【10分で分かる】株式投資に役立つ2月の投資トピック総まとめ【インデックス・高配当】

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。

現在、

  1. 高配当株投資
  2. インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)

の両刀で資産運用をやっています。

毎月恒例企画ということで、2月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。

 

本記事の構成はこの通り。

3本立て
  1. 日本株の投資トピックス
  2. 外国株の投資トピックス
  3. まとめ:高配当株投資のポジションについて
こびと株
それでは、本題に入りましょう~

 

日本株の投資トピックス

日本株については、以下の順番で解説します。

ポイント3つ
  1. 株価指数の推移
  2. その他指数の推移
  3. 2月のトピックス

 

①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)

2月28日時点の株価は、この通り。

  1. 日経平均株価:26,527
  2. TOPIX:1,887pt
  3. J-REIT指数:1,877pt
  4. マザーズ指数:726pt

※端数は四捨五入

 

この4つの指数の、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。

こびと株
年明け以降、下がり続けています

 

値下がりの主な要因は、この通り。

値下がりの主要因
  1. 新型コロナウイルスのオミクロン変異株感染再拡大
  2. 世界各国でのインフレ進行・金融引き締め
  3. ウクライナ情勢

※日本では、さらに「岸田政権」という個別のネガティブ要因もあります。

 

日本の株式市場は、今、どんな状況なのか?

厳密な定義があるワケではありませんが、過去52週間の高値から

  • 終値が、10%下落すれば「調整局面入り
  • 終値が、20%下落すれば「弱気相場入り

とされています。

補足:調整局面ってナニ?

値上がりが続いた後の、下落局面のこと。

  • 一時的な下落なのか(すぐに反発して、また再度株価が上昇していくのか)
  • 中長期的な下落トレンドへの転換なのか(弱気相場入りするのか)

どちらに行くか、見極めが必要な重要局面。

 

日経平均の高値は、2021年9月14日につけた30,795円です。

2月末の終値は、ここから約13.9%下落しています。

1月の時点ですでに10%以上の下落を記録していましたが、本格的に調整局面入りしていると見るべきかなと思います。

こびと株
コロナバブル、もう終わっています

 

2月単月の動きを見ると、この通り。

  • TOPIX    ▲0.48%
  • 日経平均株価 ▲2.04%
  • J-REIT指数  ▲2.46%
  • マザーズ指数 ▲6.11%

 

相変わらずマザーズの下げがひどいですが、いったん底を打っているようにも見えますね。

個人的には、ちょっと「売られすぎかな」というところまできています(投資スタイルに合わないので買いませんが、かなり割安に見える株もあります)。

 

現在注目されている「株価の下げ要因」は、いずれも大物です。

こびと株
乱高下が続くことが予想され、難しい相場が続きそうです。

 

②その他指数の推移

この3つをチェックしておきます。

3つの参考材料
  1. GDP
  2. 景気動向指数
  3. その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)

 

最初に、①GDPについて。

2021年10月~12月期のGDPが発表されました。

結果はこの通り。

  • 年率換算で5.4%増と、プラス成長を確保
  • でも、コロナ前の水準にはギリギリ届かず

 

こちらのグラフをご覧ください。


(出典:日経新聞「GDP、コロナ前に1兆円弱届かず 回復力で米欧に見劣り」)

 

コロナ前のGDPを100とすると

  • 欧米は、すでに回復済み
  • 日本だけ、100に届かず

という感じ。

こびと株
経済を優先すべきか、感染抑制を優先すべきか、もどかしい状況が続いています。

 

次に、景気動向指数(先行指数)について。

12月の数値(2月25日公表)は、104.8となりました。

(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況

 

補足:景気動向指数とは

景気動向指数は、

  • 景気全体の現状を知ったり
  • 将来の動向を予測したりするときに

使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。

色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。

 

景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。

ココを見よう
  • この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
  • プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?

