そんな人向けの記事です。
簿記は転職などでとても役に立つ資格ですが、ちょっぴり癖のある内容になっています。
はじめの理解でつまづくと、「なんだかよく分からない…苦手だ」と思い込んでしまいがち。
この記事を読めば、「簿記が難しいと感じる人にありがちな傾向」と「簿記学習の効果的な取り組み方」が分かります。
簿記が難しいと感じる人にありがちな傾向は次の3つ。
- 完璧に理解しながら学習を進めようとする
- 自分の数字アレルギーがあると思い込んでいる
- 手をちゃんと動かさない(頭だけで理解しようとする)
簿記の学習を効果的に進めるためには、
- 入門書を流し読みして「専門用語」に慣れる
- 「難しいと感じる人」にありがちな3つの傾向と真逆の取り組みをする
- 資格学校の講座を利用する
のがよいでしょう。
日商簿記検定は意外と難しい試験
日商簿記検定は意外と難しい試験です。
ネットの情報を探すと
- たった1週間の勉強で合格しました!
- 過去問だけで合格しました!
といった情報が見つかることもありますが、このような意見はあまり参考にしていはいけません。
どのような能力の人が受けてるかまったく分からないからです。(のちほど詳しく解説します)
まずは客観的な数値を確認していきましょう。
簿記3級の合格最低点・合格率
日商簿記検定3級の合格最低点は、100点満点中70点です。
色々な資格試験を受けてみれば分かりますが、合格最低点が7割のラインに設定されている試験というのはそう多くはありません。
6割前後の合格ラインの試験が多いです。
試験内容が簡単でも、難しくても、絶対に7割以上取らなくてはならないというのは結構大変です。
日商簿記検定3級の合格率は、過去10数年で見てみると平均して40%程度です。下は13.7%、上は67.2%まで幅があります。
ちなみに、証券アナリスト試験の合格率は50%前後です。
USCPA(米国公認会計士)の科目別合格率も40~50%です。
簿記2級の合格最低点・合格率
日商簿記検定2級の合格最低点は、2科目合計100点満点中70点です。
やっぱり、難易度に関わらず7割のラインを超えないと合格できません。
合格率は、過去10数年で見てみると平均して約28%程度です。下は5.7%、上は47.6%まで幅があります。5.7%というと、税理士試験や公認会計士試験よりも合格率が低いですね。
参考:簿記1級の合格最低点・合格率
参考までに、簿記1級に触れておきます。
日商簿記検定1級の合格最低点は、4科目合計100点満点中70点です。
合格率は、過去平均で10%ほど。下は5.9%、上は13.5%。まさに難関資格ですね。
受験者層が幅広いので、自分に合った情報を探しにくい
こうやって見てくると、日商簿記検定3級・2級は意外に合格率にブレがあり、いい加減な勉強で合格するようなカンタンな試験ではないということが分かります。
合格率の他にもう1つ重要なことは、受験者数の多さです。簿記3級・2級は、受験者数が8万人~12万人ほどいます。
この中には、高校生から大学生、主婦、ビジネスマンなどあらゆる受験者が含まれています。
簿記に関する情報を集める難しい原因は、ここにあります。
あまりに受験者層が幅広いので、自分に合った情報を探しにくいのです。
- 同じような年齢で
- 同じような学力で
- 同じような勉強時間を確保できて
という人はなかなか見つかりません。
勉強が苦手な人が、一流高校・一流大学卒の人が書いた「簿記は簡単!すぐ受かるよ!」という話を読んだところで参考にならないですよね。
「簿記は難しい!」と感じてしまっている人は、もしかしたらとても頭の良い人が書いているブログやサイトで情報収集してしまっているのかもしれません。
簿記が難しいと感じる人にありがちな3つの傾向
簿記が難しい!と感じる人にありがちな傾向をまとめておきます。
このどれか(あるいは全部)に当てはまる人は、学習につまづく可能性大です。
傾向①完璧に理解しながら学習を進めようとする
完璧主義者はうまくいきません。
簿記は非常に洗練されたスキルで、奥が深いです。簿記1級まで学習してはじめて、
- 3級で学んだ内容は、実はこういうことだったのか!
- 2級のアレって、そういうことだったんだ!
