こんな疑問にお答えします。
当ブログ「こびと株.com(@kobito_kabu)」のメンバーは、4人全員が日商簿記1級ホルダーの実務家です。
- 4人のうち1人は独学で合格
- 残り3人はスクールを利用して合格
- 簿記1級を武器に就活し、一部上場企業に就職
- 皆30歳前半で700万円弱の年収(残業ゼロ有給フル消化のホワイト)
職場にもたくさんの簿記1級合格者がいるので、その難易度・勉強時間に関する情報はたくさん持っています。この記事ではそういった情報をまとめて公開します。
この記事を読めば、次のことが分かります。
- 簿記1級の難易度
- 簿記1級の勉強時間の目安
- 簿記1級の難易度・勉強時間に関する口コミ
結論としては、
簿記1級は受験者のレベルが高く、合格率10%前後・勉強時間500~1,000時間の難しい試験
です。独学は厳しいので【クレアール】や【大原】といった優良スクールを使って早期合格してしまいましょう。簿記1級は就職・転職・昇進で評価されるので、スクール代のモトは簡単に取れます。
それでは詳しく見ていきましょう!
目次
簿記1級の試験概要
試験概要を知らずして、難易度や勉強時間を語ることはできません。まずは簿記1級の試験概要をざっくりと掴みましょう。
試験科目・試験形式
試験科目は4科目で、配点は各25点です。100点満点の試験ということです。70点以上の得点で合格となります。
膨大な試験範囲の試験でありながら、試験時間は180分しかありません。
- 証券アナリスト試験は420分(2次試験午前・午後)
- 中小企業診断士は510分(1次試験7科目)
- CFP(ファイナンシャルプランナーの上級資格)は720分(6科目)
これらの資格試験と比較すると、簿記1級の本番試験は学んだことのごく一部しか問われない試験だと言えるでしょう。
そういう意味では、運の要素も強く、報われにくい試験です。
その他試験の概要・特徴
その他の特徴としては「足切り制度」があげられます。4科目のうち、いずれか1科目が10点未満/25点だと、それだけで合計得点にかかわらず不合格が確定します。
本番の試験では、膨大な試験範囲から特定の論点がピックアップされて出題されます。未学習・苦手論点があるとそれだけで合格の確率がグっと下がってしまうということです。
難易度を受験資格×合格率×勉強時間の3要素で判断
さて、簿記1級の難易度をできるだけ客観的に評価してみたいと思います。その要素は3つです。
- 受験資格
- 合格率
- 勉強時間
例えば、司法試験は受験資格が非常に厳しく(法科大学院に合格し2~3年勉強しないと受験できない)、本試験の合格率は20%弱、勉強時間は数千時間に及びます。文句なしの最高難易度ですね。
一方で、簿記3級は誰でも受験することが可能で、30~40%の合格率、数十時間で合格できるので易しい試験ということになります。
簿記1級はどうでしょうか?順番に見てみましょう。
要素①受験資格
学歴・年齢・性別・国籍による制限はありません。つまり、受験資格は一切ありません。誰でも受験することが可能です。
ただし、ここで1つ留意すべき点があります。
形式上のことはさておき、事実上は簿記2級が受験資格になっているということです。周りを見ていても、簿記2級を飛ばしていきなり簿記1級にチャレンジしている人はほとんど見当たりません。
- 日商簿記3級の合格率は40%前後
- 日商簿記2級の合格率は30%前後
結局、簿記1級の受験者は40%×30%=12%、10人に1人レベルの受験生だということです(連続一発合格者を想定)。
さらに、日商簿記1級の受験生のうち、それなりの割合を「公認会計士試験」の受験生が占めています。彼らの大半は有名大学の学生です。
こういった背景を考慮すると、簿記1級に受験資格はないものの、受験者達のレベルは比較的高いことが分かります。宅建士、行政書士、中小企業診断士といった士業試験でも、レベル低めの記念受験者がもう少しいるように思われます。
要素②合格率
受験生のレベルが比較的高い簿記1級ですが、合格率はどうでしょうか?
