こんにちは、こびと株.comの管理人(@kobito_kabu)です。
私は大学卒業後、大企業の経理職として採用されました。10年以上にわたり実務経験を積むなかで
- 一般企業や外資・会計事務所から転職してきた人
- 転職していった人、独立していった人
- 働きながら会計士や税理士に合格した人
このような人達をたくさん見てきました。
自分自身も簿記1級や証券アナリストを取得したり、転職活動をして自分の市場価値もチェックしています。
こうやって「リアルな経理の現場」を見続けた結果、3つの「残酷な真実」に辿り着きました。
- 経理の年収を決めるのは、スキルや実績ではなく「どの会社にいるか」
- 給料の高い会社の経理ほど「仕事がラク」
- 給料の安い経理はこれから「消滅していく」
この記事の構成は、次のようになっています。
- 経理の年収相場
- 3つの残酷な真実
- 年収をアップさせる方法
搾取されないハッピーな経理マンが増えれば良いなと思います。
目次
経理の平均年収相場
転職エージェントのDODAによると、経理の平均年収は509万円になっています。
全体の平均給与は約409万円ですから、経理は平均の1.2倍以上の給与が得られる職業ということです。
(出典:DODA)
管理会計や財務などの、経営に近い職種は給料が高めです。
男性と女性で給与水準が違うように見えるのは、役職・年齢の違いでしょう。女性は結婚や出産を機に退職したり勤務形態を変えることがあるため、給料の高い役職・年齢層は男性に偏ります。
その結果、給与水準に性差があるように見えるというワケ。同じ役職・同じ年齢なら、性別で給与に差がつくことはないので安心してください。
年代別に見てみると、年齢が上がれば上がるほど給料が増えていくことが分かります。
とはいえ、これは経理に限ったことではなく、日本企業であれば大抵このようなグラフになります。年功序列ということです。
未経験者と経験者では収入水準は違うはず。
というわけで、実務経験別の年収を見てみるとこうなります。
(出典:一般社団法人 人材サービス産業協議会「転職賃金相場2020」)
ここから分かることのうち、重要なのはこの2つ。
- 実務経験が長ければ長いほど
- 語学力があるほど
給料は高くなります。
英語が使えると給料が高くなるのは、グローバル展開していて英語人材を求めているのは大企業が多いからです。大企業と中小企業の間には、大きな賃金格差があります。
ざっくり、中小企業の管理職は年収600万円~800万円、大企業だと800~1,200万円ぐらいですね。それぐらい違います。
ここまでの話をいったんまとめましょう。
- 全職業の平均よりも高年収
- 年齢が上がるほど高年収
- 経験年数が増えるほど高年収
- 英語が使えると高年収
ごくごく当たり前の結論ですね。
これを頭の片隅に置きつつ、本題に入ります。経理の年収にまつわる「残酷な真実」です。
経理の年収にまつわる残酷な真実
残酷な真実①:経理の年収を決めるのは、スキルや実績ではなく「どの会社にいるか」
残酷な真実の1つめです。
- 今の職場にとどまり続ける限り
- あなたのスキルや実績が”特別に”評価される可能性は低い
です。
真面目で勤勉なタイプが多い経理職としては、びっくりな現実です。
もし「そんなことないよ!」と思うのなら、
- 超難関の公認会計士や税理士を取得して
- 予算統制やタックスプランニングなどの付加価値の高い業務をたくさんこなして
みてください。
あなたの職場内の評判はうなぎ登りでしょう。
しかし、こと年収ということに関して言えば、あなたより5歳年上の同僚に叶わないはずです。多くの日本企業は、個人のスキルを正当に評価する仕組みをもっていないからです。
- 新卒から8年の経験を積んだ30歳のあなた
- 他部署から異動してきた35歳の経理ド素人
給料が高いのは後者です。これが圧倒的事実。
日本企業の報酬体系は「メンバーシップ型」です。担当業務の内容ではなく、構成員であることそのものに対して報酬を払うシステムです。給料を決める最強の要素は「年齢」なのです。
※欧米企業は「ジョブ型」です。職務内容によって報酬が決まっており、同一労働・同一賃金です。
