こんな人のための記事です。
お金について、ちょっとした不安がある。
お金のこと、もう少しちゃんと考えないといけない気がしている。
こんな人にピッタリの本を見つけたので、ご紹介させて下さい。
カネにまみれた「こびと株.com」にしては珍しく、なんと、マネー本ではありません!
いつもとはちょっと違った角度から、
- 旅
- お金
- 人生
について考えさせてくれる本です。
お金について考えるって、結局、「どう生きるか?」みたいなところからスタートせざるを得ないと思うんですよね。
いきなり
- 資産運用が~
- 老後資金が~
- 家計管理が~
とか、テクニカルで具体的で「確かに不安」なポイント突かれるとドキドキしちゃうけど、多分それってちっとも本質的じゃない。
そうではなくて、
- 「何のために稼ぐのか?」とか
- 「自分にとって幸せな暮らしってどんな暮らしか?」とか
そういう本質的なことを、”考える”というより”感じながら”読み進められのが「僕が旅人になった日」です。
たまたま本屋で見つけて手に取ったこの本、めちゃ面白かったです。日本に閉塞感を感じてる人には、刺さると思う。
20人の旅のストーリーが載ってるんですが、なんか泣けてしまうエピソードもちらほら。文章がシンプルで短く、読みやすいのもGood
配当金で旅にでたい。 pic.twitter.com/2DPHIvXyig
— こびと株.com (@kobito_kabu) September 28, 2020
目次
考えるコト①お金を使う「罪悪感」
800㎞を歩く巡礼の旅
この本は、20人の旅のストーリーをまとめた本です。
様々な人の様々な旅が、写真で文字でマンガで、様々に表現されています。
その中で、個人的に一番「やってみたい…!」と惹きつけられたのが、コレ。
というエピソードです。
「社会のスピードについていけなかった」という益田奈央さん(25歳)が、フランスからピレネー山脈を越えてスペインへ、800㎞の道を自分の足で歩きとおします。
34日かけて巡礼を終えた益田さんは、感じたこと・学んだことをすっきりした文章で書き綴り
あの日、勇気を出して歩き出した自分自身を、私は少しだけ好きになれた気がした。
と締めくくっています。
「やりたいこと」の価値
私がこのエピソードを読んで最初に思ったことは「わたしも歩いてみたい…!」。
次に思ったことは
- もったいないよね
- 浪費だよね、無駄遣いだよね
- そこまでして行きたいわけじゃないんじゃない?
…。
私は今、経済的自由を目指して、蓄財にはげんでいます。
- 高い満足度を維持しつつも支出を抑えた生活をし
- 一生懸命働いて
- 高配当株を買う…!
という暮らしをしているわけです。
そうするとついつい
みたいな思考になりがちです。
思えば最近、支出に対する罪悪感がするすると育っている気がします。ついでに言えば、生産的でないことに時間を使う罪悪感も。
これって単純に
ですよね。「何のために生きてるんだ?」という話です。
もちろん、ムダな散財をしまくることが幸福だとは思いません。けれども、
- 心弾むこと
- ワクワクすること
- 直感で「やりたい!」と思えること
の価値を、もう少し大切にしてみてもいいじゃん、とは思います。
お金は、使うためにある。使うときに罪悪感を感じるなんて、なんか間違ってる。
人生の目標とか、やりたいこと探しとか、そんなおおげさな話じゃなくて、ただただ心惹かれること。
そういう事柄にアンテナをたてて、良いカタチでお金を使っていきたいな、と感じる今日この頃です。
考えるコト②「価格」と「価値」
僕がたどりついた世界
この本の中には、20人分のエピソードの他に「Finally, here I am. 僕がたどりついた世界」という写真集があります。
- ストラホフ修道院/チェコ
- モンテロッソ/イタリア
- グリフィス天文台/アメリカ
- トロムソ/ノルウェー
- ウユニ塩湖/ボリビア …etc.