と理解が深まっていきます。
簿記3級・2級レベルは簿記の入口にすぎません(逆に、だからこその難しさもあります)。
2週、3週とテキストや問題集を繰り返すうちに、習熟度がアップしていきます。そして、7割の点が取れる程度の理解ができていればそれでOKなのです。
傾向②自分に数字アレルギーがあると思い込んでいる
- 単位取得のため
- 会社からの指示
こういう理由で無理やり受けさせられている人にありがちな思い込みです。
という思い込みですね。
ハッキリ言いますが、簿記では数学の高度な能力は一切問われません。
問われるのは、「簿記」という独立した技術です。
回答を導き出すために必要なのは、足し算・引き算・掛け算・割り算だけです。しかも、それも電卓がやってくれます。
算数が苦手で電卓も叩けないという人は別ですが、さすがにそのレベルで数字に弱い人もなかなかいないでしょう。
傾向③手をちゃんと動かさない(頭だけで理解しようとする)
- テキストを何回も読む派
- 問題集は、答えを見て解く派
こういう人は、かなり効率の悪い勉強をやっています。
簿記は、手を動かしてナンボです。意味が分からなくても、テキストや問題集の仕訳を書き写しているだけでレベルアップできます。
「テキスト読んでるけどよく分かりません!」という人に、『その仕訳を10回書き写してごらん』と言ったところ、しばらくして「内容を理解できました」という連絡がきたことがあります。
「どうしても理解できない!気になる!」という論点があれば、ぜひ簿記1級レベルまで頑張ってみて下さい。
そこまでいけば、思う存分アタマを使って知的好奇心を満たすことができるようになります。
簿記の学習を進めるために効果的な3つの対策
対策①入門書を流し読みして「専門用語」に慣れる
専門分野の学習でつまづく要因は「専門用語」の難解さです。
借方、貸方、純資産、資本金、引当金、売掛金、未収収益…
初学者がこんな言葉をたくさん浴びせられてしまったらワケが分からなくなるのも当然です。
堅苦しいテキストはあとにして、まずは専門用語に見慣れましょう!
うげぇなんじゃこりゃ…と思う用語でも、10回見る頃にはお友達です。
ということで役に立つのがこちら。
簿記最強の入門書「女騎士、経理になる」です。会計×ファンタジーの世界観で簿記を学ぶマンガです。
『女騎士、経理になる。』はこんな感じのマンガです。 pic.twitter.com/Fv70xkHMqi
— Rootport (@rootport) October 1, 2016
5万件を超えるリツイート、いいねがついてることから分かるように、Twitterで火が付いた作品です。
とにかくとっつきやすいのが特徴で、ザっと読んで気がつくと専門用語に慣れているという優れものです。
なんだこの絵は!ふざけてるのか?オタクのための漫画か!?
と思う生真面目な方もいるかもしれませんが、内容はいたってマトモな入門書です。
日商簿記1級を持っていて、一部上場企業の経理/財務部で10以上年実務に携わっている私の目から見ても、完成度が非常に高い作品です。
簿記をここまで親しみやすく説明している本は、ちょっと他には思いつかないですね。
勉強に行き詰っている人、簿記ってつまらない!と感じている人にはオススメです。
デメリットはおカネですかねw
簿記3級ぐらいなら、テキストと問題集1冊ずつで合格できます。それなのに、簿記3級に受かるために1冊680円くらいの漫画を買うというのは、微妙だと感じる人もいるかもしれませんw
「日常的に漫画を買い漁っているからそんなの気にならない!」というお方は是非!
対策②「難しいと感じる人」にありがちな3つの傾向と真逆の取り組みをする
学習の「姿勢」という意味では、上記で紹介したダメな習慣の真逆のことをやればOKです。
- 完璧主義を捨てる
- 算数や数学とは一切関係ないと知る
- 読むのではなく、手を動かす
ということですね。
取り組み方を間違えると致命的になるのは①と③です。
- 簿記って楽しい!
- だんだん分かってきた!
という人は、とにかく手を動かしています。
テキストや問題集を書き込みでボロボロにするタイプですね。
税理士試験の「簿記論」という科目を予備校で受けていた際に、スクールの先生に言われたセリフがこれです。
絶対受かります。
質より量です。とにかく手を動かしましょう!