組織構造上、給料を上げたければ(スキルや経験を正当に評価されたければ)、今の会社にとどまるのではなくより給料水準の高い会社に移る必要があります。
転職先の年上の人たちには勝てませんが、現在の職場の人たちの給与水準は簡単に追い越せます。
極端な話、三菱商事や三井物産などの総合商社の経理部員が年収1,200万円とか貰っているのは、単に商社の給与水準が高いからです。彼らが経理として優秀かどうかには関係がありません。
専門性を評価されたいのなら、これだけは必ず認識して下さい。日本企業の場合、
経理の年収は「どこの会社にいるか」で決まります。
※そんな悲しい思いから、こんな記事も書いています。
残酷な真実②:給料の高い会社の経理ほど「仕事がラク」
残酷な真実の2つ目です。
給料の高い会社の経理ほど仕事がラクな傾向にあります。
高い給料を支払える会社というのは、そもそもビジネスモデルが優れていて収益力が高いのです。だから
- 人員不足にならない
- 最新の機器やシステムを使える
- 優秀な人材が集まってくる
- コンサルを雇って知恵を借りることができる
- 雑務は外注できる
わけです。
零細企業だと、人員不足から長時間労働が常態化し、コピーや掃除などの雑務をこなしながら、型遅れの機器・システムを使って働くことになります。
中小企業や小さな会計事務所で働いている経理の友人たちは、みな先の見えないブラックな労働環境に疲れきっています。
タックスプランニングや予算管理、M&Aや資金運用などの付加価値の高い(=AIに代替されにくい)業務は、給料水準の高い大企業にこそあるのです。
「給料が高いから業務のプレッシャーやストレスが強い」なんていうのは、とんでもない誤解です。それは、成果が明確に見える職種(営業など)の世界の話です。
大企業の経理マンほど、豊富な人材・お金・設備を使ってラクしている。経理に携わる人は、この残酷な事実をよく理解しておくべきです。
経理の上流に行けば行くほど、ラクで面白い仕事に就けるようになります。
残酷な真実③:給料の安い経理はこれから「消滅していく」
そして、残酷な真実の3つめ。極めつけはこれです。
典型的な経理業務は、これから消滅していきます。
オックスフォード大学の研究によると、機械に代替される仕事の筆頭は「会計職」です。
アメリカでは、すでに数万人レベルの会計事務員の職がなくなったとも言われています。単純業務は、次々に自動化されていく運命にあります。
経理の世界では、長い間、この2つが大きなトレンドになってきました。
- システム化
- 外注化
システム化というのは、人間が手作業で行っていたものをコンピュータ上で効率的に行うことを指します。
システム化により、どんな人間でも効率的に作業できるようになった結果、外注化も進むことになります。
システムによって効率化・標準化されたルーティンを、わざわざ高付加価値の人材がやる必要がないからです。より労働単価が低いところへ外注するのは自然な流れですね。
※さらに、最近話題になっているのは「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション」です。これがいくところまで進歩すると、もはやホワイトカラーの単純事務はほぼすべてなくなります。
①システム化→②外注化&RPA化と進んでいくと、経理・財務部に残るのは「経営にダイレクトに関係がある面白い業務だけ」という結末に。すなわち、CFO的な業務だけが残るということです。
この流れのなかで、生き残れるのは経理の上流ポジションにいる人だけです。給料の安い人材でもこなせる経理業務は、時の経過とともに消えていきます。
付加価値の出せない経理人口が減っていくのはもはや必然なのです。このへんを甘く見ていると、本当に致命的な結果を生むことになります。
経理の年収をアップさせる最も効果的な方法
- いくら実績・スキルを積んでも、転職しない限り正当に評価される可能性は低い
- 給料の高い企業ほど、仕事がラク
- 典型的な経理業務は、消滅していく
このような中で、どのように生き残っていけばいいのか?
