という人向けの記事です。
- 初心者が目指すべき正しい目標
- 簿記3級→2級と合格していくための重要ポイント
- 初心者がやってはいけないこと
- 独学・資格スクール利用のメリットデメリット
目次
簿記初心者は、簿記3級ではなく”簿記2級”の合格を目標にする!
簿記の初学者にとって、簿記3級は「誰もが通る道」です。
が!
簿記3級で勉強を終わりにしてしまうのは本当にもったいないです。というか、あまり意味がないです。
簿記は、2級まで取得して初めて意味があります。
- 履歴書に書けるのは、簿記2級から
- 実務で使えるのも、簿記2級から
- 知識的に役に立つのは、簿記2級から
履歴書に書いて「会計の知識が身についていること」をアピールできるのは簿記2級からです。
実際、企業でストレスなく経理実務を処理出来るようになるには、簿記2級レベルの知識が必要です。
簿記3級は個人事業レベルなので、少し規模が大きくなった企業では対応できません。
「簿記の知識を株式投資に生かしたい!(≒投資先企業の財務諸表を分析したい!)」ということであっても、やはり簿記2級の知識が欲しいところです。
連結会計などの重要論点を学習するのは、3級ではなく2級だからです。
しかし、まずは3級から勉強するというアプローチは間違ってはいません。
世の中に出回っている簿記3級のテキストが、初心者にとってわかりやすく出来ているからです。
ですが、必ずしも簿記3級の試験に合格する必要はありません。もし落ちてしまってなら、次は思い切って簿記2級にチャレンジしてしまいましょう。
せっかく大事な時間とお金を使って勉強するわけですから、簿記3級を目標にするのはもったいないです。簿記を「ちょっと触ったことがある人」くらいに思われてしまいますからね。
ぜひ「意味ある資格」である簿記2級を目標にしてください!
いろいろと、人生にインパクトのある活用ができるようになります。
ちなみに、簿記初級は学習も受験も完全に不要です。
- 学習教材少なめ
- 知名度も低め
- 内容もハンパ
という感じで、おすすめできるポイントがあまりありません。
日商簿記3級→日商簿記2級と合格していくために重要な3つのポイント
簿記3級→簿記2級と合格していくために必要な学習時間は、おおむね150~250時間程度です。1日1時間勉強すれば、半年ぐらいで合格できるイメージですね。
この半年をクリアするために、次の3つを意識しましょう!
楽しみながら学ぶ
簿記は楽しいです。
私は、大学3年生の頃に簿記に出会い、その技術の美しさ・面白さにどっぷりハマってしまいました。
就職活動の時は「経理職」一本に絞って対策を行い、一部上場企業で内定を獲得。今思ってもラッキーでした。
入社して以来ずっと経理をやってきましたから、10年超の実務経験があります。この間、経理の仕事がつまらないと思ったことはありません。
財務諸表の作成は、プラモデルを作るのと変わりません。1つ1つのパーツを慎重に組み立てて、1つの作品を作っていくのです。
ぜひ、簿記に興味を持って、その楽しさを満喫しながらスキルを身に着けていってください。
そのために、「簿記って面白そうじゃん!」と思ってもらえそうな入門書を一冊、紹介しておきます。
『女騎士、経理になる』です。
『女騎士、経理になる。』はこんな感じのマンガです。 pic.twitter.com/Fv70xkHMqi
— Rootport◆11/22女騎士⑧巻発売 (@rootport) October 1, 2016
5万件を超えるリツイート・いいねから分かるように、Twitterで注目を浴びた作品です。簿記の勉強になるだけではなく、単純にマンガとしても面白いです。
数ある簿記入門書のなかでも最強に分かりやすく読みやすいのでオススメです。
とにかくとっつきやすいのが特徴で、ザっと読んで、気がつくと専門用語に慣れているという優れものです。
完璧主義を捨てる
楽しみながら学ぶことができれば、簿記3級・2級の合格は約束されたようなものだと思いますが、あと2つポイントを指摘しておきたいと思います。
まずは、完璧主義を捨てることです。
簿記の勉強が続かない人は、そろいもそろって完璧主義者です。分からないことが気になって次に進めないのです。
反対に、簿記の勉強をスイスイ進められるのは、ほどほどの理解でもとにかく進んでいける人です。
10個問題を解いて7問解けて3問間違った時に、
- 「7問解けた!この調子でドンドン知識を吸収していこう!」と思えるか、
- 「3問も間違った…答えを見ても意味が分からない…あー簿記って難しいなぁ」と考えてしまうか
の違いです。
後者だとあっという間に学習のモチベーションを失ってしまうでしょう。
日商簿記3級・2級の合格点は7割です。
つまり、7割解ければ合格レベルなのです。7割理解できれば合格できるのです。
満点を取る必要はありません。
簿記の世界は奥が深いので、簿記1級合格レベルにならないと見えないこともたくさんあります。
簿記初心者は完璧主義を捨てましょう。
とにかく手を動かす
次に、とにかく手を動かすことです。
簿記は「習うより慣れろ」の世界です。アタマで考えるより、手で覚えることも多いです。
- テキストの通読をメインに学習する
- アタマの中だけで考えて解く
こういう学習は、まず失敗します。
大事なのは
- テキストはそこそこに、問題集(特に過去問)をメインに学習する
- アタマの先ではなく、手を動かす
ことです。
頭の中だけでプラモデルを組み立てることはできません。必ず手を動かしましょう!