最近の試験を見てみると、このような結果になっています。
10%弱の合格率だと考えておくと良いでしょう。
ちょっと古いデータですが、士業試験の合格率と比較してみます。
簿記1級は、これらの試験とたいして変わらない合格率の試験であるということが分かります。合格率だけで見ると、難関国家試験並みの難易度です。
合格率は低いという認識でOKです。
要素③勉強時間
最後に、合格に必要な勉強時間を見てみましょう。これは、専門予備校(スクール)のカリキュラムを見ると大体掴むことができます。
スクールを利用した場合の勉強時間
有名スクールの大原の「1級合格コース」でそのボリュームを見てみましょう出題範囲を網羅するために必要な授業回数は【65回】です。総時間は195時間に及びます。
学習の効率性がウリのクレアールでも【175単元】、142時間です。
簿記1級レベルの試験では、最低でも復習のために講義時間と同じだけの勉強時間を確保する必要があります(私たちが通っていた大原の講師がよく言っていました)。
つまり、予備校利用した場合の”最短”学習時間は300~400時間程度ということになります。
簿記1級は、理解するのが難しい難関論点が目白押しですから、300~400時間という想定はかなり甘めです。個人的には、600時間~で見込んでおいた方が現実に近いと思います。
※日商簿記1級を学習すると、税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」の学習範囲を8割以上カバーできます。簿記論と財務諸表論に合格するにはそれぞれ400~500時間の学習が必要とされていますから、(予備校を利用して)600時間というのはイイセンいっている数字だと思います。
1日100分×365日勉強して合格ラインにのってくるというわけです。1発合格すればこれでおしまいですが、何度か受験を繰り返すとどんどん勉強時間は膨らみます。
予備校を利用していても1発合格する人は多くはありません。
インターネットで情報収集していると、時々「数ヶ月の勉強で合格しました!」というようなすごい受験生を発見することがあります。これはどういうことでしょうか?
答えはズバリ、次の3つのどれかです。
- 受験エリート(超有名大学卒)
- 簿記の学習経験が豊富(商業高校・商学部卒)
- ヤマが当たった
①のパターンは本物の秀才です。
②のパターンは「実は全くの初学者ではなかった」というケースです。商業高校や商学部で、1級の論点に触れた経験がある人達です。ゼロからチャレンジしようとしている人、簿記2級からステップアップしようとしている人は参考にしてはいけません。
③のパターンは、膨大な試験範囲のなかから狭い論点が出題される簿記1級ならではのできごとです。要するに、捨て論点を作っても運が良ければ生き残れるのです。単にラッキーな人ということですね。
ほとんどの人は、最低でも半年~1年かかるという心づもりでいた方が良いでしょう。
独学の場合の勉強時間
独学の場合は、スクールより時間がかかります。なぜなら
- 新しい論点の理解に時間がかかる
- つまづくと進まない(誰も解説してくれないので)
- 勉強ペースが一定になりにくく、長期化しがち
こういったことが起こるからです。
勉強が得意な人、要領の良い人は500時間ぐらいで合格できるかも知れませんが、普通の人は1発合格は厳しいです。数回の受験を繰り返す間に、総勉強時間は1,000時間近くになってしまうかもしれません。
簿記1級の難易度:難関試験です!