今より少しでも給料水準の高い会社の経理に「転職」して、上流業務を担当せよ
ということになります(年収は高くなり、仕事は面白くなるのだから良いことづくめです)。
そのために必要なのは3ステップです。
- 意味のある資格だけを取る
- 売れる実務経験だけを積む
- できるだけ若いうちに転職活動をする(20代~30代)
これが最適解です。
①意味のある資格だけを取る
転職に効果的な資格(給料水準の高い企業にウケる資格)はこれだけです。
- 国内企業:簿記1級、TOEIC730点以上、(公認会計士or税理士)
- 外資系 :簿記1級、TOEIC730点以上、USCPA、(公認会計士or税理士)
※公認会計士や税理士に()をつけているのは、実現性が低いからです。会計士は合格者の大半が専任受験生の超難関ですし、税理士は5科目受かろうとすると約7~8年かかります。
簿記1級+TOEIC730点以上、これだけで一部上場企業に入るチャンスは十分あります。市場価値を高めたいのなら、まずはこの2つに徹底的に注力すべきです。
経理の世界には、BATICだのFASSだの色々な資格がありますが、単なる回り道です。
簿記1級の難易度や効果的な学習方法についてはこちら。
TOEICでスコア”だけ”を最速効率でアップさせる方法はこちら。
もし外資系企業(&日系グローバル企業)を狙うなら、USCPAは効果抜群です。
学歴に自信のない人は、簿記1級+TOEIC730点以上だけでは超高給企業は少し厳しいかもしれません。そういう人は、「社会人大学院(金融・会計)」へ通うメリットがあります。
会計士や税理士に合格するよりもはるかに難易度が低いです(定員割れしているところも多い)。年収アップを実現できれば授業料はほんの3~4年で回収可能です。
ポイントは、外資系を狙うことです。外資系企業は「院卒」というだけで「大学卒」より収入がアップします(正確には、上位ポジションに就ける)。
外資では、資格・学歴・経験の3つ以外で人を評価すると「人種差別主義者」扱いされかねません。だから、客観的な情報に基づいて評価してもらえるのです。
院卒・USCPA。外資のCFOは、こういう経歴の人が多いです。
※上記は『めっちゃ頑張り屋』の人向けプランで、今の市況なら簿記2級+実務経験だけでも『今よりちょっと良い会社』には普通に行けます。ご安心を。
②売れる実務経験だけを積む
仕事は選り好みしましょう。
今の会社で経験できる業務のうち、もっとも「転職に効果的な経験」を積むべきです。
経費精算や現預金の出納管理を何年続けたところで、あなたの市場価値はまったく上がりません。
簡単に、私の実務経験を一部公開します。
- 単体決算リーダー
- 連結決算リーダー
- 税務申告(法人税・住民税・事業税、消費税、固定資産税、事業所税)
- 監査法人対応
- 税務調査対応
- 内部統制対応
- 株主総会対応
- 開示業務(有価証券報告書、決算短信、招集通知等の作成)
- 事業・会社買収(M&A)
- 予算管理
- 資金運用(債券運用、子会社資金マネジメント)
- 原価管理
- 各種システム導入
- 海外子会社の設立
エージェントに話を持っていくと、担当してきた業務をバッチリ評価されます。転職活動のさなか、某ベンチャー企業の社長さんからは熱烈な転職勧誘も受けました。
これは、自然にこうなったわけではなく、私が仕事を選り好みしていった結果です。
今の会社で最も「売れそうな」経験を積むべきですし、そういう経験が得られそうもないならいつまでもその会社に留まっていてはいけません。
40歳を過ぎているならともかく、20代30代でそんなことをやっていてはジリ貧です。
ひたすら雑務をやらされていることのリスクは非常に大きいです。言葉はキツいですが、給料も増えず転職もできず、飼い殺し状態にされる危険があります。
簿記1級やTOEICなどの学習をせずにキャリアアップしたいなら、業務の選り好みは必須です。
※結局、経理マンにとって一番のリスクは何が「売れる経験」なのかを知らないということです。外部の世界と関係を持って(転職エージェントを通じて)、需要のあるスキル・業務経験を把握する必要があります。
③できるだけ若いうちに転職活動する
転職はできるだけ若いうちにやりましょう。これも非常に大きなポイントです。
- 30代より20代
- 40代より30代
若ければ若いほど有利です。若いというだけで、入れる企業がグっと増えます。
若い世代はどんどん減っていきますから、若者は労働市場ではどんどん希少な存在になっていくということです。このメリットを生かさない手はありません。
※ただ、他の職種と比べると、経理は年齢制限が緩いです。
30代後半で未経験は結構キツいですが、経験者であれば40代でも全然大丈夫です。最近の転職市場は売り手市場なので、50~60代でも転職できるようです。
資格×経験×年齢。これが大切な要素です。
- 簿記1級&TOEIC730点以上
- 「売れる経験」を3~4つ経験済
- 20代~30代前半
ここまでくると、どこでも通用する引く手あまたの有望経理ですね。
日本では、高年収=優秀と見られます。あなたが経営者だとして、前職の年収350万円の人と、年収450万円の人が求人に応募してきたら、後者を優秀だと思うでしょう。
年収で能力を測ることはできないのですが、これも1つの現実。
だから、前職の年収を伝えるときは「残業MAX想定の見込み年収」を伝えるか、それに後ろめたさを感じるのなら、実際に転職する1年前に残業しまくって年収を上げておきましょう。
経理に強い転職エージェントと常にパイプを持つことが重要
以上お伝えしてきた通り、年収を上げるもっとも確実な方法は「給料水準の高い会社」に転職することです。身もふたもないですが、これが圧倒的な真実。
そして、給料の良い会社に転職するために最も重要なポイントは景気の良い時に転職活動をすることです。
いくらあなたの能力が高くても、求人がなければどうにもならないからです。
景気の良いときに、今の会社より「給料水準の高い業界・会社」に転職する
大したスキルもなかったのに、タイミングが良かったというだけで転職での年収アップに成功した友人がいます(本人談)。一方で、スキルフルなのに転職がうまくいかなかった友人もいます。
勝負を分けたのは「市況」。
そして現在の経理の転職市場、悪くないです!