初心者が簿記の学習を開始するにあたりやってはいけない3つのポイント
簿記の初心者がやってはいけないことを紹介します。
クオリティの低い教材を使う
日商簿記検定は歴史が長く、独学用の教材もたくさん出版されています。基本的に、どれもクオリティが高いので、教材探しに困ることはありません。
ただ、そこは受験者が年間10万人以上いる超人気資格。商業目的(儲けたい)のいい加減な内容な教材も、ないわけではありません。
必ず口コミを確認して、マイナーな教材ではなく人気のある教材を使いましょう。
当サイトでは、3級の独学をする人には
- テキスト:スッキリわかる 日商簿記3級
- 問題集:合格するための本試験問題集
をおすすめしています。
予算を決めずに学習を開始する
新しいことを始めるにはお金がかかります。簿記も例外ではありません。
後になって「こんなにかかるなんて!」と思ってモチベーションが下がることがないように、ちゃんと総コストを掴んでおきましょう。
以下、簿記3級と簿記2級の独学コストを簡単にまとめてみます。
- 受験料:7,570円
- 教材費:15,000~20,000円
- 電卓:1,000円~5,000円
- 文房具:1,000円程度
- 交通費:1,000円程度
受験料や教材費で、合計3万円程度ですね。
もう1つ、忘れてはいけないコストがあります。
それは、勉強に要した時間です。
人間が持つ色々な資源のなかで、時間こそが最も重要な資源です。これもしっかりと金銭換算しておきましょう。
- 時給1,000円
- 勉強時間が150~250時間
とすると、金銭換算で15~25万円程度のコストがかかることになります。
(ちなみにこれも、簿記で学習する「機会損失」という考え方です)
受験料等と勉強時間コストを合算すると、18万円~28万円程度かかるということですね。
これだけコストがかかっても「将来的にはモトが取れる!」と思えたら、ぜひチャレンジしてください。
こういう計算が出来ていれば、コストとリターンを十分に検討できているので、挫折する可能性はグッと減ります。
※ちなみに私は、大学生時代にかけたこの20万円ちょっとのコストで、生涯の職業「経理」をゲットしました。
今では、会計の知識を生かして株式投資でも継続的に利益を上げ続けています。
本当に、信じられないぐらい安い投資だったと思っています!
学習につまづいた時の解決策をイメージしないまま学習を開始する
予想外のできごとはストレスになります。
想定外のトラブルが起きたると、何をどうすれば良いのか判断するのにエネルギーが必要になります。
本来、簿記の学習のために使わなければいけないエネルギーが、他の余計なことにとられてしまうわけです。
そうすると、やる気はドンドン削がれていきます。
だから、今のうちからトラブルを想定して、あらかじめ対応を決めておくと良いです。
- 理解に時間がかかってしまうかも
→2週間予備期間をとっておこう - 教材が合わないかも
→別教材の候補と予備の教材費を準備しておこう - どうしても分からないところがあるかも
→調べてダメならこの人に聞くことにしよう - 独学では成果が出ないかも
→1ヶ月やってダメならスクールに申し込もう
という感じですね。
「学習を始めるには勢いが大事!」という人もいると思います。
とはいえ、簿記というのは「完成形(財務諸表)をイメージして、そこに向けて処理を積み重ねていく」技術。先をイメージする能力は、不可欠です。
簿記初心者は、資格スクールの利用が絶対にオススメ
色々と書いてきましたが、ぶっちゃけ簿記の習得には「資格スクールを利用すること」が圧倒的なおすすめです。
私自身が、日商簿記検定や税理士試験(簿記論)について
- 独学での学習
- スクール利用の学習
両方を体験した上での実感です。
上場企業で経理という仕事を10年超続ける中で、いろいろな学び方をしてきた同僚・後輩を見て思うことでもあります。
スクールのデメリットは、金銭面のコストだけです。
対してメリットは、
- 合格確率が上がる(間違いなく!)