ココ1年の推移を見てみると、この通り。

  • 1月 97.9(前月比+0.4ポイント)
  • 2月 98.9(前月比+1.0ポイント)
  • 3月 102.2(前月比+3.3ポイント)
  • 4月 103.5(前月比+1.3ポイント)
  • 5月 102.5(前月比−1.0ポイント)
  • 6月 104.7(前月比+2.2ポイント)
  • 7月 105.0(前月比+0.3ポイント)
  • 8月 102.3(前月比−2.7ポイント)
  • 9月 100.9(前月比-1.4ポイント)
  • 10月 102.2(前月比+1.3ポイント)
  • 11月 103.9(前月比+1.7ポイント)
  • 12月 104.8(前月比+0.9ポイント)←New!!
こびと株
2021年5月あたりを境に「下げトレンド」に入ったように見えましたが、持ち直したようです。

とはいえ、勢いは鈍くなっていますね。

 

色々な指標を眺めてみると、先月に引き続き

  • 在庫が減っているし(モノが売れる=在庫が減っていく=好景気)
  • 機械の受注は増えているし(企業は、先行きが明るくないと設備投資して機械を買いません)
  • 新規求人数は増えているし(企業は、先行きが明るくないと人を採用しません)
  • 中小企業の売上見通しは良いし(景気の影響を受けやすい中小企業の売上見通しが良いことは、プラス要因です)

全体的に、企業の経営環境は悪い雰囲気ではありません。

 

実際、上場企業の業績は過去最高です。

上場企業の2021年4~12月期は、純利益の合計が前年同期比58%増の32兆921億円で過去最高だった。

(出典:日経新聞「上場企業、純利益最高に 4~12月最終集計」)※赤字は筆者

 

前年同期の純利益は約20兆円だったので、大幅増です。

好調だったのは、自動車・部品商社海運などですね。


(出典:同上)

 

「増益」または「黒字転換」の企業の割合は、60%超

ここ数年では一番高い水準です。


(出典:同上)

 

懸念点は、2つです。

  1. 業績の回復・上昇ペースは鈍化してきている
  2. ウクライナ情勢(後述)

要するに、今後「企業の業績が悪くなる可能性が高まっている」ということ。

こびと株
配当性向に余裕がない高配当株を、迂闊に買い増して良いフェーズではないと思います。
補足:配当性向ってナニ?

どれだけ余裕をもって配当金を出しているか?をあらわす指標。

1株あたり配当金÷1株あたり純利益」で計算する。

たとえばNTTの場合、

  • 1株あたり配当金(予想):115円
  • 1株あたり純利益(予想):305円

なので、配当性向は115円÷305円=37.7%となる。

60%とか70%だと、結構高め。無理して配当金を出していないか、注意が必要。

30%ぐらいだと、比較的安心。

 

最後に、③その他の指数について。

まず、消費者物価指数(2月18日発表)。

こちらは、前年同月比+0.2%となりました。


(出典:日経新聞「消費者物価、1月0.2%上昇 食料が押し上げ」)

こびと株
欧米に比べると低いですが、日本の場合、プラスになっているだけで十分驚きです

インフレ率は、いま最も重要視されている指標の1つ。継続的にチェックしていきます。

 

最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。

この記事を書いている時点では、3月4日の数値はまだ公表されていませんが、予想ベースではこの通り。

失業率…2.7%(前回は、2.7%)

有効求人倍率…1.15倍(前回は、1.16倍)

どちらも、大きな動きはありません。

こびと株
数値的には、まだまだ改善の余地がありますね

先進国のなかにあって、日本だけが「利上げ?まだしないよ」と言っていますが、納得の状況です。

 

③2月の国内トピックス

2月のトピックスは、「ウクライナ情勢」です。

これは、外国株のトピックスのところで詳しく解説します。

 

外国株の投資トピックス

お次は、外国株の話題です。

外国株については、この4つの順番で見ていきます。

4つ
  1. 株価指数の推移
  2. ゴールド・債券ファンド等の値動き
  3. 高配当ファンドの値動き
  4. 2月のトピックス

 

①株価指数の推移

G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。

みんなマイナスです。

※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。

 

こびと株
2022年G7パフォーマンス駅伝、「2月中継所」通過時点の順位はこの通り。
2022年G7パフォーマンス駅伝、2月の着順
  1. S&P TSX(カナダ)  ▲0.52%
  2. FTSE100(イギリス) ▲0.62%
  3. CAC40種(フランス) ▲7.74%
  4. FTSE MIB(イタリア) ▲8.35%
  5. S&P500(米国)    ▲8.81%
  6. DAX30(ドイツ)   ▲9.74%

TOPIX(日本)は▲7.06%。

現時点では、カナダイギリスが優勢です。

 

