こんな人のための記事です。
就職して早々、加入をすすめられる持株会。会社は奨励金などを用意して勧誘(?)してきますが、実際、持株会ってどうなのでしょう?
- オトク?
- それとも微妙?
- もしかして、実は落とし穴があったりする?
目次
社員持株会
あれはすでに10年以上前。私が入社したての、ぴちっぴち(死語)の新入社員だったころの出来事です。
不用意に独り言をつぶやいたのが運の尽き。
鬼のような優しい優しい先輩の教えを受けることとなったのでした。
この後私は、従業員持株会のメリット・デメリットを熱く語られ、最終的には持ち株会を解約するという結論に至ったのでした。
- 年金保険
- 従業員持株会
- 財形貯蓄
もちろん、会社側も悪意があるわけではないでしょう。しかし、入社時のバタバタの中、よく考えもせずに加入すると後悔するような商品も少なくありません。
従業員持株会のメリット
メリット①:奨励金がある
まず第一にあげられるのは、奨励金の存在です。
「従業員持株会」という制度を設けている以上、企業側には「従業員に株主になって欲しい」という思いがあります。
会社側は、この制度に次のような効果を期待しているからです。
- 安定株主ができる
- 働くインセンティブが高まる(※)
※「業績が上がって株価が上がると、株を持っている従業員は得をする。つまり!株を持っている従業員は業績を上げるために一生懸命働くはず!」…という理屈です。
従業員持株会に加入してもらうために、企業は「奨励金」というエサを用意していることがあります。
毎月10,000円分の株を買ってくれるなら、企業がプラス200円追加で拠出しますよ、といった具合です。
この奨励金、パッと見、かなりおトクに見えますよね。
こうやって、従業員持株会に加入する従業員は後を絶たないのですが…これ、全くの勘違いです。利回りはちっとも高くありません。
ポイントは、追加払込額にしか奨励金がつかないこと。
利子は普通、前月以前に払い込んだおカネを含む「残高」の何%かもらえるものです。でも奨励金は、「追加払込額」の2%。
初めはオトクに見えても、払込期間が長くなるにつれて、大してオトクでないことに気が付きます。
※何を言ってるのかよく分からない、という人はこちらの記事も見てみて下さい。IRRについて知れば、バッチリ理解できるようになりますよ♪
メリット②:値上がり益が期待できる
次にあげられるメリットは、値上がり益です。
当たり前ですが、従業員持株会という形式をとっていても、自分の持っている株式の利益は、自分のモノになります。
要するに、自社の株価が上昇すれば、大きな利益が狙えるというわけ。
この意味で、成長段階にある企業の従業員持株会は、成熟企業の従業員持株会よりも魅力的だと言えます。
結局、
というのが、従業員持株会に加入するメリットということですね。
メリット③:ドルコスト平均法でコツコツ積み立てられる
株式投資は、普通にやると普通に負けるようにできています。
相場の世界には、心理的なトラップがたくさんあるからです。興味のある人は「プロスペクト理論」なんかを調べてみてくださいね!
一方、従業員持株会でコツコツ積み立てる場合、人間心理は一切無視して機械的な投資が行われます。
ですから、心理的なトラップを回避できるわけです。
従業員持株会は基本的に定額積み立てですから、自動的に、ドルコスト平均法という投資手法を実行していることになります。
一般人の場合、下手に売買を繰り返すより、こちらの方がずっといいパフォーマンスが出ます。(外部リンク:投資初心者必見!ドルコスト平均法って万能なの?)
- コツコツと積み立てできる
- 投資先を決めるために時間をかけなくていい
というのもプラスポイントかもしれません。
従業員持株会のデメリット
デメリット①値下がりリスクもある
値上がり益が狙えるということは、裏を返せば値下がりのリスクがあるということです。
実際、10年かけて上昇した株価が一気に半値近くになってしまって、ガッカリして持株会をやめてしまった先輩もいました。
デメリット②流動性リスクがある
忘れがちだけど重大なデメリットが、流動性リスクです。
要するに、好きな時に売れないということです。
インサイダー取引防止の規制があるためですね。
これ以外に、「売却手続きに時間がかかり、すぐには売れない」というケースもあります。
株式投資の世界では、好きなときに売れないというのは大変大きなリスクです。
よく注意して、資金配分する必要がありますね。こうやって考えると、「奨励金は流動性プレミアム」という見方もできるかも!
