こんな人のための記事です。
どうせ働くなら、どうせ勉強するなら、しっかり転職市場での価値がアップしていく働き方・学び方をしたいもの。
あなたが今、
- 身に着けているスキル
- 担当している業務
- 受験を考えている資格
は、果たして「付加価値の高い業務」と言えるのでしょうか?
さっそくチェックしていきましょう!
目次
経理の転職でアピールできるスキル・経験はコレだ!
では具体的に、転職市場で評価されるスキル・経験を見ていきましょう。
①制度会計業務の省力化・迅速化・精度向上
通常の決算業務・開示などですね。原価計算も含まれます。
この業務を突き詰めて考えると、行き着くところは3つしかありません。
- 低コスト化
- スピードアップ
- 精度向上
制度会計業務は、法令等の要求に基づいて、(半ば仕方なく)やらざるをえないという性質があります。
この業務自体は会社の利益にほとんど貢献しません。
だからこそ、「低コストで、スピーディに、正確なものを作る」ことが重要になります。
転職目線でいうと、いつも求人募集の多いジャンルです。
人が足りてないんですねぇ。開き直れば、この分野でダラダラとラクに給料をもらえます。
資格でいうと、簿記1級まで持っていれば、食うに困ることはないでしょう。
「制度会計は実務でバッチリ」という人は、クレアールなど優良な資格スクールを活用して、合格証書を手に入れておきましょう。
いざ転職しなくてはいけないときの保険になります。
制度会計関係のスキル・経験で転職を考えるなら、
- 「こんな分野のことができます!」というだけではなく
- いかに省力化・迅速化・精度向上に貢献できるか
を忘れずにアピールしましょう。
②予算統制の強化
管理会計の守備範囲です。予算管理の重要性は、あえて説明するまでもないですよね。
「売り上げさえ立てば、あとは勝手に利益がついてくる」という古き良き時代は、終わりました。
昔の日本企業は強かったんでしょうけど…今は、右を見ても左を見ても、コストカットの世の中です。
競争力を強化するためには、適切な予算管理が欠かせません。
こういうところに関与できる経理マンは多くないですから、ぜひとも積極的に経験を積みたい分野ですね。
関連する資格が、米国公認管理会計士です。USCPA(米国公認会計士)じゃないですよ、USCMAです。
転職市場での評価としては
- 日系企業:知名度がほとんどない
- 外資系企業:USCPAと同じぐらい知名度がある
という感じで、志望企業によって扱いが変わります。
外資への転職を視野にいれる人にとっては、コスパの良い資格かもしれません。USCPAの半分ぐらいの労力で合格できるからです。
USCMAについては、資格の大手予備校の「TAC」が講座を開講しています。
ほとんどTAC一択ですね。USCPAでも超大手なので、そのノウハウを活かした講座ということです。
興味のある方は無料の資料請求をしておきましょう。ネットで調べるより全然早いし、情報がよくまとまってます。
※ちなみに、日本にも
- 「公認管理会計士」という資格
- 「管理会計検定」みたいな試験
がありますが、おすすめしません。
受験生が毎年数名~数十名みたいな規模の超マイナー試験だからです。
ここでUSCMAをお勧めしているのは、この試験の知識が実務でダイレクトに役に立つからではなく、箔(はく)がつくからです。
経理の転職の転職市場では、実務経験+資格の組み合わせが最強なのです。
管理会計(予算管理など)に関連した資格が少ないので、このへんを取っておくと「理論的な裏付けをもって思考できるビジネスマン」とうい印象を与えられます。
英語もできそうな雰囲気がしますしね。
- 35歳(経理経験10年。決算業務は一通り経験済。USCMA(米国公認会計士)ホルダーで予算統制に特に強い。英語はビジネスレベル)
ね?すごそうでしょ?
