こんな疑問にお答えします。
マイホームでありがちな5つの失敗パターン
大きな失敗は生活に致命的な影響を与えますが、小さな失敗であればリカバリーが効きますし我慢もできます。
マイホーム問題を考える際は、大きな失敗/小さな失敗をしっかり区別して、まずは大きな失敗を避けることに注力しましょう。それでは、重要度の高い失敗パターンを5つ見ていきましょう。
目次
後悔しないために知っておくべき5つの失敗パターン
よくある失敗①:住宅ローンで後悔!
絶対に失敗してはいけないのは住宅ローンの組み方です。住宅ローンでの失敗は、時に「自己破産」という深刻な結末を迎えます。なんと、自己破産の原因のうち約2割は住宅購入が原因なのです。
「住宅購入」により破産にいたった人が、全体のおよそ16%と年々増加しているようです。
「1千万から5千万円未満」の負債を抱えた破産債務者の割合は全体のおよそ3割を占め、住宅ローンの残額であることが推測されます。
同団体は、「失業などにより住宅ローンが支払えず、破産せざるを得ない状況が深刻化している」と分析しています。
大丈夫だと思っていた住宅ローンが支払えなくなる主な要因は次の4つです。
- 子どもが誕生して家計が厳しくなった
- 会社の業績悪化して、給与や賞与がカットされた
- 住宅ローン以外の支払を甘く見ていた
- 金利が上昇して返済額が増えた(※史上最低レベルの低金利により、ここ数年ではこれが原因になることは少ないようです)
住宅ローンを組む際は、住宅購入時の家族構成・収入を前提にしてしまいがちです。しかし、実際は家族構成や収入は常に変化します。
ギリギリのローンを組んでいると、第2子の誕生や勤務先の業績悪化などがあるとすぐに家計が厳しくなります。
また、住宅ローン以外の支払いを甘く見ているケースも多いです。特に、マンションの場合はその傾向が顕著です。
- 修繕積立金
- 管理費
- 固定資産税
- 駐車場代
新築のうちは、修繕積立金や管理費は少額です。しかし、築年数が増えるにつれて急激に伸びていきます。
初期の積立金や管理費を少なくしてコストを安くみせるのは、販売業者のテクニックなのです。業者からすると「売れさえすれば後はどうなってもイイ」という何とも恐ろしい話ですね。
厚生労働省が実施している「平成28年 国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯のうち61.9%が「生活が苦しい」と答えています。ゆとりがあると答えた世帯はたったの4.3%しかいないのです。
このような現状を踏まえたうえで、銀行や不動産業者が言う
- 借入限度額(年収の〇〇倍まで)
- 返済比率(月収の〇〇%まで)
という数字がどこまで信用できるものなのか、あらためて考えてみる必要がありそうですね。もしかしたら、この数字は「生かさず殺さず」のギリギリのラインなのかもしれません…
よくある失敗②:マンションor戸建ての選択をミスして後悔!
