日商簿記検定のネット試験(CBT形式)に関するまとめ記事です。
- ネット試験概要
- ネット試験のメリット
- ネット試験のデメリット
- ネット試験対策の必要性
など、日商簿記検定のネット試験に関する話題を凝縮しています。
「統一試験とネット試験、どちらで受けようかな?」と悩んでいる方は、内容をしっかりチェックしてみてください。
かなりボリュームがありますので、興味のある部分だけご確認して貰えればと思います。
■統一試験
紙ベースの問題、解答用紙。試験は商工会議所で2月、6月、11月の年3回実施される。
■ネット試験
パソコン画面に表示された問題を、パソコン上で回答。試験はテストセンターで随時実施される。
目次
簿記ネット試験概要
ネット試験(CBT方式)とは
2020年12月より開始された「パソコンを使って受験する方式(Computer Based Testing)」の試験方法です。
各地に設けられたテストセンターにて、パソコンを操作して回答します。
2021年11月時点で、簿記3級と2級がネット試験の対象です。
ネット試験の受験料・申込方法
受験料は統一試験同様、
- 3級 2,850円
- 2級 4,720円
の費用に加えて、事務手数料が掛かります。数百円ほどです。
申込手続きの詳細はこちらに書いてありますので、大まかな流れだけご紹介します。
- STEP1 ネット試験会場を確認:商工会議所のHPにて最寄りの試験会場を探します
- STEP2 試験日や受験申込方法等を確認:試験日と受験申込が「インターネット方式」か「会場問い合わせ方式」かを確認します
- STEP3 受験申込:インターネットもしくは電話での申込
- STEP4 試験日:試験会場に行き、受験します
- STEP5 合否発表・合格書の配布:試験終了後すぐに合否が分かり、合格書はQRコードよりデジタルで取得できます
《「インターネット方式」と「会場問い合わせ方式」について》
ネット試験の申込は、
- インターネット上の日本商工会議所マイページから申し込む「インターネット方式」
- テストセンターに直接問い合わせて申し込む「会場問い合わせ方式」
の2パターンあります。
インターネット方式は、
- 日商簿記検定のネット試験用マイページを作成
- マイページ上からテストセンターを検索
- 申し込み
となります。事務手数料は一律550円です。
会場問い合わせ方式は、
- 会場に直接電話
- スケジュールを確認
- 申し込み
となります。事務手数料は会場毎に異なりますが、0円~数百円ほどです。
ネット試験の試験日程
テストセンターで定めたスケジュールの中で、随時受験可能です。
例えば、インターネット方式で東京のテストセンターを検索すると、22のテストセンターが表示されます。
この中の最寄りのテストセンターの任意日付を選択して、予約できる時間を選択します。(土日に多くのテストセンターで開催されていることがわかりますね。)
ネット試験は随時開催されているので、
- 統一試験の数ヶ月前に試験範囲の勉強が終わってしまった方
- 統一試験で運悪く落ちてしまった方
ネット試験での受験を検討してみてください。
簿記への熱意が高いうちに受験する、統一試験で不合格だったけど復習してすぐに受験することができます。
ネット試験の出題形式・試験時間・合格基準
統一試験と同様(2021年6月の第158回試験より統一化)、
- 3級 60分、3題、100点中70点以上で合格
- 2級 90分、5題、100点中70点以上で合格
の構成になっています。
勘定科目はプルダウンから選択する問題と、実際にキーボードで入力する2パターンあります。
ネット試験特有の注意点としては、
- 数字はカンマ(,)を付けずに入力
- 各問題の中で、借方・貸方で同じ勘定科目を2回使うと不正解になる
がありますので、注意してください。
カンマはパソコンが自動的に補完してくれます。間違えても入力し直せば良いので、慌てずに入力しましょう。
ネット試験に持っていくもの
- 身分証明書(氏名、生年月日、顔写真のいずれも証明できるもの)
- 電卓
- 筆記用具(必要に応じて)
です。
筆記用具に関しては、テストセンターが用意してくれる場合もあります。予約時に持ち物を確認してください。
ネット試験合格率
商工会議所の出しているデータによると、直近の合格率(2021年4月~12月受験)は、
- 簿記3級・・・41.7%
- 簿記2級・・・38.7%
(参照元:商工会議所)
となっています。
これまでの統一試験では合格率にばらつきがありましたが、ネット試験では40%前後に落ち着いているようです。
統一試験の試験内容もネット試験と統一されるので、合格率「40%」ほどが簿記試験の合格率として落ち着くと思われます。
簿記ネット試験 メリット3選・デメリット3選
メリット3選
- スケジュールがあえば、1年中いつでも受験が可能
- 受験後すぐに合否が分かる
- 回答用紙に文字を書かなくて良い
これまでの統一試験は2月、6月、11月と年に3回で、受験タイミングを自分で選択できませんでした。
試験に落ちてしまったり、やむを得ず受験日に受験できない場合は、再受験するまでに日が空いてしまいました。
日が空いてしまい、やる気が下がって、簿記資格を諦めてしまった方もいるのではないでしょうか。
ネット試験であればテストセンターのスケジュール次第ですが、自分の好きなタイミングで受験することが可能です。
また、統一試験と違って、受験後すぐに合否が分かります。(統一試験の場合、受験後1週間~1か月かかります)
その際に問題ごとにどれくらいの点数だったかも分かります。