こういう人は、JACリクルートメントみたいな外資に強い転職エージェントに相談すると、年収アップの転職が狙えると思います。
③原価管理による収益性改善
こちらも管理会計の守備範囲。メーカーで経理をやるなら、絶対に積んでおきたい経験ですね。
- 日常のルーティン(支払いや債権・債務管理)
- 単体決算業務
- 連結決算業務
- 開示業務
- 税務申告
将来的に、このへんはガンガン外注に出される可能性があります。
ルールがあって、その通りにやるだけのルーティンが多いからです。
ウソだと思うなら、
- DIVA
- プロネクサス
- 宝印刷
- BIG4(コンサル)
あたりの会社に、「色々外注したいから提案書持ってきて」って相談してみてください。喜んで飛んできますから。
ところが原価系の業務は外注されにくいです。
コンサルは使うかもしれないですけど、丸投げで最初から最後までやってもらうということは、普通はありません。
- 会社の歴史
- 会社の文化
- 商品の理解
- 商流の理解
- 経営ニーズ…
様々な「内輪のこと」に精通している必要がありますし、なんといっても製造業にとっての心臓部分のデータですからね。
自分でしっかりグリップしておきたいと思う会社が多いでしょう。
管理会計ジャンルの将来性は暗くないと思います。
やっぱりUSCMA(米国公認管理会計士)、良いですよね。
転職エージェントときっちり相談して工夫すれば、日系企業にも響くアピールができるような気もします。
せっかく勉強するなら、転職でもメリットのある勉強がいいですもんね。
④最適資本構成の検討
ファイナンス系のお仕事です。この項目だけピックアップするのも変な感じですが、ホットなテーマということで。
- 配当政策をどうすべきか
- 自社株買いをどうすべきか
- 投資資金をどこから調達すべきか(新株の発行?借り入れ?)
- 格付け戦略をどうすべきか
資本生産性、すなわちROEの向上にひもづく課題ですね。
かなり上流のお仕事と言えます。
最新のファイナンス理論・実務の習得は当然として、気難しい役員・ご立派なコンサルたちとのタフなコミュニケーションが必要となります。
このような業務を経験できる経理/財務部員は限られますが、憧れのポジションでもあります。
※私はプロジェクト関係でこういう業務に関わることがあります。
これは、証券アナリストの資格を取得して努力を認められたからです。
証券アナリストは、金融業界では最高峰の資格。ファイナンスに興味のある方はぜひどうぞ。
⑤M&Aや新規事業への関与
会計屋というより、ビジネスマンとしての取り組みが求められる分野です。
主管部署は会社によって違うでしょうが、経営企画部か、各事業部門の企画部署あたりでしょう。
とはいえ、経理/財務部はこういった案件に絡んでいく必要があります。(絡めていない経理/財務部は、かなり立場が弱い感じかと。)
ずいぶん前から、様々な企業の経営層から「制度会計しかできない経理/財務部はいらん」と言われるようになっています。
ビジネスそのものに関わるところで「数字に強いこと」をアピールできないと、40歳過ぎた経理屋はキツイ気がしますね。
弊社のエースたちは、みんなこういう案件に引っ張りだこです。お声がかからないメンバーは、みんな頭でっかちの作業屋さんです。
⑥税コストの最適化
日本人とか日本企業って、税金に対するコスト意識が薄いですよね。
納税額を少なくしようとすると、「悪いことしてる」みたいに見られがちです。
でも、欧米企業では、税金は明確に「コスト」です。削ってナンボ。
だから、税に詳しい経理屋は重宝されます。
まぁ、欧米企業がやりすぎたせいで、世界ではこんなプロジェクトが出来上がってしまったわけですが。
OECDでは、近年のグローバルなビジネスモデルの構造変化により生じた多国籍企業の活動実態と各国の税制や国際課税ルールとの間のずれを利用することで、多国籍企業がその課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題(BEPS)に対処するため、平成24年よりBEPSプロジェクトを立ち上げました。
(出典:国税庁HP)
いわゆるBEPS(ベップス)というやつです。「税源浸食と利益移転」の略です。
アマゾンとか、日本で儲けまくってるのに税金おさめてなくて有名ですよね。
アマゾン日本法人2社に課された法人税(法人3税)は11億円。
これは、イオンなど日本の小売り大手10社の平均法人税額(329億円)の30分の1で、ネット通販大手の楽天と比べても30分の1程度にすぎなかった
いつの時代も、税務当局の「課税」と企業の「税回避」はイタチごっこです。永遠に終わりません。
経理マンの目線で見ると、いつの時代もメシのタネがあるということです。