最強のはずのアメリカさんは、だいぶ出遅れていますね。

日本株と同様、「調整局面入り」も意識されています。

https://twitter.com/goto_nikkei/status/1496234622715596800?s=20&t=iG7ntTDoxP51tKZ_6QUlcQ

 

新興国株のロシア株がひどいことなっており

個人投資家
やっぱり、全世界株なんてダメだよ。ロシアとか入ってるんだもん

というコメントも見られるようになっています。

一方で、

個人投資家
アメリカ集中投資だと、イギリスとかカナダにも投資している人に負けちゃうもんね。どこが勝つか分からないし、やっぱり全世界株は合理的だよね

なんてコメントも見られます。

 

  • 米国に集中投資するのか?
  • 先進国に分散投資するのか?
  • 新興国に分散投資するのか?
  • それとも、全世界株に分散投資するのか?

今は、一方向の分かりやすい相場ではなく、どう動くか分からない混沌とした相場になっています。

それだけに、どのスタイルが「自分にとって心地よいもの」なのか、「実感」を伴って考えられる局面になっていますね。

投資家としての経験値は、こういうときにこそ上がるものかなと思います。

 

2月単月の動きを見ると、この通り。

冒頭で触れたように、値下がりの主要因はコレです。

値下がりの主要因
  1. 世界各国でのインフレ進行・金融引き締め
  2. ウクライナ情勢

 

個人的には、今はこういう相場かなと思います。

  1. 荒れた相場でのトレードが得意な上級者→積極的にリスクを取りに行く
  2. 何がどうなろうとひたすらコツコツ積立ての長期投資派→今まで通り
  3. 投資を始めたばかりで、色々なニュースで不安になっている人→心地良いところまでリスクを下げる(キャッシュの割合を増やす)

 

すでに、「誰でもカンタンに資産を増やせる」フェーズではありません。

  • 投機目線」で攻めるのか
  • 投資目線」で攻めるのか(もしくは、守るのか)

みずからの投資経験や投資スタイルに応じて、慎重に判断したいところです。

 

②ゴールド・債券ETF等の値動き

ゴールドは、急騰しています。

有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。


(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD)

先進国株が、年初来で軒並みマイナスになっているなかで、年初来+5.97%と堅調です。

 

年初来のリターン

  • S&P500に集中投資していた場合…▲8.81%
  • 投資していなかった場合(現金のみ)…±ゼロ
  • ゴールドに投資していた場合…+5.97%

年初来2か月間の結果だけで見た場合、ゴールドへ投資していた人は米国株(S&P500)へ集中投資していた人に比べて14.78%もアウトパフォームできたことになります。

これが、長期投資の難しさです。

 

  • S&P500への長期投資は「投資の最適解の1つ」と言われますが(私もそう思っています)
  • 短期・中期的に見ると、「投資してない方がマシ」「他のものに投資していた方がマシ

ということは、多々あるんですね。

インフレ率が高止まりし、ウクライナ情勢が混迷を極めるなか、ゴールドの需要は底堅いものがあります。

 

結局、

  • 長期目線…株オンリーでオッケー(長期で見ると、金よりも株の成長率の方がはるかに高いです)
  • 短期・中期目線…分散の一角として、ポートフォリオにゴールドを組み込むのもアリ

という感じかなと。

どこまでいっても、自分の想定する投資期間・リスク許容度と向き合うことが重要です。

「自分以外の誰か」が答えを教えてくれるワケではありません。

 

私個人としては、ゴールドは「インカム」を生まないので好きではありません。

もし買うとしたら、現物で「小さなゴールド」をジャラジャラと買い集めて、円が紙切れになる「超低確率で起きる世界」の備えにする方が良いですね。

こびと株
5gの金とか、かわいい。


(参考:三菱マテリアル

 

なお、

  • 円建てのゴールド価格(赤線グラフ参照)は、史上最高値を更新しましたが
  • ドル建てのゴールド価格(青線グラフ参照)は、2020年8月の史上最高値をまだ更新していません


(出典:田中貴金属工業株式会社「過去5年間 月次金価格推移」)

ゴールド価格の動向は、引き続き要注目ですね。

 

お次は、債券です。

投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。

米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。

3つの債券ファンド
  1. AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
  2. LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
  3. HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)

 