マイホームを探しているうちに、優先順位がよく分からなくなってしまって、最後にエイヤっと決めるとこういうことになりがちです。
マンションと戸建てのメリット・デメリットをよく理解して、その中から優先順位の高いものを決めていくことが重要になります。
マンションと戸建てのメリット・デメリットをそれぞれザっと見てみましょう。
まずはマンションから。
【メリット】
- 戸建てよりも物件価格が安い(似たような立地条件の場合)
- 戸建てよりも立地に優れているものが多い
- 建物の気密性、日照面などで一戸建てよりも優れている場合が多い
- 空き巣や放火などに対する防犯(セキュリティ)性が高い
【デメリット】
- 将来の資産価値は、戸建てに比べると劣る可能性が高い(土地の持ち分の関係)
- 戸建てよりも狭い傾向にある
- 騒音等に関して、戸建てよりも近隣者に対する気遣いが必要
- 管理費や修繕積立金、駐車場代などが発生する
次に、戸建てのメリット・デメリットです。
【メリット】
- 管理費や修繕積立金、駐車場代がかからない
- マンションよりも広い場合が多い。また、自由に増築や建て替えができる
- 築年数が経過しても資産価値はそれなりに残る(土地は減価しないため)
- 独立性が高く、プライバシー面で優れている。騒音もあまり気にしなくて良い
【デメリット】
- マンションよりも物件価格が高い(似たような立地条件の場合)
- 将来の修繕費を自分で貯める必要がある
- 空き巣や放火などの防犯(セキュリティ)面で独自の対策が必要
- 建物の気密性、日照面でマンションより劣っている場合が多い
ずいぶんたくさんの項目があってゴチャゴチャしていますね。ポイントを絞って見てみたいと思います。
実際にマンションor戸建てを購入した人たちは、どのようなことを意識して購入にいたったのでしょうか。SUUMOによると、こんな感じのようです。
(出典:SUUMO「12項目で比較 マンションVS一戸建て」)
マンションのTOP3は
- 防犯性
- 最寄り駅からの距離(=立地)
- 管理
でした。
一方で、戸建てのTOP3は
- 住居の広さ
- 間取り
- 駐車場
となっています。
立地や防犯性を優先するのならマンションを、住居の広さを優先するのなら戸建てを、といった感じですね。
マンション・戸建てには特徴的な違いがいくつもあります。すべての条件を兼ね備えたマイホームはありませんから、優先順位の問題とも言えます。
心の中の「優先順位」に気がつかず、戸建て・マンションの選択をミスしてしまうとリカバリーがきかなくなるので要注意です。
よくある失敗③:新築or中古の選択をミスして後悔!
新築と中古の価格帯について
次のグラフを見ると、マンションは、築21年以上経過すると新築時の30~50%程度の価格になってしまうことが分かります。
築21年以上経過すると、マンション価格の値下がりはかなり緩やかになります。新築マンションを購入すると、ローンの返済よりもマンション価格の下落の方が早いことが多いです。
- ローンの返済・・・最初は元金より利息部分の方が多いため、元本の返済がなかなか進まない
- マンション価格・・・新築から1年経過するごとに激しく価値が低下する
資産価格だけを見るのなら、よほど立地に優れた希少性の高いマンションでない限り、中古を選んだ方が無難と言えるでしょう。
ちなみに、戸建ての場合、建物は20年~25年で価値がほぼゼロになります。あとは土地の価格だけが残るということです。
実際には築20年ぐらいであればまだまだ住める家が多いですから、使える上物をゼロ~300万円前後の出費で買えるならお得とも言えますね。
戸建てについても、中古の方にお得感がありそうです。
住環境について
中古物件の大きなメリットの1つとして、
- コミュニティの雰囲気
- 周辺環境と物件の相性
- マンションの管理状況(ゴミ出し・共用スペースの状態、管理費等の滞納状況など)
これらの重要情報が事前に手に入りやすいということがあります。ちょっとした聞き込みや掲示板の口コミなどで簡単に調べられるからです。
営業マン・新築マンションのチラシなどは新築物件の良いところしかアピールしませんが、中古マンションであれば悪評も簡単に手に入ります。
住宅の不満というのは住んではじめて分かるものも多いです。現住人達の満足な点・不満な点を事前に知ることができるというのは、中古物件だけの特典とも言えます。
設備について
設備に関しては、圧倒的に新築の方が充実しており故障のリスクも低いです。
- 浴室乾燥機
- TVモニタ付きインターホン
- 床暖房
- ウォークインクローゼット
今人気があるこれらの設備は、築20年以内の中古物件ではまだまだ採用率が高くありません。
(出典:SUUMO「新築と中古の10の違い」)
中古物件の場合、一部リフォームされている箇所もあるかもしれませんが、新築時の設備がそのまま残っている場合もあります。経年劣化によるトラブルのリスクがあり、最悪の場合交換費用も必要になります。
最新の設備でスマートに快適に暮らしたい!という強い願望があるのであれば、新築物件にこだわった方が良いかもしれません。
よくある失敗④:立地で後悔!