アマゾンまでやっちゃうとやりすぎですけど、いち企業の経理マンとして税コストの最適化に関与できたら、経営者として雇う価値のある人材だと思いますね。
※日系企業ではただの申告屋でも喜ばれます。「ほほぅ、法人税の申告ができるんですか…」みたいなw
ちなみに、 税 理 士 試 験 は ス ス メ ま せ ん
※アスリート気質の方は合格できると思うのでがんばってください
⑦コンプライアンス・リスクマネジメントの強化
経理・財務部門の立場から、会社のコーポレートガバナンス強化に関わる職務も重要です。
日本にいるとピンとこないかもしれませんが、コーポレートガバナンスの水準は企業価値に直結しています。
海外の機関投資家は、コーポレートガバナンスが弱い日本企業が保有する現金をディスカウントして評価しているという話があるくらいですからね。
- 山一證券の粉飾決算
- カネボウの粉飾決算
- ライブドアの粉飾決算
- オリンパスの粉飾決算
- 東芝の粉飾決算
こういった直接的な事例のほか、タカタの欠陥エアバッグリコール問題や、自動車業界の不正検査問題など、呆れるような問題を起こす企業は少なくありません。
コーポレートガバナンスの強化は、企業価値を高める(信用を守り、競争力を維持する)ためには避けては通れない課題なのです。
企業によっては、コンプライアンスやリスクマネジメントを専門とする部署もあると思いますが、実効的な取り組みを行うのに経理・財務部門の関与は欠かせません。
なぜなら、あらゆる企業活動は金銭によって表現されるからです。
監査や税務調査などで不正が見つかることが多いのも、そういう理由です。
業務に関連する資格としては、CIA(公認内部監査人)があります。
興味のある人は「アビタス」に公認内部監査人コースの資料を請求してみると良いでしょう。
資格の概要・試験形式が一発で分かります。もちろん無料です。
ぶっちゃけ「会計」1本ではジリ貧なので、このような専門性をもう1つ身に着けておくと安泰ですね。
経営管理部門のマネージャー・コントローラーを目指すなら、CIAの価値は高いです。
⑧その他経理の転職で役立ちそうなスキル・経験
- システム導入
- 会計基準改正対応
- 監査対応
- 税制改正対応
- 税務調査対応
- 子会社の立ち上げ・精算
- 海外駐在
とか、こんな感じでしょうか。ご参考まで。
まとめ:経理の転職価値を高めたいのなら、狙うべきスキル・経験は明確
大前提として
- 制度会計1本はキツくなるかも
- 英語ができないとキツくなるかも
という現実があります。
これを踏まえたうえで、
- 省力化・迅速化・精度向上
- 予算統制の強化
- 原価管理による収益改善
- 最適資本構成の検討
- M&Aや新規事業への関与
- 税コストの最適化
- コンプライアンス・リスクマネジメントの強化
こういうスキル・資格・経験を得ておくと強いですね。
実際の転職活動では、
- 簿記の何級をもっているか
- TOEICは何点か
- どこの大学出身か
- どこの会社出身か
- 年齢が何歳か
などなど、気にされるポイントは色々あります。
とはいえ、スペックが同じくらいなら上記経験がある経理マンが強いということです。
この記事を読んで「自分のスキル・経験だと、転職可能なのか?」が気になった人は、一度転職エージェントの話をきいてみると良いと思います。
- 今の状態で転職できる会社
- プラスすると強いスキル・経験
を、リアルに教えてくれます。30分~1時間で、ググっと視野が広がりますよ。
ヒアリング先としては、「JACリクルートメント」がおすすめです。
年収アップの案件が多く、日系・外資の両方に詳しい優秀なエージェントが多いからです。
私自身、話をきいてみて、仕事の見方がかなり変化しました。
せっかくだから、自分にとってプラスになる経験を積んでいきたいですよね。
※転職エージェントをもっと慎重に選びたい人は、↓の記事に目を通してみてください。
ちなみに、Twitterやコメント欄で、「なんでそんなに経理業界に詳しいんですか?視野が広いんですか?」と聞かれることが多いのでネタバレしておくと
- 経理マンの集いで情報収集している
- 転職エージェントとマメに連絡を取っている
のが、その理由ですね。
転職エージェントと付き合いがないと、自分の会社がマトモかどうかとか、自分のキャリアがどうなのかとか、わからなくなってしまいます。
これを機に、転職エージェントに自分のキャリアを見てもらって、客観的な市場価値を判断してもらうのも良いと思いますよ。
一次情報を自分でゲットするのはメチャクチャ大切です。
それではまたっ!
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