上記をまとめると、次の通り。
- 受験資格:事実上、簿記2級以上レベル
- 合格率:10%前後(難関国家資格並み)
- 勉強時間:500時間~1,000時間
これらを判断材料にすると、簿記1級は文句なしの高難易度試験と言えます。だからこそ、簿記1級には希少価値があるのです。就職や転職に役に立つというのも当たり前の話ですね。
公認会計士や税理士、司法書士などの上位士業よりは易しいですが、中小企業診断士、社会保険労務士などとは良い勝負かもしれません。
「簿記1級は難関試験だが、希少価値が高くメリットが大きい」
これがこびと株.comメンバーの見解ですが、ネット上ではどのような評判でしょうか?まとめてみましたので、参考までにご覧ください。
簿記1級の難易度・勉強時間(口コミ編)
日商簿記1級の合格率は約10%ですが、このうち3.5%分は会計士受験生、4.5%分は税理士受験の受験資格を得ようとする受験生が合格していると推定されます。
なので純粋に簿記1級の合格を目指している受験生の合格率は実質的に2%だという計算になります。このように考えると実質的な難易度は極めて高そうに見えますが、きちんとやるべきことをやっていけば合格できます。
(出典:簿記革命「簿記1級の合格率に隠された真実と簿記1級に合格する方法」)
合格者の大半は会計士や税理士受験生で占められており、1級のみの合格者は極めて少ないだろうという見解です。
「どんなに頑張っても合格できない!」というレベルではないですが、やはり試験の難易度は高いです。
こんな意見もあります。
よく「簿記1級と高校受験、大学受験はどっちが難しいのか?」と聞かれますが、個人的には「大学受験>簿記1級>高校受験」の難易度だと感じました。(参考までに、ボクの大学の偏差値は62で、高校の偏差値は60です。)
(出典:簿記ログ「日商簿記1級の難易度はどれくらい?簿記2級との違いや必要な偏差値を調べてみた」)
大学の偏差値62というと、私立ではMARCHレベルでしょうか。これぐらい学力のある人なら、大学受験の方が難しかったと感じるようです。
日商簿記2級 までであれば、少し勉強をしただけで合格できる方もいるでしょう。
しかし、日商簿記1級は非常に難しいです。
その理由は、学習範囲がとてつもなく広いからです。
ちなみに、筆者は専門学校で日商簿記1級の勉強をした経験もありますが、教科書だけでトータル1000ページ以上はありました。
教科書が薄い訳ではないので、勉強するのも一苦労でしょう。
(出典:FULL HOUSE「日商簿記1級の試験日、難易度などを解説。就職活動中、公認会計士を目指す人は必見です!」)
日商簿記2級とはケタ違いの難易度だ、というのは簿記1級の受験生・合格者なら誰もが知っていることです。試験範囲を一通り勉強するだけでもかなり大変です。
簿記1級なんて簡単!
という意見はまったく見つけられませんでした。もう、これが結論でOKですよね。
簿記1級は難しい試験です。
ここから、1つの結論が導かれます。
- 簿記1級は難しい
- 難しいからこそ、希少価値が高く、就職や転職・昇進で評価される!=モトが取れる!
- だから、本気で合格したいなら(会計の専門職に就きたいなら)スクールを使おう
こういうことです。
簿記1級はスクールを使うのがベストな試験
簿記1級は価値がある難関資格(モトが取れる資格)
簿記1級は経済的価値がある資格です。就職・転職・昇進などで年収をアップさせることができます(私の勤務先は一部上場の大企業ですが、転職者たちはみんな簿記1級ホルダーです)
世間に多数存在する趣味資格とはワケが違います。簡単にモトが取れるのだから、スクールに通って早く合格してしまいましょうということです。
簿記1級の価値・取得の5つのメリットはこの通り。
- 資産形成に役立つ(年収アップ・投資に役立つ)
- 専門分野を持てたという自信・達成感
- 会計士・税理士などへのステップアップを狙える
- 経済ニュース・専門書籍の理解度が圧倒的に増す
- 副業・独立時にも役立つ
①が特筆すべきメリットです。
もし簿記1級がなければ、この年齢で年収700万円弱(しかも残業ゼロ)を稼ぎ、4桁万円もの資産運用をするまでにお金を増やすことはできなかったです。
詳細は上記記事に詳しくまとめてありますので、ぜひご覧ください。
簿記1級は独学をおすすめできない難関資格
独学でも合格できるのなら、その方が良いに決まっています。しかし、簿記1級に独学で合格するのはかなり難しいのです。
独学をおすすめできない5つの理由についてはこちらの記事で詳しく解説しています。これを読んでも「自分は大丈夫!」と思える人だけ挑戦してみて下さい。
- 独学で不合格を重ねるうちに歳をとる
- 独学で不合格を重ねるうちに挫折してしまいキャリアチェンジが無理になる