何時間でも見ていられそうな、美しい写真たち。
この世のものとは思えない、でもこの世界のどこかにある景色。
1650円で心が動く
「僕が旅人になった日」のお値段は、1,650円(税込)です。
と感じたことは、ひるがえって、自分の仕事の価値について考えるきっかけになりました。
日々働く中で
- 「給料が少ない」とか
- 「年収アップしたい」とか
- 「もっと稼げる方法はないものか」とか
考えること、ありますよね。
でも、
と思うと、ちょっぴりドキッとしませんか?
1,650円で、感動が買えるこの時代。
例えば600万円稼ぎたいなら、単純計算で、最低4,000人は感動させるくらいの何かを生み出す必要があるということ。
- 稼ぐことを考える前に、価値を生むことを考える
- どうやったら、より大きい価値を生み出せるのか考える
- 生み出している価値に見合った収入がないなら、働く場所を変える
考えるコト③お金を「基準」にした生き方ってどうなの?
パスポートの永住権
この本で紹介されているストーリーの中には、狭い意味での「旅行」だけではなく、海外移住の体験談もありました。
英語もできず、覚悟も足りないままニュージーランドへ移住した、サトウカエデさんの体験記。
夫と2人、生活を整え、仕事を得て、永住権を取って、生まれた子供は「キーウィ(ニュージーランド人)」となり…。
ココ以外でも生きられる
日本を出たサトウさん夫婦、ニュージーランドでは決して金銭的に豊かな暮らしをしているワケではなさそうです。
- 二人で働いても、所詮はバイト。減っていく貯金には、すずめの涙だ。
- 生活費は、バイトしてもマイナスなこと。資金はいつか尽きること。
- 年々、最低賃金が上がる国。物価の上昇は激しい。
- 8年前に住んでいたアパートの家賃は6万円近くも上昇した。
- 必要なお金を手に入れるには移民の壁はまだまだ厚い。
(「僕が旅人になった日」TABIPPO編より抜粋。太字は筆者)
海外移住という選択は、必ずしもお金の面で有利な、経済合理的な選択ではなかったのかもしれません。
- 移民だからこそ、老後どうするんだみたいな不安もある。
- 「日本にいたら、人並みの年収を得ていたかもね」
といった文章にも、自分や子供の将来について悩む気持ちがにじんでいます。
それでも、最後のページの1行目は、強烈です。
「二人で歩いてきた道は、二人で選びとったものだ。」
この一文には、自分たちの選択に対する誇りが感じられます。お金を軸にしない生き方とは、こういうものを言うのでしょう。
実は私自身、海外にルーツを持つ人間です。日本で生まれて日本で育ったけれど、いろいろと不利な局面に出くわしたこともあります。
それでも私は、日本のこの場所での暮らしが気に入っています。
お金のためだろうと、他の何かのためだろうと、
- ×「仕方なく」ここにいる
- 〇「自分で選んで」ここにいる
そういう意志の在り方が、自分にとって幸せな道を歩くための必要条件だと改めて感じました。
考えるコト④人にお金を「渡す」ことの意味
なんであの時、1000ソム渡さなかったんだ
この本の中で一番私の心に刺さったのは「旅人のレールを脱線してロバを買って大冒険」というエピソードにある
そして僕は家に帰り、お母さんに500ソムを渡した。
ただ、今ものすごく後悔している。
なんであの時、1000ソム渡さなかったんだって。
「いったい、僕は何をケチったんだろう?」
みんなからたくさんの幸せをもらったのに。
お金に執着していたのは、僕の方だったのかもしれない。
という部分です。
場所はキルギスのキチケミン村。
何日も泊めてもらいい、家族同然に過ごさせてもらった家のお母さんに、「小麦粉を買うお金が欲しい」と言われたときのお話です。
現在のレートを調べてみると、1キルギス・ソムは1.3円くらい。1000ソムは、1300~1400円程度でしょうか。