簿記学習のサイトを見ていると、「理解重視!暗記はダメだ!」ということを主張している人もいます。もちろんそれも一理あるのですが、私は簿記2級までは暗記重視の方が良いと思っています。
理由は、簿記1級レベルにならないと全体感をしっかりと掴めないからです。簿記3級や2級で点と点(=個別論点)を一生懸命覚えていって、簿記1級でそれらを繋げて線にするというイメージです。
理解を深めるのは、税理士試験や会計士試験、簿記1級レベルの内容になってからで十分です。
しつこいようですが、初学者はとにかく手を動かして仕訳を書くことが全てです。手を動かしていれば、結果は後からついてきます。
対策③資格学校の講座を利用する
「ひとりじゃ無理!でも受かりたい!」そういう場合は、やっぱり資格スクールの利用をおすすめします。
今学習につまづいているのなら、資格スクールがきっと役に立ちます。
独学でやってきた人って、なんだかんだ重要なところを理解してなかったりするんですよね。簿記2級を持っているにもかかわらず、「未払金」と「未払費用」の違いを明確に説明できないとかザラです。
- 合格可能性が大幅に上がる(スクールの利用者は合格率がはるかに高いです。)
- 効率が良い(時間を無駄にしない)
- 正しい知識を順序立てて理解できる
- どうせモトがとれる(働けばスクール代なんかあっという間に回収できます。株式投資などにも役に立ちます)
- モチベーションを高められる
と、良いことづくめです。唯一の問題点「コスト」は将来回収できます。
良い講師に出会えると、本当に学習が楽しくなるんですよね。
何を学ぶかより、誰から学ぶかの方が重要ということもあるのです。
独学で進み具合がイマイチなら、良い先生から教えてもらうのが一番です。先生からパワーをもらいましょう。
簿記は、学習をサポートしてくれる良質なスクールがたくさんあるので、とても便利です。
とはいえ、3級くらいだと「受験者数が多い試験だから、おカネになるぞ」という発想の、中身の薄いスクールもあるので注意してくださいね。
※少なくとも、「簿記1級」「税理士」「会計士」といった資格の講座をひらいているスクールを選ぶといいと思いますよ。中身の薄いスクールは、会計の難しい試験には対応できなかったりしますので…。
どちらも、
- 教材・授業のクオリティ
- 質問に対するフォロー
- スケジュールやモチベーションの管理
といった面で、かなり優れたスクールです。
- 時間がない
- 価格をおさえたい
- 効率的に学びたい
- とにかく合格したい
という人は、クレアールを選びましょう。コスパ最強の簿記スクールで、クオリティもばっちりです。
※資料請求すると、無料でサンプル教材がもらえます。これを見れば、資格スクールのクオリティを肌で感じてもらえると思います。無料ですので、ぜひお試しくださいね。
一方、対面の授業を受けたい人には大原が良いでしょう。全国に教室のある、超有名スクールです。
私自身、実際に大原で簿記を学びました。「すべての授業にちゃんと出席すれば、簿記試験は受かったも同然」いうレベルの授業でしたよ。
※もらえる資料は、簿記試験と大原の講座について、過不足なくまとまった内容です。ネットの情報だけではわからないこともあるので、少しでも気になるなら資料請求してしまった方が時間の節約になると思いますよ。
簿記スクールについて「もう少し詳しく!」という人は、以下の記事もご覧ください。
まとめ:簿記が難しいと感じるのは「取り組み方」のせい!
まとめます。
簿記が難しいと感じる人にありがちな傾向はこんな感じ。
- 完璧に理解しながら学習を進めようとする
- 自分の数字アレルギーがあると思い込んでいる
- 手をちゃんと動かさない(頭だけで理解しようとする)
裏を返せば、
- 完璧主義を捨てる
- 算数や数学とは一切関係ないと知る
- 読むのではなく、手を動かす
ように意識すると、感じ方が変わってくるはずです。
簿記の学習を効果的に進めるためのアドバイスはこの3つ。
- 入門書を流し読みして「専門用語」に慣れる
- 「難しいと感じる人」にありがちな3つの傾向と真逆の取り組みをする
- 資格学校の講座を利用する
簿記を難しいと感じてしまうのは、決してあなたの能力不足ではありません。取り組み方の問題です。
やり方を間違えて取り組むというのは、テニスコートに野球のバットを持って立つようなものです。
ものごとには、「正しい取り組み方」というものがあります。
「うまくいかないな」「難しいな」と感じたら、取り組み方を変えてみて下さい。
たった1つのアクションが、その後の流れをガラリと変えますからね!
それではまたっ!
「日商簿記3級」「日商簿記2級」の対策ページはコチラ↓です。興味のある方はあわせてどうぞ!
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