米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。

年初来▲2.59%で、現在の分配金利回りは1.82%ほど。

投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です。

債券価格は、金利が上昇すると下がります。

現在の長期金利は1.8%前後ですが、市場関係者は、長期金利が2.0%の水準に上昇することも予想しており、個人的には「今は買わない方が良い」という立場です。

 

米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。

年初来▲4.81%で、分配金利回りは2.46%ほど。

投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です。

ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです。

こちらも、金利の上昇が見込まれるフェーズでは、積極的には買いにくいですね。

 

最後は【HYG】です。ハイリスクな債券ファンドです。

年初来▲3.79%で、現在の利回りは4.18%ほど。

投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です。

ギャンブル性が高く、投資不適格と呼ばれる債券たちですね。

  • ジャンク債(つまり、ゴミ債券)
  • ハイイールド債

といった呼ばれ方をします。

リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向にあります。

 

まとめると、

  • AGG(総合債券)…▲2.59%
  • LQD(優良社債)…▲4.81%
  • HYG(ジャンク債)…▲3.79%

いずれも年初来でマイナスリターンであり、株式と似たような動きになってしまっています。

  • 株は値下がりしたけど
  • 債券は値上がりしたから
  • トータルで見ると、イイ感じ!

こうはなっていない、ということ。

こびと株
現状、いまいち魅力を感じづらいアセットになっています

 

③インカム系ETFの値動き

私の愛する高配当株ETFについて見てみましょう。

  • キャピタル(売却益)も
  • インカム(分配金)も

両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。

HDVVYMSPYDの年初来のチャートは、この通り。

分配金を無視して価格だけ見ると

  1. 1位がHDV…+1.92
  2. 2位がSPYD…+0.85%
  3. 3位がVYM…▲2.45%

という順位になりました。

年初来で、S&P500が▲9%弱、NASDAQが▲15%弱と沈むなか、かなり健闘していますね。

 

現在の分配金利回りは

  • SPYD:約3.6%(過去平均は約4.1%)
  • VYM:約2.8%(過去平均は約3.1%)
  • HDV:約3.4%(過去平均は約3.4%)

という状況。

低すぎる!というほどではないですが、特に旨味を感じる水準ではありません。

こびと株
買い場が来たら声を大にして叫びたいところですが、なかなか良いタイミングがこないですね

 

④2月のトピックス目次

2月の海外トピックは、ウクライナ情勢

今月のトピックスはこちらに尽きると言っても過言ではない、重大ニュースです。

※ここでは、あえて「経済」「投資」といった観点だけに絞って解説していきます。

 

今回の解説は4本立て。

ウクライナ情勢
  1. 2月に起きた出来事の概要
  2. ①の影響:チャート3選
  3. 今後の株価:下がる派の意見3選
  4. 今後の株価:上がる派の意見3選

それでは、順番に見ていきましょう。

 

2月に起きた出来事の概要

いったい何が起きているのか?

時系列で振り返ると、この通り。

時系列

◆2月24日
・ロシアのプーチン大統領、ウクライナ東部での軍事作戦決断
・ウクライナのゼレンスキー大統領、戦時体制を宣言
・G7オンライン首脳会議「可能な限り、最も強い言葉で非難する」
※以後、ロシアへの経済制裁を次々と決定

◆2月25日以降
・ウクライナの首都キエフを含む各地で戦闘激化

◆2月28日
・ロシア・ウクライナ間で停戦交渉するも隔たり大きく。交渉継続。
・ウクライナ正式にEUへ加盟申請

◆3月1日
・ベラルーシ参戦準備か

こびと株
情勢は目まぐるしく変わっており、ほんの1日で「情報が古くなる」というような状況です。

 

いわゆる「西側」の陣営を中心に、ロシアに対して下記のような経済制裁を課すことを決定しています。

  • SWIFT(国際決済ネットワーク)からのロシアの一部銀行の排除
  • ロシア中央銀行の保有資産を凍結
  • プーチン大統領他ロシア外相らの個人資産凍結
  • Google&メタ、ロシア国営メディアの広告収益化を停止
  • 米エクソン&英BP&英シェル、ロシア石油事業から撤退
  • Apple&ナイキ、ロシア国内での製品販売停止
  • ディズニー、ロシアでの新作映画公開を中止

(参考:時事通信日本経済新聞讀賣新聞REUTERS産経新聞Bloomberg

一方、ウクライナに対しては経済援助のみならず、武器・弾薬などの供与も積極的に行われています。

 

2月に起きた出来事の影響:チャート3選

上記を受けて、市場はどう動いているのか?

