる!
  • FPは、家計管理や保険、税制に詳しい個人のお金の専門家!
簿記 vs FP
  • 受験しやすさ → 簿記の勝ち!
  • 合格しやすさ → FPの勝ち!
  • 就活で役立つ → 簿記の勝ち!
  • 収入アップ! → 引き分け(どちらも直接の収入アップには繋がりにくい)
  • どっちがおすすめ? → 目的による!
ダブルライセンスを取る価値のある人
  • 金融機関勤務で出世したい人
  • 資産運用に興味があり、投資や家計管理に強くなりたい人
簿記・FPの勉強法

どちらの資格も、お金の教養資格としては非常に洗練されていて価値のある資格です。学んでソンすることは絶対にないと言い切れます。

軽い気持ちで受験してみてはいかがでしょうか!

それではまたっ!

スポンサーリンク
スポンサーリンク


ABOUTこの記事をかいた人

こびと株.comの管理人。一部上場企業での経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリスト、FP資格を有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。