コロナ禍で厳しいでしょ?と思うかもしれませんが
- 企業からの求人数はコロナ前の水準に戻っているのに
- 応募者数は、感染者の増加とともに減少する傾向にある
からです。結果として、採用されやすい状況になっているというわけ。
※市況の良さは百難を隠す。年齢に若干のハンデがあろうが、スキル面や経験面で若干の不安があろうが、タイミングが良ければおおむねうまくいきます。経済とはそういうものです。
自分の市場価値を上げる努力をするのと同時に、
- 給料の高い業界
- 給料の高い会社
- 転職市場の動向
この3つを知っておかなければなりませんが、自分で調べる必要はありません。どうすれば良いかというと、たったこれだけです。
- 優良な転職エージェントとパイプを持っておくこと
以下、私たちが実際に使ってみた優良エージェントを紹介します。
おすすめの転職エージェント:専門職に強い転職エージェント「JACリクルートメント」
経理で転職を考えるなら、最初にすべきことは「JACリクルートメント」に登録することです。
専門職やハイクラス求人に強いエージェントだけあって、経理の転職事情にもしっかり精通しています。
当然、私がこの記事で述べてきたようなことも認識しているわけです。
基本的には、即戦力になれる経験者の求人を取り扱っています。
一度付き合いができると定期的に求人情報を教えてくれる、丁寧・親切・優秀と三拍子そろったエージェントさんです。
- 利用料は、もちろん無料
- 外資・内資含め、大手企業とのパイプが強い
- それぞれの会社の経理部の個別事情に詳しい
- 登録者・サポート数・利用者満足度などの実績がスゴイ
- 継続的に経理業界の転職事情を教えてもらえるようになる
- 良い転職先がなければ転職しなければ良いだけなので、ノーリスク
というわけで、圧倒的におすすめです。
ちなみに、簿記1級やTOEICハイスコアが無い・実務経験が不安という人も、まずは一度エージェントと面談をしてみるべきです。
なぜなら市況の良いときに動かないと後悔するからです。
- 一部上場企業:簿記2級+経験3年以上で、年収500万円~600万円
こういった案件もでています。
経理経験者なら、中小企業から大企業に移る大きなチャンスですね。
JACリクルートメントに関して、わたし達の利用体験談や、評判・メリットについて詳しく知りたい人はこちらをご覧下さい。
転職活動に万全を期すなら
何事もキッチリ準備してすすめる、「さすがは経理部員!」というタイプの人には、もう1社転職エージェントを使うことをおすすめします。
- 広く求人案件を見ることができる
- 担当者と相性が合わないリスクを回避
- セカンドオピニオンをもらえる
ということで、エージェント2社利用はメリットが多いです。
ぶっちゃけた話をすると、(評判の良いところなら)エージェント会社自体にそこまで大きなアタリハズレはありません。
しかし、あなたの担当につくエージェント(人間)には明確なアタリハズレがあります。
だから、転職エージェントを使うときは、最低でも2社に登録しましょう。そうしないと、エージェントの言っていることがまともか変なことなのか比較ができないからです。
具体的には、マイナビAGENTが良いでしょう。
いわずとしれた大手転職エージェントです。日系大企業の求人を得意としますので、年収アップを狙うには悪くありません。
かなり丁寧で親切な対応をしてくれますので、細かな不安まで安心して相談できます。(こちらも実際に利用した経験があります。)
まとめ:経理は転職によって年収をアップさせていく時代
これが、経理の年収にまつわる3つの残酷な真実です。
- 経理の年収を決めるのは、スキルや実績ではなく「どの会社にいるか」
- 給料の高い会社の経理ほど「仕事がラク」
- 給料の安い経理はこれから「消滅していく」
生き残るためには「今より少しでも給料水準の良い会社の経理に転職する」しかありません。
そのための有効な手段はこれです。
- 意味のある資格だけを取る
- 売れる実務経験だけを積む
- できるだけ若いうちに転職活動をする(20代~30代)
情報収集や転職活動をするにあたっては、下記の転職エージェントを圧倒的におすすめ。実際に年収をアップさせられた友人が多数います。
- JACリクルートメント(経理経験者向け)
- マイナビAGENT(大手総合)
もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
とにもかくにも、搾取される経理屋が1人でも減ると嬉しいです。
- 人より多くの業務を押し付けられながらも
- 不平不満を言わずコツコツ努力を続けてきた
真面目な経理屋さんには、ぜひしっかり評価されて欲しいと思っています。もはや経理はひとところに留まる時代ではありません。
それではまたっ!
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