あとから絶対に変えられないもの、それが立地です。
キッチンやバスルームなどの設備であれば、もし不満があれば後からいくらでもリフォームできますが、立地だけはどうしようもありません。
HOME’Sを運営する株式会社ネクストが実施したアンケートでは、立地に関する不満No1は「駅までの距離が遠い」になっています。
過去5年以内に、注文住宅、新築分譲一戸建て、新築分譲マンションのいずれかを購入した720人を対象に、住まいの購入に関する経験談や失敗談について調査しました。
まず、周辺環境に関して不満に思うことを聞いた質問では、
- 1位が「駅までの距離が遠い」(21.4%)
- 2位に「買い物が不便」(12.6%)
- 3位に「駅周辺が栄えていない」(10.4%)
と生活利便性に関する不満が上位に並ぶ結果になりました。
- 駅から遠い
- スーパー、病院、学校などの生活インフラが近くにない
- 防犯面で気になる場所や施設がある
- 災害時のリスクが大きい
- 騒音、排ガスなどの影響がある
このような立地を選んでしまうと、もし嫌になってもリカバリーができないのです。まさに、不動産の不動産たるゆえんです。場所だけは動かすことができません。
そして、ひとたび立地の悪い物件を掴んでしまうと、満足のゆく値段で売却することも難しくなります。絶対に妥協してはいけないということですね。
よくある失敗⑤:ライフスタイルの変化に対応できなくなり後悔!
ライフスタイルの変化は突然訪れます。今までの暮らしを思い出して頂ければ分かると思いますが、10年も経てばどんな人でも何かしら生活スタイルが変化しているはずです。
- 子どもの誕生
- 妻との離婚
- 家族との死別
- 親族の介護
- 転職・転勤
- リストラ
- 子どもの学校でのイジメetc…
一方で、マイホームのローンは30年以上と長期に渡っているケースが大半です。住宅ローンの支払いは何十年も変わりませんが、ライフスタイルは常に変化するのです。
この過程で、(購入時の)ライフスタイルに最適だったマイホームは、不便なものに変わってしまう可能性があります。
- 良い大学に入って
- 良い会社に入って
- 結婚して(奥さんは専業主婦)
- 子どもを授かって
- マイホーム(住宅ローン35年)を購入して
- 定年まで勤めて、夫婦2人で年金で悠々自適の老後生活
高度経済成長期が終わり、少子高齢化・個人の価値観の多様化が進む日本においては、このモデルはすでに崩壊しつつあります。
今や3組に1組が離婚すると言われていますし、高齢化がさらに進めば介護問題も他人事ではなくなります。技術革新による生活の変化も激しい時代です。
このような状況で、将来数十年に渡る住み家(マイホーム)を決めてしまうというのは、もはや時代にそぐわなくなりつつあるのかも知れません。
購入を決断するのなら、様々な事態に対処できるようできる限りの想定をしておくべきですね。
まとめ:5つの失敗パターンから学ぶ重要ポイント
重要ポイントを再確認します。この5つです。
- 住宅ローンの返済プランは「ビビリすぎかも」と思うぐらい余裕を持つ
- 戸建てとマンションのメリット/デメリットをよく理解して、選択を間違えない
- 新築と中古のメリット/デメリットをよく理解して、選択を間違えない
- 立地が一番大切。安易に妥協しない
- ライフスタイルの突然の変化にも対応できるよう「もしこうなったら」を想定しておく
私は、数年前に築19年・2LDKの中古マンションを1,980万円で購入しました。現在の時価は2700万円ほどになっており、時価-住宅ローン残債=1,000万円ほどになっています。
ローン返済額は月4万円台で、経済的には非常に大きなメリットを受けています。間取りは決して広くなく、外観や設備は古いですが、「経済的価値」を最優先したので今のところ不満はありません。
ただ、子どもができて育ってきたら生活しづらくなるでしょうね…その時に良い値段で出口を迎えられればこの買い物は成功というわけです。それまではどうなるか分かりません。
マイホームの購入は、大きな買い物だけあって「成功すれば生活が楽に」「失敗すれば生活が厳しく」なります。おさえるべき重要ポイントをしっかりおさえて、後悔のないように買い物したいですね!
それではまたっ!
※関連記事です。
マイホームを購入する前に、マイホームのリスクをしっかり理解しておきましょう。
Follow @kobito_kabu