デメリット③労働と投資が一ヶ所に集中してしまう
勤務先の株主になるというのは、「集中投資」です。
例えば…
勤務先の業績が悪化して、大規模なリストラを行うことになったとします。もしあなたがそのリストラの対象になったら、あなたは職を失います。
一方で、株式も値下がりしていく確率が高いですよね。なにせ、大規模リストラを行うような状況ですから。
つまりこの場合、「職を失う+財産が減る」というダブルパンチを受けることになるのです。
このようなことになるのは、集中投資をしているからです。
結局、
- 会社がうまくいけば、自分も天国
- 会社がダメになれば、自分も地獄
という、会社と一蓮托生の関係を築いてしまっているのです。
それこそが、従業員持株会の本質。
※「会社に尽くしたい!」というのが目的なら、従業員持株会に入るのは◎。モチベーションアップに役立つと思われます。
ちなみに、他にも小さなデメリットとして株主優待が貰えない(名義が「持株会」のため)などもあります。
さて、あなたの株式投資の目的は?
最初のステップは、
だという点を、きちんと認識すること。
- なんか、会社ですすめられたから…
- よくわからないけど、毎月少しずつ貯金してくようなものだよね…
- 会社の制度なんだから大丈夫な気がするし…
なんて感覚で始めるのはNGです。
自分の資産を、何のためにどうやって運用するのか、きちんと考えた上で「持株会に入るのか?入らないのか?」を判断する必要があります。
例えば、収入源の分散
性格的には、安定志向。堅実なのが好きです。
コツコツタイプで、心配性です。要するに、リスクが嫌いです。
危ないのヤダ。安心して安定した暮らしをしたい。
そしてそのためには、今の時代、
- マジメに働くだけじゃ報われない!
- 複数の収入源をもたないと!
こう考えているわけです。
こうやって考えると、社員持株会は全然私の目的にあっていない訳です。
だって、給料くれるのと配当くれるの、同じ会社じゃ、ちっとも分散できてないですよね?もしも会社がつぶれたら、両方失うじゃないか!今の時代「絶対につぶれない会社」なんてないですよ。例えばコロナとか、予測できた人いないですもんね。
ダメです、ダメ。やっぱり社員持株会はダメ。
いくら奨励金が魅力的でも、だまされてはいけません!誰もだまそうとはしてないですけどねw
「卵はひとつのカゴに盛るな」です。
持株会をやめて、どうするのか?
私自身は
だと考えています。
けれども、従業員持株会は、目的にふさわしい運用手法ではないことが分かりました。
とはいえ、資産運用の方法として、株式投資自体は悪くない手段だとも考えています。
というわけで、
というのが、私の結論です。
持株会にデメリットがあると気づいて、持株会をやめる(加入を見送る)。
これだけでは、自分の資産をきちんと守っていくことはできません。もちろんそのための第一歩ではあるわけですけど。
持株会の仕組みや性質と同じように
ことが、社会にはたっぷり転がっています。
お金についてしっかり学んで、自分自身で判断できるようになっていくことが、これからの厳しい時代を生き抜いていくための必須事項と言えるかもしれません。
まとめ:持株会は、やめておこう!
これが私の結論です。
その分のお金、普通の株式に投資します。配当金(≒不労所得)を育てたいですからね。
みなさんも、社員持株会について、もう一度考え直してみてください。
ほどほどに利用する分には構わないと思いますが、全力投資はリスクが高いと思いますよ。
それではまたっ!
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持株会に入らずにコツコツと株式投資を進めた結果、今や、毎年数十万円の配当金を受け取れるようになっています。金のタマゴを産むニワトリはかわいいですね。
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