  • G7各国の株価指数
  • ゴールド等の値動き

については、先ほど解説した通りです。

ここでは、その他のチャートの中で大きな影響を受けたものを3つ、取り上げていきます。

 

(1)ロシアの通貨「ルーブル」

ルーブルと円の為替チャートは、この通り。

  • 1ルーブル=約1.5円だったのが
  • 1ルーブル=約1.1円と大暴落

ちなみに2007年頃(1ルーブル=約4.79円)と比べると77%も下落しています。

こびと株
ルーブルの通貨価値下落がとまりません。

 

(2)ロシアの主要な株価指数「RTS」

RTSは、モスクワ取引所に上場している50の銘柄で構成される株価指数です。

年初来の値動きはこの通り。

年明けから2ヵ月しか経っていないにもかかわらず、▲42.26%

こびと株
通貨安と同様、歴史に残る大暴落です。

 

(3)原油価格の代表的な指数「WTI原油先物」

原油価格が高騰しています。

※原油に限らず、貴金属、穀物といった「コモディティ(商品)価格」は、軒並み高騰中

「WTI原油先物」という指数の、6ヵ月チャートはこの通り。


(出典:楽天証券

1バレル100ドルの大台を、大きく超えてきました(約7年半ぶり)。

こびと株
インフレがますます進みそうですね

 

これらのチャートを眺めていると、「今は異常事態だ」ということが良く分かります。

さて、波乱を迎えている市場経済ですが、気になるのは「今後の株価はどうなるのか?」。

  • 株価が下がる派
  • 株価が上がる派

それぞれの主張を見てみましょう。

 

今後の株価「下がる派」の意見3選

(1)投資家心理の悪化

「投資家の恐怖心」を表すといわれるVIX指数は、この1ヶ月、右肩上がり。

投資家は、将来の見通しが不透明になると不安になります。

そこで、

  • 株などのリスク資産を売却して(これが株安要因になる
  • キャッシュや国債などの安全資産を増やす

という感じで、リスクを避ける傾向にあるんですね。

「投資家のリスク回避姿勢は引き続き強い(日経新聞)」との見方があります。

 

(2)ロシアに経済制裁を課すことに伴う、国際経済への悪影響

ロシアに対する経済制裁は、

  • ロシア経済にダメージを与えるだけではなく
  • 経済制裁を行った国の経済も悪化させるリスクがあります

 

たとえば、野村證券は

  • ロシアの一部金融機関を、SWIFTから排除することによって
  • 日本のGDPが最大約0.3%(1.5兆円)押し下げられる

といった試算を出しています(参考:日本への影響、最大1・5兆円 ロシア制裁でGDP減)。

こういった「実態経済へのダメージ」はいたるところで想定されており、株式市場にマイナスに作用します。

※ロシアとの取引がある上場企業は、すでに「業績の悪化」が株価に織り込まれ始めています。

 

(3)ロシアのデフォルト懸念

ロシア国債の利回りは、8%から18%へと急上昇しています(国債価格は、たった1日で半値以下に大暴落)。


(出典:日経新聞「ロシア国債が急落 欧米制裁、深まる債務不履行の懸念」)

 

ロシアの対外債務のうち1350億ドルは、1年以内に満期がくるもの。

経済制裁で外貨が獲得できなくなれば、ロシアは債務不履行に陥る可能性は「極めて高い」とされています。

外国人が保有するロシア国債の規模は約600億ドルと比較的小さいため、影響は限定的なものにとどまる

(出典:ロイター「ロシアのデフォルトの可能性極めて高い、2桁の経済縮小も=IIF」)

との見方もありますが、実際の影響は「そうなってみなければ分からない」もの。

状況によっては、ロシアのデフォルトが新たな金融危機の引き金になる可能性も、否定はできません。

 

今後の株価「上がる派」の意見3選

(1)戦争で必ず株安になるわけではない

過去の経験則に基づく相場格言に、こんなものがあります。

  • 銃声が鳴ったら買え」※
  • 遠くの戦争は買い

※実際、今回も戦争開始時に株価は急落しましたが、すぐにV字反発しています

「地政学的リスクの高まり=株安」

こう考えてしまいがちですが、過去を振り返ると必ずしもそうではありません。

1990年以降のS&P500のチャートを見てみると、この通りです。

(出典:Twitterより

こびと株
「どうせまた上がっていくだろ」という楽観的な見方は、少なくありません。

 