「お世話になったんだから1000ソムくらい渡すでしょ」
「1400円なんて、日本でバイトすれば1~2時間で稼げるでしょ。家族のために小麦粉がいるって言ってるのに、ケチるなんてひどい」
こんな風に思うでしょうか。
私は
- 募金箱にいれる百円玉を、「惜しい」と思ったことがあります
- 両親への誕生日プレゼントを、「安くすませられないか?」と企んだことがあります
- 困窮している親族に仕送りする父親を、「そんなことする必要あるのか?」と問い詰めたことがあります
ほぼ初めて、寄付をした
でも、最近、子どもの頃お世話になったNPO法人に、15,000円の寄付をしてみました。
募金箱に小銭をいれる以外では、初めての寄付です。
慣れない寄付。
サイフから飛び出した15,000円に”痛み”を感じなかったわけではないですが、その一方で「皆が豊かになるためにお金を使う」ということの意味を、少し理解できたような気がします。
もっと「徳」を積んでいかないといけないですね(笑)
考えるコト⑤お金の価値が「急上昇」する瞬間
死期が迫った父との旅
本に描かれている20のエピソードのうち、唯一
のが「死期が迫った父の夢 ユーコン川で親子二人で漕ぐカヌー」。
末期ガンを宣告されたお父さんの夢「聖地ユーコン川をカヌーで冒険したい」を叶えた旅のエピソードです。
お金は「選択肢」で、お金は「力」だ
もしも自分の親が余命宣告をされたとしたら…。
長年の夢を叶えてあげたいと思ったところで、実に現実的な課題としてお金の問題は降りかかってきますよね。
例えば、このエピソードに出てきたユーコン川のカヌーの旅。
- テント、大型動物(ヒグマ、オオカミ等)対策、レインウェアといった装備品
- カヌーそのもの
- カナダまでの旅費
- お父さんのトレーニングや薬剤準備の費用 …etc.
いったいどれほどのお金がかかったのでしょうか。
この旅の時間は、もちろんお金では買えないかけがえのないモノであったでしょう。
でもこの旅の時間を手に入れるには、間違いなく、お金が必要です。
ふだん、銀行口座に眠っている100万円。
何も使わずに眠らせておけば、その価値は「ゼロ」です(使わない限り、お金はただの紙切れです)。
でも、「眠らせておくのがもったいない!」と言って、日常的に散財してしまったら、今回のエピソードのようなタイミングでお金を使うことはできなくなります。
「お金さえあれば…」という瞬間(=お金の価値が急上昇する瞬間)は、ある日突然にやってきます。
- 日常使いする100万円と
- 余命宣告された親の夢を叶えるための100万円が
同じ価値だとは、私には思えません。
「きたるべき時」に、十分な選択肢を持てるだけの力(=お金)があると、満足度の高い人生を送れるようになるのかなと思いました。
まとめ:「僕が旅人になった日」は、旅とお金と人生を考える本
「僕が旅人になった日」、旅を題材に「人生」や「お金」について考えることができる良書でした。
- お金を使う「罪悪感」
- 「価格」と「価値」
- お金を「基準」にした生き方ってどうなの?
- 人にお金を「渡す」ことの意味
- お金の価値が「急上昇」する瞬間
について、みっちり考えさせてくれる、学びの多い一冊です。
日本を飛び出して、世界を見に行こうとする人たちは、やはりどこか「日本という国に息苦しさ」を感じているようです。
そんな彼らが、
- 世界で何を見て
- 現実的な問題として「お金」とどう向き合っているのか
参考にしてもらえたらなと思います。
- 「お金について考えないとなぁ…」と思っている人
- 日本での暮らしになんとなく息苦しさを感じている人
- お金の不安と悩みでいっぱいの人
には、本当におすすめです。きっと、何か感じるところがありますよ。
それではまたっ!
※関連記事です
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