- 本質が理解できる
- 時間の節約になる
- 挫折しにくくなる
など、たくさんあります。
独学のメリット・デメリット
独学のメリットは、おカネが安く済むこと。これに尽きます。
デメリットは
- 誤った理解のまま学習が進む恐れがある
- 分からない時に講師に確認できない
- 勉強ペースがつかみにくい
- 再頻出論点などが分からず、勉強に強弱がつかない
- 市販教材のクオリティが、予備校のものに劣る
(予備校用教材+講師による解説が、間違いなくトップレベルです)
などなど。あげるとキリがないですね。
このデメリットと予備校に支払うお金を天秤にかけて、本当に独学の方がお得かな…?ということです。
独学と予備校利用でどれぐらい合格率が変わるかというと
年度によっても異なりますが、日商簿記検定の場合、簿記3級で30~40%台、2級で20~40%台です。
合格率だけを見ますと簿記2級も3級も大差がないようですが、2級は学習範囲も広く、出題も高度になります。3級試験とくらべ、格段に難しくなると考えておいてください。
フォーサイト受講生は、3級の合格率は76%、2級は53.3%(2014年6月試験実績)と、毎回平均合格率を大きく上回っています。
(出典:資格取得 Foresightフォーサイト)
下手すると倍ぐらい違いますね。他の優良スクールでも、これぐらいは差が出ていると思います。
初心者・独学はかなり難易度が高いのです。
※ちなみに、試験が得意な有名高校・大学出身者なら、合格自体はできてしまうと思います。それでもスクール利用をおすすめするのは、「合格したけど実務で使える理解度になっていない人」をたくさん見てきたからです。
独学のおすすめテキスト
独学で取り組むなら、まずは3級用の教材
- テキスト:スッキリわかる 日商簿記3級
- 問題集:合格するための過去問題集
あたりがおすすめです。
詳しい勉強方法や勉強時間、2級のおすすめ教材などについては、以下の記事で紹介しています。
ぜひあわせてお読みくださいませ。
資格スクールのメリット・デメリット
メリットはたくさんありますが、突き詰めるとこの2つに行き着きます。
- 正しい理解で学習を進められる(机上論の知識ではなく、実務に使えるレベルになる)
- 合格率がアップする
デメリットは、お金がかかることですね。
個人的には、はっきりきっぱりスクール利用推奨です!
予算が確保できるなら、ぜひこちらを選んでください。(「独学で簿記を勉強してきました!」という人は、実務対応レベルにないケースが多いので…)。
その試験ノウハウ、情報量を甘く見てはいけません。
例えば、会計士・税理士レベルの試験になると、合格者の大半は予備校利用者だと思います。
これらの試験は実質的に相対試験なので、独学者は予備校利用者に勝てないんですよね。
会計大学院などの大学院に通っている生徒でさえ、ダブルスクールで資格学校に通うほどです。
ちなみに、「名物講師に当たると授業が単純にめちゃくちゃ面白い」というオマケもありますwぜひお試しを。
まとめ:簿記の初心者は思い切って資格スクールに飛び込もう!
簿記初心者のあなたは、思い切って資格スクールの利用を開始しましょう。
「ただ受かりたいだけ」なら、3級・2級は独学でも対応可能です。
けれども、「ちゃんと理解したい」「実際に使える知識を身につけたい」というなら、圧倒的にスクール利用がおすすめ。
遠回りをしないために、簿記への苦手意識をつけてしまわないために、ぜひスクールを活用しましょう。
具体的なおすすめは、
です。
個人的には、簿記初心者さんにはクレアールが良いかな、と思っています。
品質の信頼性が高いわりに、3級講義パック(講義30時間分+答練・模試4回)で1万円程度とお手頃です。
有名スクール「大原」も大好き※なのですが、価格が高いので…。(クレアールの倍くらいします。)
ともあれ、まずはクレアールのサンプル教材(無料)を見てみるといいと思います。相性がよさそうかどうか確かめてから、受講を決めましょう。
※大原の簿記検定講座は最強だと思っています。3級・2級レベルで、「すべての授業に出席して講師の指示を聞いていたのに落ちた!」という人がいたら教えて欲しいぐらいです。
興味のある人は、パンフレットだけでも見てみてください。
- 講座の詳細なカリキュラム(これを見ると学習量が分かる)
- 合格体験談
などが分かりやすくまとまっていて、ノウハウたっぷりです。価格以外に難点がないという意味が、おわかりいただけると思います。
ネットサーフィンを続けているより、よっぽど良い情報が手に入ります。
スクールを利用して、簿記の楽しさ・美しさを学び勢いがつくと、簿記1級・会計士・税理士試験への道筋が見えてきます。そこから先は、高付加価値・高報酬を狙える世界が待っています。
簿記初心者時代を楽しく乗り越えて、さらなるステップアップを目指せるようになると良いですね!
それではまたっ!
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