(2)利上げが遠のく可能性

ウクライナ危機が起きる前から、すでに株式市場は「下落トレンド」に入っていました。

その理由は、「インフレに歯止めをかけるための”利上げ”」を警戒してのことです。

 

ところが、ここにきて「利上げ」が難しくなってきました(参考:日本経済新聞「世界の中銀、利上げシナリオ板挟み ウクライナ情勢が影」)。

ウクライナ危機の発生によって

  • 株価急落・低迷
  • 金融環境悪化
  • 個人消費の腰折れ

という感じで、景気悪化のリスクが高まったからです。

 

利上げは、基本的に

  • 景気の見通しが良い時にするものであって
  • 景気の見通しが悪い時にするものではありません

実際、市場参加者の利上げ見通しは、年内7回→年内5回に後退しています。

こびと株
金融緩和が続いて、まさかのコロナバブル第2幕始まる?

※なお、「ウクライナ情勢で資源インフレの加速が警戒され、かえって利上げスピードが速まる(だから株価は下がるだろう)」というまったく「逆の読み」をする人もいます

 

(3)そもそもロシア経済への影響は限定的

中国がロシアを支援すれば、経済制裁の影響は限定的になるかも、という見方です。

  • 国際銀行間通信協会(SWIFT)が使えなくても、中国独自の国際決済システム(CIPS)が使える
  • ロシアの人民元建て資産(外貨準備高の約13%)が使える

というのが、その理由。

こびと株
こちらは、株価が「上がる」要因というよりは、「それほど下がらない」「ある程度のところで反発する」要因ですね

(参考:東洋経済「ロシア金融制裁、中国がダメージ力を左右する訳

 

以上で、トピックス「ウクライナ情勢」の解説は終わりです。

個人的には、「リスクを取りに行く=タイミングを見て株を買う」という目線でいます。

でも、投資経験年数の短い家族や友人に対しては「リスク資産の比率を見直した方が良い」とアドバイスします。

投資を長く続けることが最優先だからです。

 

繰り返しになりますが、たった1日で情報が古くなる状況です。

  • 株高になりうる理由
  • 株安になりうる理由

どちらも、1日の間に目まぐるしくアップデートされ続けています。

こびと株
自分の財産を守り、増やしていけるのは自分だけ

情報感度を高めて、しっかりと対応していきましょう。

 

まとめ:高配当株投資のポジションについて

以上をまとめると、この通り。

本記事のまとめ
  • 日経平均株価の2月終値は、直近高値から13.9%下落。既に調整局面入りか
  • 日本の上場企業の業績は過去最高だが、先行きは不透明(業績回復ペースの鈍化・ウクライナ情勢)
  • G7の主要株価指数も年初来マイナスが続く。S&P500は8.81%下落で、調整局面入りが意識される状況
  • 原油、貴金属、穀物など、コモディティ高が続く(ゴールド価格(円建て)は史上最高値を更新)
  • 債券はパっとせず、高配当株などのバリュー株が相対的に強い
  • ロシア経済が大混乱に(ルーブル暴落・ロシアの株価指数暴落、ロシア国債暴落)
  • 「ウクライナ情勢」「インフレ」「金融引き締め」の動向に要注意

という感じです。

  • S&P500やナスダックなど、米国株一強だった昨年とはうって変わって
  • 米国以外の先進国株バリュー株コモディティなどが相対的に強くなっており

相場の雰囲気がガラリと変わっています。

 

個人的には、

  • iDeCoやつみたてNISAを中心としたインデックス運用は積立を継続しつつ
  • 大きく急落する場面があれば、株式ファンドを追加購入して←New
  • 高配当株については、米国株は静観、日本株はちょいちょい買い増す

というスタンスです。

こびと株
実際、最近はちょくちょく買い増しをおこなっています。含み益と配当金は、いい感じで増えてますね。

 

なお、「高配当株ランキング」ですが、中・小型の銘柄は、ブログで紹介すると株価に影響を与えてしまう恐れがあり、触れるのが難しくなっています。

どうすべきか検討中なので、申し訳ないのですがしばしお待ち頂けますと幸いです。

それではまたっ!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

こびと株.comの管理人。一部上場企業での経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリスト、FP資格を有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。