ネット試験では1週間後でも2週間後でも再度受験が可能です。(最短4日後に受験可能です)
合格証はQRコードが発行されるので、QRコードを読み取ってPDFをダウンロードします。
ネット試験では回答もパソコンに打ち込みますので、回答用紙に「書く」という行為がなくなります。
数字は文字で書くのもキーボードで打ち込むのも大差ありませんが、漢字などの画数が多い字はキーボードで打ち込む方が断然早いです。
予測変換もあるので、書く時間は漢字があればあるほど軽減されます。
デメリット3選
- テストセンターの少ない地域がある
- 問題用紙にメモを書き込めない
- ある程度のPC操作の慣れが必要(マウス、キーボード操作)
先程東京の場合は22か所のテストセンターがありましたが、テストセンターを検索してみると…
- 北海道で5か所(札幌2か所、函館1か所、釧路1か所、旭川1か所)
- 青森県で3か所(青森市、八戸市、弘前市で各1か所)
- 群馬県で3か所(高崎市、前橋市、太田市で各1か所)
- 富山県で1か所(富山市)
- 岐阜県で1か所(岐阜市)
※2021年11月時点のインターネット方式で検索した場合の結果です。会場問い合わせ方式がもう少しある場合があります。
大都市レベルの都市にしかテストセンターが無く、実質的に統一試験を受験するしか無い場合もあります。
また、問題がパソコン画面上に表示されるので、問題用紙に直接メモすることができません。
決算整理で電卓に入力した数値をチェックしていくなどの確認行為ができないので、どこまで入力したかが分からなくなり再度計算し直す羽目に…
仕事でパソコンを利用されている方は問題ないと思いますが、普段スマホしか触ったことのないパソコン操作が不慣れな方は、少なくとも文字入力ができる程度のパソコン操作能力は必要です。
ネット試験のための特別な対策は必要か?
ネット試験用の特別な勉強は必要か?
ネット試験用の「特別な勉強」は必要ありません。
統一試験とネット試験の出題形式、試験時間が、2021年6月の第158回試験より統一試験とネット試験で統一化されました。
そのため、統一試験で受験しても、ネット試験で受験しても、回答する問題は同じです。
つまり勉強法も一緒です。
日本商工会議所は、2021年度からの簿記のコンセプトとして、下記の4つを上げています。
- 日々の学習の成果、到達度を測る
- スピードと正確性を求める
- 出題範囲すべての学習を求める
- 1級まで継続した学習を奨励する
(引用元:商工会議所の検定試験)
簿記資格を「取る」という目的ではなく、簿記というスキルそのものの習熟度の証として資格を渡すということです。
より実務に近い資格となったと思います。
簿記の広範囲での知識を求められており、簿記の知識を網羅できるのであれば、
これまで通りの勉強方法で問題ないという訳です。
簿記3級、2級の勉強方法や勉強時間については、下記記事を参考にしてください。
これから簿記資格を目指す方ではなく、2021年6月以前に簿記取得を目指して勉強されていた方。
簿記試験は統一試験・ネット試験ともに、試験時間が簿記3級は60分、2級は90分の試験時間に変更されています。
この点は勉強再開時の注意点として気に留めておいてください。
ネット試験の事前準備は必要
特別な勉強方法は不要ですが、ネット試験を受けるうえで事前に準備しておくものがあります。
- 問題用紙に直接書き込まない回答の練習
- カウントダウンタイマーに慣れておく
ネット試験ではパソコン上に問題および回答欄が出るため、統一試験のように問題用紙に直接書き込むことができません。
過去問や想定問題を解く場合には、これをしっかりと意識して問題用紙ではなくメモ帳に書いて回答する練習が必要です。
また腕時計などの持ち込みができないため、試験時間はパソコン画面の下部に表示されたカウントダウンタイマーのみで確認できます。
※カウントダウンタイマーは、キッチンタイマーを思い浮かべてください。
アナログ時計での時間管理に慣れている方は、スマホの時計アプリなどを利用してカウントダウンタイマーに慣れておきましょう。
ネット試験の操作方法を試してみたい
日本商工会議所に「日商簿記初級」版ですが、ネット試験の操作体験できるプログラムがあります。
こちらをダウンロードして確認してください。
↓実際にネット試験を受けた友人の発言↓
こんな感じです。
※第1問が上手く表示されないバグがネット試験の不具合としてあるようです。第2問 or 第3問をクリックして、第1問に戻ると解消されます。
簿記ネット試験まとめ
- 全国のテストセンターで随時受験可能。
- 出題範囲・試験時間は統一試験と同じ
- 受験料は3級2850円・2級4720円に、事務手数料が数百円プラスされる
- 合格率はおよそ45%
- 勉級方法はこれまで同様のテキスト・講義でOK
- 問題用紙に書き込まない練習など、ネット試験を受ける準備は必要
出題範囲や難易度は統一試験、ネット試験ともに同じです。統一試験を目指して勉強していたけど、ネット試験で受験してみたいという方も安心して受験してください。
費用は統一試験より数百円多く掛かりますが、自分の予定に合わせて受験できるメリットがあります。
紙とパソコンという違いがありますので、その点は留意が必要です。
統一試験とネット試験、どちらの受験方法が有利というものではありません。
学習状況や理解度、受験できるタイミングを考慮して、ネット試験も上手く活用してください。
簿記は本当に取るべき価値ある資格です。是非簿記の世界に一歩踏み込んでみてください。
それではまたっ!
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