勉強しているうちに、もっとも柔軟にキャリアを選択できる20代が過ぎてしまう方がよほどリスクが高いのです。
スクールに支払う20万円弱のコストをケチって、自身の数百万円の市場価値を失うなんてことにならないようにしてください。これはおおげさな話でも何でもなく、よくある話なのです。
「簿記1級は立派ですけど、年齢がネックなんですよね…」
転職エージェントにこう言われた知り合いは1人や2人ではありません。早く合格できることには大きな意味があります。本気で合格を目指すなら、スクール代ほど効果的な投資はないのです。
- 合格率が劇的にアップする(合格率が10%と20%では天と地の差です)
- 実務でも使える正しい知識が身につく(独学者の理解はおかしなことになってることが多いです)
- 人に説明する力が身につく(講師の説明の仕方は、プレゼンのお手本です)
会計の専門職を目指すなら、スクールを利用しないという選択肢はありません(断言!)。
簿記1級のおすすめスクール
おすすめしたいスクールは、【クレアール】と【大原】です。
タイプの違うスクールなので、自分に合った方を選んでほしいと思います。
というイメージです。
資格スクールのパンフレットには、試験概要・カリキュラム・合格者体験記などが過不足なくまとまった良質な情報が含まれているので、是非請求してみて下さい。
クレアールは、「合格に必要な範囲だけを勉強する」ことに特徴のあるスクール。そのスタイルは、とにかく効率的です。
科学的に解析され、厳選された超効率的な学習法で、時間・価格両面でのコスパが最高。
- 効率重視で合格したい
- 忙しくて時間がない
- 費用を抑えて取り組みたい(大手の大原は16万円前後、クレアールは10万円きります)
という人に向いています。「満点」ではなく「合格」をねらうイメージです。
WEB通信での学習が基本なので、スマホ学習でスキマ時間を活用できますし、早見再生で時間短縮もできます。音声のみのデータも用意されています。
こういうちょっとした利便性が、合格と挫折を分けたりするのですよね。
※資料を請求すると、無料でサンプル教材がもらえます。見てから決めればOKなので、とりあえず請求だけしておきましょう。独学教材との比較にも使えます。
もうひとつは大原。言わずとしれた、大手スクールです。
- 通学で学びたい
- 試験範囲全体を理解したい
- 大手の安心感が欲しい
という人に向いています。
私も通ったことがありますが、講師がめちゃくちゃ良くて感動ものでした。
これらのスクールの授業を受け始めると、「こんな良い教材で授業を受けてる人がいるんじゃ、独学の人は勝てないじゃないか!」ということに気づくと思います。どちらも本当にクオリティが高いです。
ちなみに、両スクールは教育訓練給付金制度対象の講座があるので、スクールに支払った料金の20%は取り戻すことができます。
厚生労働大臣に講座指定されているいうのも、「まっとうなスクールだ」という安心材料になるかもしれませんね。
まとめ:簿記1級は難しいけれど、価値が高く合格後の選択肢も豊富
繰り返しになりますが、以上をまとめるとこの通り。
- 受験資格:事実上、簿記2級以上レベル
- 合格率:10%前後(難関国家資格並み)
- 勉強時間:500時間~1,000時間
合格してしまえばモトがとれる試験ですから、基本的には独学はおすすめしません。個人的には
- メール・電話の質問回数が無制限で可能
- もし落ちてしまっても1年延長で動画視聴可能
- 教材のクオリティが非常に高くムダがない(大手の教材はマイナー論点に時間使いすぎる)
- それなのにめちゃくちゃ安く8~9万円台で受講可能(大手は16万円以上かかる)
ということでクレアール一点推しです。
もし、どうしても独学で!ということであれば、下記記事を参照ください。
というのが知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
とにもかくにも、簿記1級は私が取得した資格のなかで一番人生に役に立っている資格です。迷っている人がいたら、自信を持ってススメられる資格ですね。
皆さまが簿記1級に合格して、会計専門職に就けることを応援しております。
以上、「簿記1級の難易度・勉強時間の目安を現役経理マンが教えます」でした。
それではまたっ!
関連記事です。
簿記を活かせる仕事を紹介しています。意外に思うかもしれませんが「日商簿記2級」レベルなら実務では全然やっていけます。1級を取らなくてもいい仕事にめぐりあえるかも?
ここ最近の経理はめちゃくちゃ売り手市場です。実務経験者なら、簿記2級レベルでも上場企業への転職が狙えるレベルです。1級を取るまでもなくキャリアアップできる可能性あり。
Follow @kobito_kabu